予算「ゼロ円」でも音を変えられる!? ゼロから始める「低予算カーオーディオ」第1回「簡単サウンドチューニング」編 | Push on! Mycar-life

予算「ゼロ円」でも音を変えられる!? ゼロから始める「低予算カーオーディオ」第1回「簡単サウンドチューニング」編

カーオーディオを楽しむには費用がかかると思われがちだ。確かに、その気になればいくらでも予算を投じられる。しかしその一方で、予算「ゼロ円」でできることもある。またはかかったとしても数千円程度ですむやり方もある。

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純正メインユニットの一例。純正メインユニットもほとんどのモデルに「バランス」と「フェーダー」が搭載されている。
  • 純正メインユニットの一例。純正メインユニットもほとんどのモデルに「バランス」と「フェーダー」が搭載されている。
  • 「バランス」と「フェーダー」の操作画面の一例(三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ)。
  • 純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。
  • 純正スピーカーの取り付け位置の一例(ドアスピーカー)。
  • 純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。
  • 純正スピーカーの取り付け位置の一例(ドアスピーカー)。
  • 純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。

カーオーディオを楽しむには費用がかかると思われがちだ。確かに、その気になればいくらでも予算を投じられる。しかしその一方で、予算「ゼロ円」でできることもある。またはかかったとしても数千円程度ですむやり方もある。

当特集では、それら「低予算でカーオーディオを楽しむ方法」をさまざま紹介していく。音楽好きなドライバー諸氏は、ぜひともチェックを♪

「バランス」と「フェーダー」という超基本機能でも、聴こえ方をガラリと変えられる!?

今回は、サウンドチューニング機能を操作して聴こえ方を変える方法を紹介する。とはいっても、高性能なユニットにて行うサウンドチューニングではなく、どんなメインユニットにも搭載されている超基本機能を活用する方法を取り上げる。超基本的な機能でも、操作すると案外聴こえ方が変化する。その楽しさをお伝えしていく。

さて、取り上げる超基本機能とは、「バランス」と「フェーダー」だ。この2つの機能は、市販・純正を問わずほぼすべてのメインユニットに搭載されている。ゆえに機能としても極々シンプルなのだが、実は頻繁に触るべき機能でもある。もしもこれらを1度も操作したことがないというのなら、今後はぜひとも積極的に触ってほしい。カーオーディオの楽しさに触れられるはずだ。

では、操作方法を説明していこう。まずは「バランス」から。なお当機能は、左右のスピーカーの音量バランスを変えるための機能だ。で、デフォルトの状態ではツマミはセンターの位置に設定されているはずだ。つまり、左右の音量バランスが「5:5」になっている。ちなみに助手席に人を乗せている場合にはこの設定がベストだ。しかし、1人でドライブしているときにはベストではない。

なぜならば、右ハンドルのクルマであれば自分のリスニングポジションはかなり右側に片寄っている。なので「バランス」がセンターに設定されていると、右スピーカーの音ばかりが耳に付く。結果、ステレオイメージが再現されにくい。

そうである理由は以下のとおりだ。ステレオとは音楽を左右の計2chに分けて録音し、それを左右の2本のスピーカーで再生することで音楽を立体的に再現しようとするものだ。しかし、左右のスピーカーから放たれる音情報を両方とも聴けないと、しかも同じ音量で受け取れないと、その効果は発揮されにくくなる。

「バランス」と「フェーダー」の操作画面の一例(三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ)。「バランス」と「フェーダー」の操作画面の一例(三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ)。

「バランス」を上手く設定できると、ステレオ感が高まる!

なのでもしも「バランス」がセンターになっていたら、それを左側に動かしてみよう。そうすると右のスピーカーの音量が小さくなり左のスピーカーの音量が大きくなっていくので、左右のスピーカーの音量が等しくなるポイントを探しそこに設定する。そうすると左右のスピーカーの中央にいるかのような状態に近づくので、右側にへばりついていたサウンドが目の前から聴こえてくる。これだけでも大分ステレオ感が上がる。ぜひとも試していただきたい。

続いては、「フェーダー」の操作方法を説明していく。「フェーダー」とは、前後のスピーカーの音量バランスを調整する機能だ。で、当機能はデフォルトの状態ではやはり「5:5」になっているはずだ。なおこの設定は後席にも人が乗っている場合にはベストだが、やはり1人で乗っているときにはベストではない。ベストなのはズバリ、「10:0でフロント」だ。

なぜなら、音楽は後からも聴こえてくる必要がないからだ。先述のとおりステレオ音源は音楽が左右の2chに分けて録音されている。なので再生するスピーカーも左右に1つずつあれば良い。

実際ホームオーディオでも2chのステレオサウンドを楽しむ場合には、スピーカーは後方には置かれない。5.1ch等のシアターシステムを組んでいる場合にはリアスピーカーも設置されるが、そうであってもステレオ音源を聴くときにはリアスピーカーは基本的には鳴らされない。

また、コンサート会場をイメージしてほしい。コンサートでは、ステージの両端に置かれているスピーカーから音が聴こえてくる。スピーカーが客席の後方に置かれることはない。音楽はステージの方向から聴こえてくるのが自然な形だ。

さらには、リアスピーカーも鳴らしてしまうとステレオイメージの再現性も落ちてしまう。というのもステレオイメージが上手く再現されるときには、スピーカーの存在感はなくなる。スピーカーから音が聴こえてくるというよりも、ただただ演奏が立体的に目前に浮かび上がる。

純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。純正スピーカーの取り付け位置の一例(ツイーター)。

「フェーダー」は「10:0で前」が基本。しかし…。

でもリアスピーカーも鳴らしてしまうと、左右の音がそれぞれ2箇所から聴こえてくる(ダブって聴こえる)。そうなるとむしろスピーカーの存在感は強まる。スピーカーから音が出ているということが、よりはっきりと分かってしまうのだ。結果ステレオイメージが希薄になるのだ。

なので、後に人が乗っていない場合には「フェーダー」は、「10:0」で前に振っておくのが正解だ。その上で「バランス」を整えれば、目前にある程度ステレオイメージを出現させられる。

だがしかし…。実を言うと「リアスピーカーをちょっとだけ鳴らす」というテクニックも存在している。

リアスピーカーをちょっとだけ鳴らすと、なんと「低音増強効果」が得られる場合もあるのだ。そうなるメカニズムは以下のとおりだ。音は音程が高くなるほど指向性が強くなる(真っ直ぐに進もうとする性質が強くなる)。なのでリアスピーカーをちょっとだけ鳴らしても高音はシートにブロックされて聴こえてこない。対して低音はモノを回り込んで進もうとする性質が強いのでシートを回り込んで前席のドライバーの耳に届く。そして低音は音の出どころが分かりにくい。なのでリアスピーカーから聴こえてくる低音もフロントスピーカーから聴こえてきていると錯覚する。こうして低音の増強効果が成されるのだ。

というわけなので、時間があれば以下のような操作を試してほしい。音楽を流しながら「フェーダー」をゆっくりと後側に振っていく。そうして高音も後から聴こえてきたら行き過ぎだ。そうなったらまたゆっくりと前側に戻す。このような操作を繰り返し、「音楽はあくまでも前からしか聴こえて来ないのに低音だけが厚くなる」、このポイントを探ってみよう。

ただし、車室内の形状やリアスピーカーの位置によってはこの効果が上手く引き出されないこともあるので、そうであれば「10:0でフロント」の状態に戻そう。

今回は以上だ。次回もカーオーディオの気軽な楽しみ方をさまざま紹介していく。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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