魅惑の“外部パワーアンプ・ワールド”への誘い…。Part1「使う意義とは?」 | Push on! Mycar-life

魅惑の“外部パワーアンプ・ワールド”への誘い…。Part1「使う意義とは?」

スピーカーを鳴らすためには、何らかの「パワーアンプ」が絶対的に必要だ。なので、純正、市販を問わず、カーオーディオメインユニットには「パワーアンプ」が内蔵されている。しかし…。「それを使わない」という選択肢が有り得ている。

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
パワーアンプの一例(アークオーディオ)。

スピーカーを鳴らすためには、何らかの「パワーアンプ」が絶対的に必要だ。なので、純正、市販を問わず、カーオーディオメインユニットには「パワーアンプ」が内蔵されている。しかし…。「それを使わない」という選択肢が有り得ている。

「内蔵パワーアンプ」の代わりに「外部パワーアンプ」なるものを用いてシステムを構成する、という方法論が存在しているのだ。さて、それにはどのような魅力がありどのようにするとより楽しめるのか…。そこのところを深掘りしていく短期集中特集をスタートさせる。まず今回は、「外部パワーアンプ」を使うメリットについて考察していく。

ボディの大きさの違いは、性能の違いにダイレクトに影響する!

カーオーディオシステムの音を良くしようと思ったとき、そのやり方はさまざまある。ちなみに言うと、もっともスタンダードな方法は、「スピーカー交換」だ。もともと装着されている純正スピーカーを取り外し市販モデルへと交換することで、つまりは音の出口となる機械の質を上げることで、音質をガラリと変えようとする、というわけだ。

対して、今回テーマに据えている「外部パワーアンプを追加する」というアプローチは、初めの一歩として取り組まれるケースは少ない。しかし「スピーカー交換」後の次の一手としては実に有効な方法とされている。

なお、初めの一歩として取り組まれることが少ない理由はいくつか考えられるのだが、「純正スピーカーと組み合わせるにはオーバースペックだから」というのも理由の1つと言えるだろう。しかし「スピーカー交換」をした後であれば、話が変わる。「外部パワーアンプ」を使うことで、交換したスピーカーの良さをさらに引き出すことも可能となる。

このように「外部パワーアンプ」は、「内蔵パワーアンプ」と比べてポテンシャルが高い。一部、ハイエンドなAV一体型ナビには高性能な「内蔵パワーアンプ」がおごられてはいるものの、一般的なメインユニットの「内蔵パワーアンプ」と「外部パワーアンプ」とでは、名前は同じ「パワーアンプ」でも、“別モノ”というほどの違いがあるのだ。

そこまでの実力差が生じる主たる要因は、大きさにあると言っていい。メインユニットはサイズが1DINまたは2DINサイズと相場が決まっている。そしてそのボディの中には他のさまざまなメカも詰め込まざるを得ないので、パワーアンプに割けるスペースは限られる。対して「外部パワーアンプ」は信号の増幅を行うための専用機でありながら、メインユニットよりも大きい場合がほとんどだ。その差が音に出ないはずはないのだ。

エンジンは排気量が大きいほど性能的に有利。「パワーアンプ」も電源部等が大きい方が音に効く!

ちなみに「外部パワーアンプ」は、高性能なものに仕上げようとすればするほど、ボディは大きくなっていく。音を増幅するという仕事を遂行するためには多くの電気が必要となるのだが、性能を上げていこうとするとより強力な電源部等が必要となり、筐体が大きく成らざるを得ないのだ。

その点においては、クルマのエンジンと同様だ。エンジンも性能を上げていこうとすると排気量が増えていく。もちろん、排気量の大きさだけで性能が決定されるわけではないが、排気量が大きい方が有利であることもまた確かだ。「パワーアンプ」もそれは同じ、というわけなのだ。

しかし「内蔵パワーアンプ」はそうはいかない。制約の中で設計するしかなく、電源部のサイズも限られる。

さて、ボディサイズの違いが性能にどれくらいの影響を及ぼすのかというと…。エンジン性能の違いは“馬力”を比べるとイメージしやすいが、「パワーアンプ」では“出力”がそれに相応する。この数値が、「内蔵パワーアンプ」と「外部パワーアンプ」とでは、かなり異なる。

ちなみに、“出力”表示には2種類が存在している。1つが「最大出力」でもう1つが「定格出力」だ。前者は、一時的に発揮できるパワーのことを指し、後者はコンスタントに発揮できるパワーのことを指す。なお、「パワーアンプ」のパワー比較がされる際には「定格出力」で比べられることが多い。

で、「内蔵パワーアンプ」の「定格出力」はどのくらいなのかと言うと、機種によってばらつきはあるものの、大抵は20W台、といったところだ。

パワーに余裕が生まれ性能が上がっていくほどに、質感と再現性がアップ!

対して、市販の「外部パワーアンプ」は、手頃なモデルでも50W以上が確保されている場合が多く、中級グレードのモデルともなると100W程度を発揮するものもざらにあり、中には200Wや300Wといった大パワーを発揮する製品も少なくない。ここまでのパワー差があれば、当然ながら性能にも違いが現れる。

そしてその上で「外部パワーアンプ」は、各パーツにより多くのコストを掛けられる。しかし「内蔵パワーアンプ」は、その点でも制約が多い。他のメカにもコストを掛ける必要があるからだ。

こうして、パワー差とパーツクオリティの差が、性能差となって表れる。音量的な差ももちろん出てくるが、それ以上に“質”に差が出る。ちなみに「内蔵パワーアンプ」でも、実用上で音量的なパワー不足を感じることはほとんどない。なので、音量差はそれほどクローズアップする必要はないだろう。着目すべきは“質”の差だ。

例えば、パワーに余裕が生まれ性能が上がっていくほどに、歪みの成分が出にくくなる。そうであれば音がクリアになり、各楽器の音の分離も良くなっていく。また、音の輪郭もシャープになる。そして、細かな音の再現性も上がってくる。よく言われることだが、「聴こえていなかった音が聴こえてくる」というようなことも起こり得る。

さらには表現力も上がってくる。小さい音と大きい音の差をより大きく表現できるので、抑揚の再現性が高まり、リズム的な躍動感も増してくる。結果、各楽曲が持つ説得力や感動力が大きくなる。

大排気量のエンジンが走りに余裕と快適性を与えるように、力強い「外部パワーアンプ」は、音楽再生の質感を向上させ表現力を高めてくれる、というわけなのだ。

さて、次回以降は、「外部パワーアンプ」の導入を、よりスムーズにそして有意義に行うための方法論を解説していく。カーオーディオシステムをレベルアップさせることに興味があれば、続編もお読み逃しのなきように。

《太田祥三》

特集

page top