追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part4 外部パワーアンプ編 その3 「動作方式」にも注目! | Push on! Mycar-life

追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part4 外部パワーアンプ編 その3 「動作方式」にも注目!

カーオーディオには、こだわるべきポイントがさまざま存在している。そしてそれぞれにこだわればこだわるほど、楽しさも深まっていく。当特集では、その1つ1つにスポットを当て解説している。今回はパワーアンプの「動作方式」について説明する。

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D級パワーアンプの一例(フォーカル・FPX4.800)。
  • D級パワーアンプの一例(フォーカル・FPX4.800)。
  • A級パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ・プレシジョンワン)。
  • AB級パワーアンプの一例(グラウンドゼロ・GZPA 4SQ)。

カーオーディオには、こだわるべきポイントがさまざま存在している。そしてそれぞれにこだわればこだわるほど、楽しさも深まっていく。当特集では、その1つ1つにスポットを当て解説している。今回はパワーアンプの「動作方式」について説明する。

カー用のパワーアンプに採用されている「動作方式」は、「A級」、「AB級」、「D級」、この3つ!

パワーアンプは、微弱な音楽信号を増幅する装置だ。音楽信号が微弱な状態のままではスピーカーを動かせない。ゆえにパワーアンプが必要となる。

なお、その増幅のさせ方(動作方式)にはタイプ違いが存在している。そして各タイプにはそれぞれメリットとデメリットがある。なので、パワーアンプ選びをする際には「動作方式」にも着目すると、マイベストを選び出しやすくなる。

さて。カーオーディオのパワーアンプにおいての「動作方式」は、以下の3タイプが存在している。「A級」、「AB級」、「D級」、この3つだ。

この中で、音質的に有利とされているのは「A級」だ。しかし「A級」は効率があまり良くない。ゆえに、大きな出力を出しにくい。そして、電気の消費量が多めで、さらには発熱量も多めだ。なので、扱いが難しくなる傾向がある。パッテリーに対して優しくなく、そしてインストールの際には発熱対策を他の「動作方式」のパワーアンプ以上に念入りに行う必要があるのだ。

なおカーオーディオではほとんど採用されていないが、「A級」に対して逆の特徴を持つのが「B級」だ。「B級」は効率が良いので大出力を出しやすく、消費電力も少なめだ。しかし、音質性能的には不利がある。歪みが出やすいのだ。

で、「AB級」はそれらの良いとこ取りがされている。効率は「A級」ほどは悪くないのである程度のパワーも出せる。それでいて音質性能的にも「B級」よりよほど良い。

であるのでカーオーディオにおいては、「AB級」が主流となっている。

A級パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ・プレシジョンワン)。A級パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ・プレシジョンワン)。

不利が克服された「A級」モデルが続々登場!?

とはいえ、「A級」の「動作方式」が採用されたパワーアンプも根強く支持され続けていて、新たな「A級」モデルも一定ペースでちらほらとリリースされ続けている。そして最新の「A級」モデルでは、回路に工夫を凝らすこと等で不利とされる部分が気にならないレベルに抑えられているモデルもある。なので、「A級」は使いづらいと決めつけてしまうべきではない。

その一方で、「A級」のパワーアンプの中には消費電流が特に多いモデルがあることもまた確かだ。なので気に入ったパワーアンプが「A級」だった場合には、バイアス電流(アイドリング電流)と呼ばれる常時必要とされる電流がどれくらいなのかをチェックして、自分のクルマで使う場合それが問題となるのかどうかをカーオーディオ・プロショップにて確認しよう。そこのところはくれぐれもお忘れなきように。

または完全なる「A級」ではないのだが、それに準じた独自の動作方式が採用されたモデルもいくつかある。このように「準A級」とも呼ぶべきモデルでは、使い勝手は「AB級」のモデルと大きくは違わなかったりもする。なおこれらは、比較的にハイグレードなモデルである場合が多い。

ところで、「純A級」もしく「準A級」のパワーアンプの方が「AB級」のモデルよりも絶対的に高音質というわけではないので、そこのところも誤解のなきように。「A級」の「動作方式」では理論上歪みが出にくいことは確かだが、優れた「AB級」のパワーアンプも多々ある。なのでそこのところも決めつけず、最終的なチョイスにおいては試聴した上で判断しよう。

AB級パワーアンプの一例(グラウンドゼロ・GZPA 4SQ)。AB級パワーアンプの一例(グラウンドゼロ・GZPA 4SQ)。

「D級」のパワーアンプは効率が良く、消費電力も特に少ない!

続いては、「D級」のパワーアンプについて説明していく。なおこれは、その他の「動作方式」とは仕組みが大きく異なっていて独立した存在となっている。

で、「D級」の「動作方式」には以下のようなメリットが備えられている。まず、効率が良く消費電力が少ない。なので発熱量も少なめで、ハイパワー化もさせやすい。また、小型化も図りやすい。

ただし、音質性能的には不利があるとされてきた。しかし、それは過去の話になりつつある。今や高音質な「D級」パワーアンプは多々ある。音質性能的なビハインドを感じさせないモデルが多くなっているのだ。

そして何より「D級」のパワーアンプは、使い勝手が高い。超小型化も図れるので、シート下に入れられるのはもちろん中にはグローブボックス内に収められるほどの小型化が果たされたモデルもある。そして消費電力が少ないので、電気自動車やハイブリッド車にも向いている。つまり「D級」のパワーアンプは時代に合っている。結果、リリースされる数も増加傾向にある。

ところで、サブウーファー用のモノラルパワーアンプは、そのほとんどが「D級」だ。サブウーファーを鳴らすには出力の大きなパワーアンプの方が向いているからだ。そして超低音を鳴らす分には、音質性能的な不利も現れにくい。デメリットよりもメリットが大きい、というわけだ。

なお、サブウーファーを鳴らすのに「D級」が優れているポイントは、パワーを稼げることにとどまらない。「D級」パワーアンプは実は、振動板を止める力も強い。結果、締まった低音を出しやすく、切れ味良くリズムを刻める。サブウーファーに専用のパワーアンプをあてがうとシステムが大型化しがちとなるが、質良く超低音を鳴らすことにこだわるのであれば「D級」の専用パワーアンプが利点を発揮する。覚えておこう。

今回は以上だ。次回もカーオーディオにおいてのこだわりポイントの解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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