【トヨタ ヴェルファイア 試乗】2列目の住人には、V6だろうがHVだろうがどうでもいい話…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【トヨタ ヴェルファイア 試乗】2列目の住人には、V6だろうがHVだろうがどうでもいい話…中村孝仁

「エグゼクティブラウンジZ」のお値段、素の状態で何と750万8160円である。これにもし何か付ければ、即800万円。そして乗り出しは900万円になる。一番お高いメルセデスのミニバンよりも高価だ。それでもなぜ人気となったのか。

自動車 試乗記
トヨタ ヴェルファイア エグゼクティブラウンジZ
  • トヨタ ヴェルファイア エグゼクティブラウンジZ
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「エグゼクティブラウンジZ」のお値段、素の状態で何と750万8160円である。これにもし何か付ければ、即800万円。そして乗り出しは900万円になる。一番お高いメルセデスのミニバンよりも高価だ。それでもなぜ人気となったのか。

理由は至って簡単で、すごく豪華に見えて、快適な移動が可能で、広々とした空間は大人びていて、最後の決め手は多くの芸能人や政治家などのVIPが愛用しているから。

もう一つある。それはリセールバリューが異様に高いから。つまり、乗っていて売却しても損はしないクルマだからという側面も大きいと思う。多少無理をして買っても、リセールがいいから次に繋がるというわけだ。そのリセールバリュー、3年乗った兄弟車の『アルファード』は楽々と残価率80%を超えて、90%に近い。つまり、まあ走行距離にもよるのだろうが、3年乗って750万円のクルマを600万円以上で下取ってもらえるというわけだ。

これなら人気が出ても不思議ではないが、それはこのクルマがおおよそ3年かけて積み上げてきた実績であって、いきなりそうなったわけではない。今回試乗したヴェルファイアは3.5リットルV6を搭載した最上級モデル。今時V6エンジン自体珍しい存在になっているが、こいつがもたらす怒涛の加速感はやはり乗ってしまうと病みつきになる。

しかし、今回試すべきはその怒涛の加速でも快適な室内でもなく、実はマイナーチェンジで新たに付いたトヨタセーフティーセンスのレーダークルーズコントロールやレーン・トレーシング・アシスト(LTA)などである。これまでトヨタの安全技術は大まかに言って安いグレードの「セーフティーセンスC」と高級グレード用の「セーフティーセンスP」に別れていたが、これからは基本技術は共有し、クルマの価格などに応じて装備するものとしないものをわけるようにして、名前は単にセーフティーセンスとして統一することになったようである。

もっともよく良く話を聞いていると、核となる技術は3つほどでそれに数多ある技術を付加するかしないかは車種によって異なってくるようだ。まあ、追加される“おかず”はクルマの値段で変わるというわけで、従来のセーフティーセンスCとPと大きくは変わらない気がするが、そもそも論としてLTAや夜間の歩行者検知などはセーフティーセンスPでも設定がなかったものだけに、確実に進化はしているわけである。

空いた首都高で、ACCと連動させてLTAを試してみた。嫌がってキャンセルするケースは、逆光時やコントラストが急激に変わるトンネルの入り口や出口など。トヨタの石橋を叩いて渡る思想が反映されていて、不確実性が取り除かれているが、LTAが作動している状態での車両の動きは極めて安定し、レーンの中を直進する。同じ機能でもクルマ、あるいはメーカーによっては、白線を上手く認識しないのか、車線内でふらつくケースがあるのだが、トヨタのそれはビシッと走ってくれる。また、ACCの設定スピードに上限がなくなった。これも来るべき高速道路の制限スピードアップに対応するもので、ようやく全車速対応のACCが本当に使えるものになった気がする。

ミニバンを試乗して単に運転するだけで終わるほど空しいものはない。何しろこのクルマの神髄は「社長の席」。即ち2列目にあるのだから。今回もその社長の席に社長を乗せ、秘書は素早く3列目に乗るために、3列目へのアクセスを手動式として時短を図ったシステムが取り入れられている。というわけで、今回も同業者とコンビを組んで、2列目シートのインプレも行わせていただいた。

ただ、主査の吉岡憲一氏も話していたが、ドンガラの大きなこの手のミニバンの場合、大きなサイドスライドドアという開口部を持つ性格上、2列目シートの快適性を確保するのは至難の業で、どうしてもドライバーズシートが特等席になってしまう。今回の場合は、構造用接着剤を使うなどしてボディ剛性を高めて快適さをアップしたと話しておられたものの、やはりシートに伝わる微振動は取り切れておらず、快適ではあるが、乗り心地的には特等席ではないのかな?という印象を持った。

しかしそうは言うものの、のんびりと寛げるという点において、今のところこのクルマの右に出るものはないかもしれない。怒涛の加速感は完全にドライバーの自己満足にのみはけ口を求め、2列目の住人はそのエンジンが3.5リットルV6だろうがハイブリッドだろうが、どうでもいい話…である。それにしても周囲も一目置き、快適かつ高性能で、しかも売ってある意味特をするクルマと来れば、誰もが欲しがるのは当たり前のような気がする。近年は中国や東南アジアでもこのクルマの人気ものすごいことになっているようだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
《中村 孝仁》

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