「ステレオ再生」のメカニズムとは? カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 5・コントロール関連編 第1回 | Push on! Mycar-life

「ステレオ再生」のメカニズムとは? カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 5・コントロール関連編 第1回

カーオーディオでは専門用語が使われることが多く、初心者に“分かりづらさ”を感じさせがちだ。当連載は、その“分かりづらさ”の払拭を目指して展開している。今回からは、サウンドコントロールに関連した用語の意味を解説していく。

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フォーカル・デモカー
  • フォーカル・デモカー
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  • 「タイムアライメント」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。
  • サブウーファーの取り付け例(製作ショップ:ゼプト<北海道>)。

カーオーディオでは専門用語が使われることが多く、初心者に“分かりづらさ”を感じさせがちだ。当連載は、その“分かりづらさ”の払拭を目指して展開している。今回からは、サウンドコントロールに関連した用語の意味を解説していく。

「ステレオ」とは、音楽をリアルに再現するためのもの!?

今回はまず、「定位」というワードについて説明していく。サウンドチューニングに関する話になると比較的に多く登場するこの言葉には、どのような意味があるのだろうか。

結論から入ろう。「定位」とは、「ステレオ再生」によって再現される「音像の位置関係」のことを指す。例えばホールで録音されたオーケストラの演奏を再生するとき、演奏しているステージ上の各楽器の位置関係が正確に再現されているとき、「音像定位が良い」というように使われる。

せっかくなのでこの機会に、「ステレオ」という言葉の意味も併せて説明しておこう。「ステレオ」とは、録音した音楽を立体的に再現しようとするものだ。そのために音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右のスピーカーでそれぞれ再生する。そうすると、録音した現場にいるかのように音楽をリアルに再現できるのだ。

もう少し詳しく説明しよう。人間は音を両耳で捉える。ゆえに音の出どころが分かるのだが、「ステレオ」はいわばその仕組みを逆手に取っている。つまり、右耳で聴こえる音を右chに録音し、左耳で聴こえる音を左chに録音する。それを左右のスピーカーから再生すると、サウンドステージが目前で立体的に展開されるというわけなのだ。

このように「ステレオ」とは音楽をリアルに再現するためのものであるので、音質の良さが重要視されるのと同時に、音像を立体的に再現できているか否かもポイントとなる。なので、再生音の良し悪しを評するときには「定位」も取り沙汰されることとなるのだ。ボーカルがサウンドステージの中央にすっくと立って、バンドの各楽器があるべき位置にいることがしっかり再現できるかどうかも重んじられる。

「タイムアライメント」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。「タイムアライメント」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。

「タイムアライメント」という機能が使われるようになり、カーオーディオでの「定位」が向上!

ちなみに言うと、カーオーディオでは「定位」を正しく再現するのが難しい。なぜならリスニングポジションが左右のどちらかに片寄るからだ。結果、「ステレオ」の仕組みが成り立ちにくくなっている。というのも「ステレオ」のメカニズムを成立させるためには、左右のスピーカーから放たれる音をバランス良く聴く必要があるからだ。しかしリスニングポジションが片寄ると、左右のスピーカーの音量や音の到達タイミングがズレて音像を立体的に感じ取りにくくなる。

このようなカーオーディオならではの不利要因を払拭すべく、ツイーターをキックパネルに取り付けるという手法が取られることもある。そうするとツイーターを奥まった場所に取り付けられるので、左右の距離差を少なくできる。なので、リスニングポジションをセンター方向に移動させたかのような効果が得られる。

しかし、1990年代の半ばころからデジタルチューニングが行われるようになり、各スピーカーの距離差を擬似的になくせるようになった。「タイムアライメント」という機能が活用されるようになったからだ。

「タイムアライメント」とは、スピーカーの発音タイミングを揃えられる機能だ。近くにあるスピーカーほど発音タイミングを遅らせて、すべてのスピーカーの音が同時にリスナーの耳に届くようにさせられる。

このような「タイムアライメント」という機能により、カーオーディオでも「定位」を正しく再現させやすくなったのだ。

サブウーファーの取り付け例(製作ショップ:ゼプト<北海道>)。サブウーファーの取り付け例(製作ショップ:ゼプト<北海道>)。

サブウーファーの音がフロントスピーカーの音と上手く繋がると…。

続いては、「低音の前方定位」という言い回しについて説明していく。これが意味するものは以下のとおりだ。カーオーディオでは、ドアに取り付けられるスピーカーは口径が小さく、超低音までをスムーズに再生するのが難しい。ゆえに超低音再生のために「サブウーファー」が導入されることとなるのだが、「サブウーファー」はイス下とかトランクに搭載されることが多い。となると超低音だけが下から、あるいは後方から聴こえてくる。しかしそのような聴こえ方は「ステレオ再生」的にはベストではない。コンサートホールで音楽を聴いていて、超低音だけが後ろから聴こえてくることはないからだ。

しかし、チューニング機能を駆使すると、サブウーファーが再生する超低音も目の前から聴こえてくるようになる。このような状態のことが「低音の前方定位」と呼ばれているのだ。

ちなみに、「低音の前方定位」が実現されるメカニズムは以下のとおりだ。音は、音程が高いほど出どころが分かりやすく音程が低くなるほど出どころが分かりにくくなる。ゆえに、フロントスピーカーのサウンドとサブウーファーから放たれる超低音とが上手く繋がると、音の出どころが分かりにくい超低音もフロントスピーカーから聴こえてきていると錯覚する。

なお、フロントスピーカーの音とサブウーファーの超低音を上手く繋げるためには、音の到達タイミングがしっかり合う必要があり、かつ「位相」も合っていなければならない。

で、「位相」とは、「音波のタイミング」だとイメージしてほしい。音は、水面を伝う波紋のように上下動を繰り返しながら空気中を進んで行く。この音波の動きが「位相」だ。かくしてドアスピーカーから放たれる音とサブウーファーから放たれる音との上下動のタイミングが合うと、フロントスピーカーの音とサブウーファーの音が上手く繋がる。

さらには音量のバランスも適切にする必要がある。そうしてもろもろのチューニングが上手くいくと「低音の前方定位」が実現されるのだ。

今回は以上だ。次回もサウンドコントロールに関連した用語の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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