今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part1「スピーカー編」その1「カスタムフィット」とは? | Push on! Mycar-life

今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part1「スピーカー編」その1「カスタムフィット」とは?

カーオーディオに興味を持ちつつも「なんとなく分かりづらい…」、そう感じているドライバーは少なくないようだ。そういった方々が抱いているであろう“素朴な疑問”を解説していく特集を開始する。まず今回は、「カスタムフィット」というワードに焦点を当ててみる。

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カスタムフィット・スピーカーの一例(フォーカル)。
  • カスタムフィット・スピーカーの一例(フォーカル)。
  • カスタムフィット・スピーカーの一例(カロッツェリア)。

カーオーディオに興味を持ちつつも「なんとなく分かりづらい…」、そう感じているドライバーは少なくないようだ。そういった方々が抱いているであろう“素朴な疑問”を解説していく特集を開始する。まず今回は、「カスタムフィット」というワードに焦点を当ててみる。

“簡単取り付け”を意味しながらも、実のところは…?

カー用のスピーカーを物色すべくメーカーのHPやカタログを見ていると、「カスタムフィット」というワードが目に入ってくるはずだ。この言葉の意味するところがピンと来ない、そう感じたことはないだろうか。

結論から入ろう。「カスタムフィット・スピーカー」とは、「簡単に取り付けられるスピーカー」という意味である。そもそも“カスタム”には“あつらえる”とか“特別仕様”という意味があるが、それに“フィット”が付くと、“ぴったり合う”とか“適合する”という意味となる。つまり、「取り付け性が高いスピーカー」というわけなのだ。ちなみにこれの同義語として「トレードイン」という言葉が使われることもある。

とはいうのもの、「カスタムフィット」とうたわれているスピーカーであっても、実のところ取り付け作業はそれほど“簡単”ではなかったりもする。

まず、内張りパネルを外す作業が慣れていない人にとっては難易度が高い。さらには、純正スピーカーが取り外し難い場合も少なくない。純正スピーカーは交換される前提で取り付けられてはいないので、固定用のリベットが取り外せるようにはなっていないケースもある。そうであればリベットをドリル等で破壊してから取り外すこととなる。この段階ですでに、一般的な“簡単”というイメージとは少々趣が異なる。さらに言えばコツやセオリーもいろいろとある。それらを知っていないと、スピーカーの性能を引き出しきれない。スピーカー交換はそもそも“簡単”ではないのだ。

“簡単”の程度は、製品のグレードに応じて変化する!?

なお、同じように「カスタムフィット」とか「トレードイン」と呼ばれていても、“簡単”の度合いは製品ごとである程度変わってくる。異なるポイントとなるのは付属パーツの内容だ。取り付け用のスペーサーからケーブル類まで必要部材が多彩に同梱されているケースもあれば、ネジ類だけしか同梱されていない場合もある。前者のようなタイプの製品であれば、用意しなくてはならないものが少ないのでその点においては“簡単”度合いが高くなるが、そうでない場合には“簡単”度合いが低くなる。

ちなみに、取り付けスペーサーが同梱されていないモデルでは、何らかの“インナーバッフル”を用意しなくてはならなくなる。しかし、簡易的な取り付けスペーサーを使って取り付けるよりもしっかりした“インナーバッフル”を用いた方が、音的には好結果が得られやすくなる。つまり取り付けスペーサーを同梱しないのは、より良い“インナーバッフル”を使うことを想定してのことでもある。

しかしリーズナブルな製品では、取り付け性を高めることが優先されるので簡易的な取り付けスペーサーも同梱されたりもする。製品ごとで優先ポイントが変わってくるのだ。

さて、このように程度の差はありつつも「カスタムフィット・スピーカー」もある程度は取り付けに手間が掛かる。しかしながらなぜに“簡単”だとされているのかと言うと…。

理由はズバリ、「大掛かりな改造をすることなく取り付けられるから」だ。高級なスピーカーの中には取り付ける際に大掛かりな改造を伴うモデルが多くある。しかし「カスタムフィット・スピーカー」ならそうなる可能性がかなり減る。

「カスタムフィット・スピーカー」は、ドアの内張りパネル内に収まる可能性がかなり高い!

ちなみに、大掛かりな改造が必要となる主たる原因は、スピーカーの厚みだ。高級なスピーカーになるほど厚みが増してくる。なぜならばスピーカーは、音質性能を上げようとすると自然と作りは屈強になり大型化するからだ。磁気回路は大きく作った方が駆動力が上がるし、フレームもがっちりとした構造になっている方が振動板の動きをしっかりと支えられる。口径はタイプごとで一定だが、高級品になればなるほど奥行き方向についてはサイズが大きくなっていく。

であるので高級スピーカーを取り付けようとするときには、ドアの内張りパネルをカットする必要性が高まる。しかし、「カスタムフィット・スピーカー」ならそうなることはほとんどない。

というわけで「カスタムフィット・スピーカー」とは、「大改造することなく取り付けられるスピーカー」、そう理解しておくと良いだろう。つまりは「内張りパネル内に収められるスピーカー」ということでもある。

ちなみに、「カスタムフィット」とうたわれていなくても、ある程度厚みが抑えられたモデルも多々ある。内張りパネルをカットする等の改造をすることなくスピーカーを取り付けたいと思ったら、スピーカーの厚み(取り付け奥行き寸法)をチェックしよう。

なお、「車種専用スピーカー」の場合は、取り付けに必要なパーツがほぼすべて同梱されている場合が多い。“簡単”に取り付けられることを重んじるのであれば、「車種専用スピーカー」にもご注目を。

今回はここまでとさせていただく。次回以降も、カーオーディオにまつわる“素朴な疑問”を1つ1つ解消していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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