ホイールはカスタムの大きな要である。見た目の変化量も大きく、そのハンドリングに対する変化量も大きい。そこでオイル交換をする人は多いが、ホイールはいつまでも無限に使えるのだろうか。実はホイールも消耗品で、いつか交換しなければならない時が来るのである。
◆軽量ホイールは高性能だが、消耗品でもある
アフターパーツのアルミホイールは、スタイリッシュな見た目や軽さを売りにしているものが多い。特にスポーツ系ホイールでは純正ホイールに対して軽く仕上げることで、バネ下重量が軽くなることによる効果がある。サスペンションの軽快な動きがハンドリングを良くしたり、燃費を良くしたりする効果も望める。そのため、特にスポーツ系ホイールで軽さにこだわって作られているものが多い。
一般的なホイールはアルミの溶けたドロドロの状態のものを型に流し込み固める鋳造製法で作られている。対して、高価なスポーツホイールは熱せられたアルミの塊をプレス機で押しつぶすことによって作る、鍛造製法で作られている。押しつぶすことでアルミの素材には粘りが生まれ、より強くしなやかになる。それによって鋳造製法のアルミよりも同じ強度であれば薄くすることができる。薄くすることができるので、軽量に仕上げることができるのだ。
◆永久ではないホイールの寿命とその兆候
このように軽さにこだわって作られているホイールも多いが、もちろんそれらは定められた強度や耐久性を有していて、それらの基準に合致している。だが、永久に使い続けられるわけではない。度重なる使用によって徐々にダメージを受けてホイールが歪んでくることもある。
ホイールが歪むというと、縁石に乗ったりしたときに歪んでしまう印象があるが、もちろんそういったダメージによって歪んでしまうこともある。しかし、実は経年劣化と度重なる荷重の入力によって徐々に歪んでくることもある。ホイールバランサーでタイヤを取り付けずにホイールだけで回してみると、新品時はバランスが出ていたが、数万km使うと徐々にバランスが崩れてきて、どんどんその振れが大きくなっていくということもある。
そうなると、もはや交換するしかない。どんなホイールでもそういったタイミングが訪れるが、純正ホイールは特に定められた強度や安全基準などよりもはるかに厳しい基準で作られているので、数十年前の車でも全く問題なく使えていることが多い。その代わりに純正ホイールはアフターパーツのホイールに対して重いことが多いのである。
逆にいえばアフターパーツのホイールはより軽量に仕上げられているが、ゆえにもちろん十分な強度や耐久性を持つが、20年、30年や何十万kmと使い続けていると歪んでくることもあるということである。
◆最新のクルマには最新のホイールを選ぶべき理由
レースやサーキット走行では1日に何度もホイールを取り付けたり外したりすることがある。それを繰り返しているとホイールナットと当たるテーパーの部分が徐々に摩耗してきて薄くなってくることもある。レースでは度重なる使用によってそのようにダメージを受けていくので、数年ごとにホイールを交換していることが多い。
また最近ではクルマがどんどん大きく重くなっている。これは衝突安全基準などに適応させるためで大型化し、そしてボディも強く重くなっている。その重くなったボディを十分に加速させるためにエンジンもハイパワー化が進んでいる。そのどちらもホイールに対する入力が増えていて、ホイールはどんどん厳しい状況にある。
そこでホイールメーカーではモデルチェンジをしていて、近年のモデルに対応した強度を持たせている。レイズではボルクレーシングのホイールはデザインはそのままにモデルチェンジをして、より最近のクルマに対応をするような設計に改められたモデルもある。
そういった対応が必要なほど最近のクルマは重くハイパワー化されているので、サイズ的に使えるからと数十年前のホイールを最新のクルマに履かせるのはよろしくない。ホイールに対する入力が大きすぎてホイールが走行中に歪んでしまい、ハンドリングが曖昧になりやすい。またそれを繰り返すことによって、ホイールが徐々にダメージを受けて歪んできたり、バランスが取りづらくなってしまうこともある。最近のクルマにはそれらに対応した最新のホイールをマッチングしてもらいたい。