【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】足さない美学、足さない勇気…島崎七生人 | Push on! Mycar-life

【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】足さない美学、足さない勇気…島崎七生人

新型『ヴェゼル』のボディサイズは、先代(最終型RS)と較べると、全高25~15mm低くなったほかは、意外にも全長、全幅、ホイールベースは変わらない。海外市場でも「コンパクトさがいいよね」の声が多かったからだそうだ。

自動車 試乗記
ホンダ ヴェゼル 新型(e:HEV・FF)
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新型『ヴェゼル』のボディサイズは、先代(最終型RS)と較べると、全高25~15mm低くなったほかは、意外にも全長、全幅、ホイールベースは変わらない。海外市場でも「コンパクトさがいいよね」の声が多かったからだそうだ。

それにしても新型のスタイリングは、ずいぶんスラッとスマートだ。上海で公開された『Honda SUV e:prototype』とほぼ同じスタイルと見做してよさそうだが、少し前までのメッキの飾りとキャラクターラインだらけのホンダ車に較べ、なんてスッキリとしたことか。


ボディ同色ルーバー状のフロントグリルに象徴される足さない美学、足さない勇気に敬意を表したいが(ちなみにホンダアクセスが用意する用品の1番人気はクロームメッキのグリルだそう)、新世代のホンダ車のデザインの方向性を示すものというから、そういう期待感も膨らむ。

「e:HEV PLaY」グレードが2トーンのみの設定らしいが、外観でパノラマルーフが目立ちにくいメリットはあるかもしれないが、むしろ単色のほうがクリーンなスタイルの心地よさが存分に味わえるような気もする。

涙が出るほど嬉しい車両感覚の掴みやすさ


インテリアもスッキリいいデザイン。とくにスウッと左右に水平の線を通し、オーソドックスなメーターフードとシンプルなモニターを置いたインパネは眺めていて非常に安心感がある。従来の静電タッチパネルからダイヤル式に戻された空調スイッチも使いやすい上、温度調節のダイヤルは“低/高”の回す方向によりダイヤル付け根の照明が“青/赤”に変化する。『フリード』でも採用された仕掛けだが、パッとみても自分がどう操作しているのか直感できていい。


Aピラーが従来より80mm手前に寄せられたことで視界が開け、フードの見え方や消え方、外板ショルダー部の意識しやすさも吟味されたということで、ワンモーションのクルマにはない車両感覚の掴みやすさは、涙が出るほど嬉しい。80年代のプレリュードなどの頃の“ボディの上にキャビンが載ったデザイン”がまさに生きている。コンパクトなボディサイズと相まって、今回の試乗でも初めて乗った瞬間から、まるで自分のクルマのように馴染めた。


後席は今回18mm下げ、30mm後退させられたが、なるほどセンターアームレストを使いながら座ると上級セダンのようなゆったりとした着座姿勢がとれ、足元も35mm拡大したことで、筆者の体格では前席下のセンタータンクによる床の傾斜に足が届かないほどのゆとりができた。頭上も天井の後端がやや近いが、コブシ1個以上のクリアランスはある。座面の“6:4”の境目に出来た段差は少々気になるところ。ラゲッジスペースの広さは十分で、トリム、カーペット類のアワセ部分の処理はキレイで精緻だ。

穏やかだがフラットで芯のある乗り味


今回の試乗車はハイブリッドの「e:HEV Z」のFF車。試乗当日は風雨のひどい生憎の天候だったため、高速走行は別の機会とし、無理をせず試乗会場周辺の一般道を流して試すことにした。なので味見程度だったが、ホッコリとした現行『フィット』のSUV版といった穏やかだがフラットで芯のある乗り味で、普段使いにもさぞ快適だろうと感じた。

ミシュランタイヤの丸さを生かしきった、スムースな乗り味がよく、荒れた路面でも静粛性が高く保たれているのもいい。ステアリングを切る/戻すのクルマの挙動も実に自然で、例の適切な視界により、道幅の狭い屈曲路でも安心して走らせることができた。

パワーフィールも概ね自然に思えたが、もう少し、仕様違いの“PLay”で試してみたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

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