“音が良い”って素晴らしい!『スピーカー交換」のススメ! 第1回「音が良くなる理由とは?」 | Push on! Mycar-life

“音が良い”って素晴らしい!『スピーカー交換」のススメ! 第1回「音が良くなる理由とは?」

純正スピーカーの音に不満を抱きつつも、そこから“一歩”を踏み出せないという方たちに向けて、「スピーカー交換」の魅力と、それを実行するコツを紹介していく短期集中連載を開始する。第1回目となる今回は、スピーカーを換えることで音が良くなる理由を解説していく。

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スピーカー交換の例。
  • スピーカー交換の例。
  • 左が純正スピーカー。右側はエントリーグレードの市販スピーカー(4万円台の製品)

純正スピーカーの音に不満を抱きつつも、そこから“一歩”を踏み出せないという方たちに向けて、「スピーカー交換」の魅力と、それを実行するコツを紹介していく短期集中連載を開始する。第1回目となる今回は、スピーカーを換えることで音が良くなる理由を解説していく。

■純正スピーカーと市販スピーカーとでは、コストのかかり方が大きく異なる…。

結論から入ろう。「スピーカー交換」をすると音が良くなる第1の理由はズバリ、「純正スピーカー」には十二分にコストがかけられていないから、である。

「市販スピーカー」は、もっとも手軽なモデルであれば1万円前後から存在しているが、それらと純正スピーカーとを比べてみると…。特別なオプションスピーカーでなければ純正スピーカーはどれも、到底1万円以上のコストがかけられているようには見えない。ぱっと見、大体の純正スピーカーは、裏側についている磁気回路(スピーカーの振動板を動かすための心臓部)が貧弱だ。そしてフレームも樹脂製である場合が多い。いかにもコストが削れられていそうな雰囲気なのだ。

ちなみにスピーカーユニットは、かなりの“ローテク”な工業製品である。基本的な構造は、約100年前に発明されたそのままだ。磁気回路に電気信号が送られ、“フレミングの左手の法則”に従ってそれが動きに換えられて、振動板を動かし空気を震わせ音を発する。比較的にシンプルな構造のメカである。

だがしかし、構造的にはシンプルであり“ローテク”な工業製品でありながら、上級機種になればなるほど、素材に高級品がおごられたり、部品の質や組み上げの精度を高めるために超“ハイテク”な技術がふんだんに投入されたりする。大げさな言い方とすると、簡単に作ってしまってもなんとかなったりもするのだが、音にこだわれば、際限なくコストがかかる。

というわけで、純正スピーカーには残念ながら、あまりコストがかけられておらず、対して市販スピーカーでは、1万円台であってもそれなりにしっかりとコストがかけられている。そしてグレードが上がれば上がるほど、それに比例して性能も上昇していく。純正スピーカーには多くを望めないが、市販スピーカーには多くを望める。少しでも良いものを選べば、さらに音質向上幅も大きくなる、というわけなのだ。

■愛車の純正スピーカーに“ツィーター”が設定されていなかったとしたら…。

そしてもしも愛車の純正スピーカーが“フルレンジ”タイプであったなら、市販スピーカーに交換することで得られる音質向上幅は、さらに大きなものとなる。

ちなみに“フルレンジ”スピーカーというのは、ある意味、スピーカーユニットとしての理想形だ。1つのユニットだけで全帯域をクリアに再生できたなら、音のまとまりが良くなる等々、スムーズにステレオ再生を実行できる。しかしながら実際は、理想的な“フルレンジ”スピーカーを作り上げることは至難のワザだ。であるので、市販スピーカーはほとんどが、“セパレート”タイプとなっている。見かけ上“フルレンジ”タイプとなっている場合にも、中低音を再生する“ミッドウーファー”の同軸上に高音再生用の“ツィーター”が装着されている。スピーカーユニットとしては1つだが、実のところは“2ウェイ”スピーカーなのである。

それに対して、純正スピーカーの“フルレンジ”スピーカーには、高音再生用の“ツィーター”が装着されていない。口径の大きな“ミッドウーファー”だけで全帯域をカバーしようとしている。これではクリアな高音再生は望みにくい。

だが市販スピーカーに交換したなら、高音再生専用の“ツィーター”がもれなく付いてくる。もうそれだけで、音質向上は約束されたようなものなのだ。

■“セパレート2ウェイ”を選ぶと、聴こえ方をさらに変えていくことも可能となる。

また、“マルチウェイ”スピーカーの中でも、“ツィーター”と“ミッドウーファー”が分離している“セパレート2ウェイ”スピーカーをセレクトしたならば、さらに以下のようなメリットも享受可能となる。

クルマの場合、“セパレート”スピーカーには独特なメリットが存在している。それは、「音場を高くできる」、というものだ。

もしもスピーカーがドアにしか付いていなかったとすると、音は足元から発生されるので、音場も低い位置で展開されることとなる。しかしスピーカーが“セパレート2ウェイ”となり“ツィーター”を高い位置に取り付けられると、音場を高くすることが可能となるのだ。

その理由は以下のとおりだ。音には“指向性”という特性がある。音は高くなるほど“指向性”が強くなる。そして“指向性”が強くなると、音の出どころが分かりやすくなる。なので“ツィーター”を高い位置に装着すると、“ツィーター”から発せられる高音を敏感に感じることとなり、それにつられて中低音までも、高い位置から発せられているかのように感じ取れるのだ。

“フルレンジ”タイプのスピーカーには、音がまとまりやすい、取り付けがしやすい、というメリットがあるので、むしろこちらが好まれることもある。ただ、現代のカーオーディオでは、“セパレート2ウェイ”が主流になってきた。音が目の前から聴こえるようになることを利点と考えるユーザーは多い。

いかがだったろうか。車種によって細かな状況は異なるものの、純正スピーカーには大きな期待を寄せられない理由があり、対して市販スピーカーにはアドバンテージが多々ある。廉価なエントリースピーカーだったとしても、音が良くなる可能性を大いに秘めているのである。

さて次回もさらに「スピーカー交換」をすることによって音が良くなる理由の解説を続けながら、どのようなスピーカーを選べば良いかについても踏み込んでいこうと思う。ドライブに音楽は欠かせないと考えている方は、次回以降の当特集を、くれぐれもお読み逃しないように。

《太田祥三》

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