「パワーアンプ」が一体化しているのはなぜ?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part4「サブウーファー」編 その2 | Push on! Mycar-life

「パワーアンプ」が一体化しているのはなぜ?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part4「サブウーファー」編 その2

カーオーディオに興味を持ちつつも「“分かりにくさ”を感じて最初の一歩を踏み出せない…」という方々に向けて、その“もやっ”とした部分をクリアにしようと展開している当連載。今回は、「パワードサブウーファー」に関して抱かれがちな“?”の答を説明していく。

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「パワードサブウーファー」の一例(ケンウッド・KSC-SW30)。
  • 「パワードサブウーファー」の一例(ケンウッド・KSC-SW30)。
  • 「パワードサブウーファー」の一例(ケンウッド・KSC-SW40)。
  • 「パワードサブウーファー」の取り付け例(ケンウッド・KSC-SW40)。
  • 「パワードサブウーファー」の一例(カロッツェリア・TS-WX010A)。
  • 「パワードサブウーファー」の一例(カロッツェリア・TS-WX400DA)。
  • 「パワードサブウーファー」の一例(カロッツェリア・TS-WH1000A)。
  • 「パワードサブウーファー」の取り付け例(カロッツェリア・TS-WH1000A)。
  • 「パワードサブウーファー」の一例(カロッツェリア・TS-WX70DA)。

カーオーディオに興味を持ちつつも「“分かりにくさ”を感じて最初の一歩を踏み出せない…」という方々に向けて、その“もやっ”とした部分をクリアにしようと展開している当連載。今回は、「パワードサブウーファー」に関して抱かれがちな“?”の答を説明していく。

スピーカーを鳴らすためには、「パワーアンプ」が絶対的に必要!?

前回の記事にて、カーオーディオにおいて「低音増強」が必要となる理由を解説したが、それを比較的に手軽に行おうとするのなら「パワードサブウーファー」が頼りになる。なぜならば、「パワードサブウーファー」には、低音を再生するために必要なものがすべて一体化されているからだ。

必要なものとは以下の3つだ。「サブウーファーユニット(スピーカー)」、「パワーアンプ」、「ボックス」、以上だ。というわけなので、「パワードサブウーファー」の“パワード”という言葉はつまり、「パワーアンプ」も一体化しているということを表している。

さて、「パワーアンプ」と「ボックス」が必要となるのはなぜなのだろうか…。

最初に、「パワーアンプ」が必要となる理由から説明していこう。普通、スピーカーを鳴らすには「パワーアンプ」が絶対的に必要となる。このことは、フロントスピーカーについても、そしてホームオーディオ用のスピーカーにおいても同様だ。

そうである理由は以下のとおりだ。オーディオシステムではまず、CDプレーヤー等のソースユニットにてメディアから音楽信号が読み取られる。しかしその段階での音楽信号は、まだかなり微弱な状態だ。で、それを音に変換する装置がスピーカーなのだが、スピーカーの振動板を動かすには結構大きな電力が必要となる。

というのもスピーカーは磁気回路にて電気信号を受けて、その中で「フレミングの左手の法則」に従って電気を駆動力へと変換して振動板を動かすのだが、その振動板は案外がっちりと固定されている。それを動かすには、そこそこ大きな力をかけなければならない。なので「パワーアンプ」が必要となる。これにて信号を、重い振動板を動かせるまでに増幅する必要があるのだ。

「パワードサブウーファー」の取り付け例(ケンウッド・KSC-SW40)。「パワードサブウーファー」の取り付け例(ケンウッド・KSC-SW40)。

「メインユニット」に内蔵されている「パワーアンプ」は力が弱い!?

なのでカーオーディオの「メインユニット」には、「パワーアンプ」が内蔵されている。特に「外部パワーアンプ」を用意しなくても、「メインユニット」さえあればスピーカーを動かせるようになっている。

だがしかし…。「メインユニット」に内蔵されている「パワーアンプ」では普通、「サブウーファー」までは鳴らせない。その理由は至ってシンプルだ。「サブウーファー」は振動板が大きく、結果、磁気回路も大きくなる。より大きな力をかけないと大きな振動板を動かせない。そしてその大きな振動板を動かすには、フロントスピーカーを駆動する以上に大きな電力が必要となる。でも「メインユニット」に内蔵されている「パワーアンプ」では、そこまでのパワーを発揮できないのだ。

というのも基本的に「パワーアンプ」は、大きな力を発揮しようとすればするほど筐体が大きくなりがちだ。なぜなら「パワーアンプ」は仕組みが案外シンプルだ。このように“ローテク”なメカは得てして、性能を上げようとすればするほど物量が必要となる。パーツを大型化したりより良い素材を使えば使うほどそれに比例して性能も上がっていく傾向が強いのだ。

しかし「メインユニット」に内蔵される「パワーアンプ」は大型化が図れない。スペースに限りがあるからだ。例えば市販の「AV一体型ナビ」は、2DINというスペースの中ですべてを完結させる必要がある。小さな筐体の中に、ナビ、地デジチューナー、CD/DVDメカ、プロセッサー等々を詰め込まなくてはならない。となるとおのずと「パワーアンプ」に割けるスペースは狭くなる。結果、非力な「パワーアンプ」しか内蔵できないのだ。

「パワードサブウーファー」の取り付け例(カロッツェリア・TS-WH1000A)。「パワードサブウーファー」の取り付け例(カロッツェリア・TS-WH1000A)。

「パワーアンプ」も一体化させれば、導入コストも取り付けスペースも省ける!

というわけで「サブウーファー」を鳴らすには、何らかの「外部パワーアンプ」が必要となる。なので「パワードサブウーファー」は「パワーアンプ」も一体化させてあるのだ。そうすれば改めて「外部パワーアンプ」を用意する必要がなくなり、さらには「外部パワーアンプ」を取り付けるためのスペースも省ける。こうして、導入ハードルを下げているのだ。

続いて、「ボックス」が必要になる理由を説明していこう。ちなみに、どんなスピーカーでも「ボックス」も絶対的に必要だ。ホーム用のスピーカーをイメージしてほしい。店頭に並んでいるスピーカーはすべて、スピーカーユニットが箱に取り付けられた状態で完成品となっている。

で、箱が必要となる理由は以下のとおりだ。スピーカーユニットは振動板を前後に動かして空気を震わせて音を生み出すのだが、そのメカニズムはスピーカーの裏側でも発動する。スピーカーユニットの裏側にも空気があるからだ。なお裏側の音は耳で聴く分には表側と同じ音だが、音波としては真逆の状態となっている。なぜならば、振動板の動き方が表側と裏側とでは真逆だからだ。振動板が表側で前に出た瞬間にそれを裏側から見ると、振動板は引っ込んだ状態となっている。結果、表側の音と裏側の音は、波形的には真逆の関係となるのだ。

そして、聴く分には同じ音でありながら波形としては真逆な状態の音が同一空間で交わると、「キャンセリング(打ち消し合い)」という現象が引き起こされる。音が消えてしまうのだ。

箱は、これを防ぐ役目を負っている。振動板の裏側から出る音を閉じ込めて「キャンセリング」が起こるのを防いでいるのだ。ゆえに「サブウーファー」を鳴らす場合にも絶対的に箱が必要となり、なので「パワードサブウーファー」ではあらかじめ「ボックス」も一体化させてある。

今回は以上だ。次回も「サブウーファー」に関連した“素朴な疑問”の答を解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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