【マツダ CX-3 試乗】形は同じでも中身は別のクルマ…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【マツダ CX-3 試乗】形は同じでも中身は別のクルマ…中村孝仁

自動車 試乗記

マツダ CX-3
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僕「ライバルはホンダ『ヴェゼル』あたりですか?もしそうなら、これ売れないですよ」
冨山氏「いや、売れなくていいんです」

これ、今から3年前、『CX-3』がデビューした時に主査の冨山道雄氏と交わした会話である。居並んだエンジニアは「ヴェセルを検討するお客様の一人か二人がこちらを振り向いてくれればそれでいいんです」と。冨山氏の「売れなくていいんです」は極論であって、まさにエンジニアが言った一人か二人、振り向いてくれた人のためのクルマがCX-3だというわけだ。

当時僕は畳みかけるように「これ、一応SUVですよね。それにしては室内は狭いし、ラゲッジスペースなんて極端な話、デミオよりちっちゃいし」と言うと、冨山氏からはSUV的な形はしていますけど、むしろデザインで買って頂くクルマという思いで作りました…といったニュアンスの返事が返ってきた記憶がある。

あれから3年、CX-3は何と今回で4回目の商品改良を迎えることになった。しかも今回は「クロスオーバーSUVの原点に立ち返り、独自の世界観を持ち、主体的に人生を歩むお客様の意思を代弁する存在を目指しました」と来た。おいおい、SUVの原点って一体何だ?と突っ込みたくなる。

そもそもヴェゼルを相手にライバル視するような存在のクロスオーバーSUVではなかったことは、その機能性の低さからも容易に想像が付いた。そもそも論だが、いいクルマって一体何?って話になる。売れてるクルマがいいクルマなのか?マツダの論理から行けば売れなくてもよいわけだから、その論理は当てはまらない。でも、CX-3、当時は個人的にすごくいいクルマだと思った。上質だし、そこそこ乗り心地や運動性能のバランスもとれていたし、何よりディーゼル専用車という、これまた割り切った考え方にも好感が持てた。

ところが3回目の商品改良で、何とガソリン車が出てきた。当然ディーゼルと比べたら30万円ほど安い。つまりはより幅広い顧客層を取り込むべく、売れる…を意識したと。まあ、それはそれで良い。その商品が良ければ…という話になる。当時投入されたガソリン版に関しては、まあ要するに距離走らないお客様向けのCX-3…そんな印象だった。

そもそも、CX-3はセンスの良いクルマという印象がある。コンパクトでプロポーションが良く、特に小さなボディでタイヤを大きく見せたそのデザインは、まるでレンダリングの世界から飛び出してきたような世界感を作り上げていた。搭載されたエンジンは2リットル直4NAユニット。これに6速ATの組み合わせである。常用域のパフォーマンスは少なくとも十分。今回の商品改良では吸気ポート改良、ピストン形状変更、噴射システムの高効率化等々結構細かく改良が施された。と言ってもそれが性能に反映されたのは2psのパワーアップと3Nmのトルクアップだから、体感的にはほとんど変わりない。

だが乗ってみると違う。というのもそもそも今回の変更点の大きな要素としては、シャシー側の変更の方が大きいからで、これについてはいずれディーゼル試乗でゆっくり解説するが、あれやこれや色々とやった結果、従来型よりも走りのスムーズさは格段に進歩し、乗り味が変わっているのだ。ガソリンで楽しい部分と言えば、シフトレバーの付け根に付くモード切り替えでスポーツが選択できること。これ、ディーゼルモデルには付いていない。何でディーゼルには付いていないかというと、シフトプログラムを変えて高回転までディーゼルを引っ張ってもあまり意味がないから、ということになるがまさにこれこそがガソリン車の特権であって、高回転を回す意味がそこにあるというわけだ。

内外装も変わった。と言っても正直外装に関していえば、それで良くなったという印象はない。特にグリルのデザインなど、個人的には旧型の方が良かったとさえ思う。でもインテリアは違う。一番大きな変化は電動パーキングブレーキが装備されたおかげで、センターコンソール回りが大きく変わった。正直カップホルダーの四角いデザインはいかがかと思うが、この電動化のおかげでACCが停車まで対応するようになったから大変化である。さらにフロントシートにはCX-8に使われるのと同じウレタンフォームが使われ、より快適性を担保している。

ということで、明らかに3年前のクルマとは異なる上質感を作り上げ、CX-3という同じ形をしていながら、別なクルマに変貌する様が良く感じられる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
《中村 孝仁》

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