【メルセデスベンツ Vクラス 海外試乗】商用車感を完璧に払拭!「ぎゃふん」の一言に尽きる…今井優杏 | Push on! Mycar-life

【メルセデスベンツ Vクラス 海外試乗】商用車感を完璧に払拭!「ぎゃふん」の一言に尽きる…今井優杏

◆国産ミニバンの脅威になる存在 ◆2つの大きなアップデートで商用車感を払拭 ◆走りの楽しさ+ゴージャスな内装

自動車 試乗記
メルセデスベンツ Vクラス 海外試乗
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国産ミニバンの脅威になる存在

「ぎゃふん」の一言に尽きる。好き嫌いは置いといて、日本人としてやっぱどこかで誇りに思っていたのだ。ミニバンというパッケージにおける、国産車の完成度を。だって、おもてなし精神や相手を思いやる気持ちに関しては、日本人のホスピタリティって他国の追随を許さないと思うし。なんだかんだ忖度するし、細かい作業得意だし。

しかし、今回の『Vクラス』は今後、脅威になってくると思う。その息吹を確実に感じた。

2つの大きなアップデートで商用車感を払拭

新型Vクラスのポイントは大きく2つだ。まず、これまで商用車ラインで生産されていたのが、新型以降、乗用車ラインに生産を移すということ。それだけでも飛躍的なクオリティアップが想像に難くない(し、いよいよ売る気になったのかとも推測できる。これまであんまり販売に積極的だったように思えなかったから)。

さらに新パワートレーンを搭載したこと。すでに『Eクラス』や『GLE』、『CLS』に搭載されているOM654型と9速AT(同社では9G-トロニックと呼ぶ)の組み合わせは、Vクラス初採用となる。

これらによってどうなったか。ズバリ、現行型にはそこここにまだ漂っていた商用車感が、完璧に払拭されたのだ。ジェントルで驚異的に静か、そしてどこまでもフラット。

そもそも商用ベースで開発された堅牢なプラットフォームを活かし、驚くべき運動性能を発揮している。しかし、私有地に入るときなどの段差や、駐車場から外に出るときなどに大開口ボディに起こりがちなリア側のねじれや遅れなどを最小限に抑えているのは、剛性ボディの恩恵だけではなさそうだ。

走りの楽しさ+ゴージャスな内装

OM654型はアルミシリンダーの採用でかなりの軽量化が図られているのも特徴の一つだが、Vクラスに至ってもエンジンブロックだけで先代比-25kg。つまりそれだけフロントアクスルにかかる重量を抑えられているのだ。これがまさにギャップのいなし、吸収に貢献しているのではないかな、と感じた。後ろにゴージャスなマッサージチェアみたいなゴツいシートがたらふく乗っかって、鼻先は逆に軽くなったことで、前後バランスが整った感じ。

そしてパワフルなトルクもウリのOM654だから、静かとはいえ登坂も大得意。グイグイとコーナーを駆け上がっていくあたりは爽快感すら感じさせる。しかし、進む方はもとより停まる方、つまりブレーキの質感向上は先代の比じゃない。完全停止までカックン、とならない、コントローラブルなそれを手に入れている。

こういう「走りの楽しさ」に、日本の誇るミニバンを徹底的にベンチマークしてきたというゴージャスな内装を載っけるんだからたまったもんじゃない。「ハイ、メルセデス!」のMBUX搭載は次モデルに見送りだし、正直、シートアレンジや後席のエンタテイメントシステムにはまだまだ進化の余地はありそうだけど、メルセデスベンツが本気になると、ちょっと怖い。うかうかしてたらあっという間に勢力図がひっくり返っちゃうかもしれません。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

今井優杏|モータージャーナリスト
レースクイーン、広告代理店勤務を経て自動車ジャーナリストに転向。WEB、自動車専門誌に寄稿する傍らモータースポーツMCとしての肩書も持ち、サーキットや各種レース、自動車イベント等でMCも務めている。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

《今井 優杏》

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