フロントスピーカーの“セッティング術”、大研究!! 第3回「インナー?アウター?」 | Push on! Mycar-life

フロントスピーカーの“セッティング術”、大研究!! 第3回「インナー?アウター?」

カーオーディオでは、好みの音を奏でられるスピーカーを見つけられたその次には、それを「どう鳴らすか」を考える必要性が生じる。セッティング次第で鳴り方が変わるからだ。というわけでその“セッティング術”のいろいろを研究する、短期集中連載をお届けしている。

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「アウター化」されている例(製作ショップ:イングラフ<青森県>))。
  • 「アウター化」されている例(製作ショップ:イングラフ<青森県>))。
  • 「インナーセッティング」されている例。
  • 「アウター化」されている例(製作ショップ:サウンドステージ<香川県>))。

カーオーディオでは、好みの音を奏でられるスピーカーを見つけられたその次には、それを「どう鳴らすか」を考える必要性が生じる。セッティング次第で鳴り方が変わるからだ。というわけでその“セッティング術”のいろいろを研究する、短期集中連載をお届けしている。

3回目となる当回では、ドアに取り付けるミッドウーファーの“セッティング術”についての考察をお届けする。

より手軽なのが「インナーセッティング」、より音に効くのが「アウター化」。

ミッドウーファーのセッティングスタイルは大きく2タイプに分類できる。1つが「インナーセッティング」で、もう1つが「アウター化」だ。つまりは、ドアの内張りパネル内に収めて取り付けるか、スピーカーの取り付け面をドアの内張りパネル面まで立ち上げるか、この2つに1つ、というわけだ。

それぞれの有利点・不利点、そして音に効くセッティング・テクニック等々を解説していこう。まずは「インナーセッティング」から。なお、採用率が高いのはこちらの方だ。その理由は主には2つある。1つは「工賃を抑えられるから」、もう1つは「内張りパネルにダメージを与えないですむから」だ。

しかしながら音的なアドバンテージがあるのは、「アウター化」だ。「アウター化」すればスピーカーから放たれる音が内張りパネル内に入り込まない。つまり、スピーカーが発する音がロスなく車室内に放出されるのだ。この差は大きい。

とはいえ、コストを抑制できることと内張りパネルを傷つけなくてすむことも、代え難いメリットだ。ゆえに「インナーセッティング」は、スタンダードな方法と成り得ているのだ。

ちなみに、カーオーディオ・プロショップに仕事を頼めば、「インナーセッティング」であっても最大限、音に効く取り付け方をしてもらえる。ただし、予算によってもできることが変わってくる。なので、どこまで手を掛けるかは効果と費用を天秤にかけて判断することとなる(後から追加していくのもアリ!)。なお、“デッドニング”もドアスピーカーのセッティングテクニックの1つだが、これについては次回に詳しく解説する。

「インナーバッフル」をワンオフすると、より高音質が引き出せる!?

さて、「インナーセッティング」をする際の音質向上策にはどのようなものがあるのかを解説しよう。“デッドニング”以外でポイントとなるのは、「インナーバッフル」だ。

「インナーバッフル」はスピーカーを取り付ける際の必需品であるが、低コストで収めようと思うのなら、市販品を使うという手も浮上する。しかし、音にこだわるのであればワンオフした方が有利だ。

ワンオフすることで得られるメリットは主には3点ある。1点目は「形の自由度が高いこと」だ。愛車に対して、そして使用するスピーカーに対してベストな形で製作できるので、より高音質な「インナーバッフル」に仕上げられる。というのも「インナーバッフル」はできれば大きめに作った方が良い。大きく作った方がスピーカーの振動がドアの鉄板に伝わりにくくなるし、スピーカーをより強固に固定できる。

2つ目の利点は「材質を選べること」。これについてはショップごとで考え方が異なる部分もあるが、より堅い材質の合板を使った方が「インナーバッフル」の性能は上がる傾向にあり、または耐久性を高めるためにアクリル板が使われることもある。さらには市販の金属バッフルが組み合わされたりもする。

そして3つ目のメリットは、「厚みを変えられること」。厚くすれば、スピーカーをぎりぎりの高さまで立ち上げられる。そうすれば、内張りパネル内に音が回り込む量を減らせるのだ。

ただし、厚くすることで背圧(スピーカーの裏側から放たれる音エネルギー)の“抜け”が悪くなることもある。なので、その対策を講じる必要性も生じる。つまり製作の難易度は上がるのだが、上手く仕上げられれば、より良い状態でスピーカーをセットできる。

ミッドウーファーの“角度付け”や“エンクロージャー化”も有効!

続いては、「アウター化」を行う場合の音に効くセッティング・テクニックを解説していく。基本的なこととしては、スピーカーを立ち上げる「インナーバッフル」をより強固に作ることや、背圧の“抜け”を良くする工夫を施すこと等が重要となるのだが、今回はプラスαのスペシャルなセッテイング・テクニックを紹介していこうと思う。

主には2つある。1つは、「角度を付ける」で、もう1つは「エンクロージャー化する」だ。なお、「角度を付ける」ことについてもいろいろな考え方があるのだが、一般的には、少しでもリスナー側に向けることでより多くの情報量を受け取れるようになることが利点だとされている。

ただし、左右で異なる角度で仕上げると、右と左のコンディションが変わることとなる。スピーカーは基本的には、左右で状況・条件が異なるのはNGだ。また、角度を付けることにより“背圧”の抜け方がスムーズではなくなる場合も有り得る。なのでそういった難点を嫌って角度付けを敬遠する考え方もあるのだが、上手く仕上げられればメリットが得られることもまた確かだ。

また、「エンクロージャー化する」ことでも確実にメリットが得られる。メリットとはズバリ「スピーカーをコントロール下に置けること」だ。容量や構造をしっかりと設計することで、狙ったとおりの鳴り方をさせられるのだ。

とはいえ、ハードルはかなり高い。17cmクラスのスピーカーであれば特に、エンクロージャーをある程度大きくしなければならないが、大きくなればそれをドア内部に組み込むのが物理的に難しくなる。しかし、それを乗り越えられるとより良い音が得られやすくなる。興味があれば、ショップとご相談を。

今回はここまでとさせていただく。次回はこれに引き続いて、“デッドニング”についての考察をお届けする。お楽しみに。

《太田祥三》

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