カーオーディオ、スペシャル・キーワード解説。特に分かりにくい用語を徹底研究! 第3回「基音」と「倍音」って、何? | Push on! Mycar-life

カーオーディオ、スペシャル・キーワード解説。特に分かりにくい用語を徹底研究! 第3回「基音」と「倍音」って、何?

カーオーディオにおける特に難解なキーワードを、深堀りして解説してきた当集中連載。今回は、その第3弾として、「基音」と「倍音」について考察していく。これらの言葉の意味を理解しておくと、「サウンドチューニング」を行うときにも役立つはずだ。

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ミッドウーファーの装着例。by ゼロビット(千葉県)
  • ミッドウーファーの装着例。by ゼロビット(千葉県)
  • カロッツェリア・サイバーナビの、「13バンドイコライザー」。

カーオーディオにおける特に難解なキーワードを、深堀りして解説してきた当集中連載。今回は、その第3弾として、「基音」と「倍音」について考察していく。これらの言葉の意味を理解しておくと、「サウンドチューニング」を行うときにも役立つはずだ。

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■音階を決める成分が「基音」、音色を決める成分が「倍音」。

最初に、言葉の定義を簡潔にご説明しておこう。まず「基音」とは、「楽器が発した音の中の、基本振動によって生じる音」であり、「音の高さを決める音」でもある。それに対して「倍音」は、「基音に対して、2以上の整数倍の周波数を持つ音」であり、「音色を決める成分」でもある。

例えば、オーケストラのチューニングで使われる「A」(ラ)の音をヴァイオリンが弾いたとしよう。そのときの「基音」は「440Hz」で、それに対して「倍音」が、880Hz(2倍の音)、1320Hz(3倍の音)、1760Hz(4倍の音)、2200Hz(5倍の音)2640Hz(6倍の音)…、という具合に乗っていき、ヴァイオリンの音色が決定される。

なお、「基音」に対しての「2倍音」は、ちょうど1オクターブ上の音である。
そしてこの440Hzの「4倍音」は1760Hzであり、この音は440Hzの音に対しての2オクターブ上の音である(1オクターブ上の音である880Hzの音の、さらに2倍の1760Hz)。そして「8倍音」は3520Hzであり、この音は440Hzの「基音」に対しての3オクターブ上の音である(1760Hzの音の、さらに2倍の3520Hz)。

その先でも9倍音、10倍音…と、整数倍で倍音が積み重なっていき、4オクターブ上、5オクターブ上、6オクターブ上と、オクターブ上のところでは、常に「倍音」が出現する。

ところで、「基音」と「倍音」の関係性について、おもしろい事例があるのでご紹介しておきたい。これを知っておくと「サウンドチューニング」の1テクニックとして役に立つはずだ。

それは、「気になる部分があったら、その音とオクターブの関係になっている音も疑うべし」というものだ。

例えば、「2kHz」あたりの音がうるさく感じられたとする。うるさいということは、このあたりがピークになっている可能性があるということなのだが…。しかし、「2kHz」のところを下げても、うるささが取れないときがある。

そんなときは、その音とオクターブの関係になっているバンドを下げてみると、「2kHz」の音のうるささが取れることがあるのだ。

「2kHz」のオクターブ下の音は、1kHz。1kHzのさらにオクターブ下の音は500Hz。500Hzのさらにオクターブ下の音は250Hz。250Hzの1オクターブ下の音は125Hz。

例えばカロッツェリアの『サイバーナビ』の「13バンドイコライザー」(写真参照)で見ると、「2kHz」とジャストでオクターブの関係となるバンドは、下から順に、「125Hz」、「500Hz」の2つだ。これらを下げてみると、「2kHz」のうるささが落とせる場合があるのだ。

中・高音のピークは、えてして、低域を下げることで消えることがある。中高域のうるささに対しては、「オクターブの関係にあるバンド」も疑ってみてほしい。

■低音がしっかり出ると、中・高音にも良い影響が出る。

なお、各楽器の「基音」の範囲を周波数として覚えておくと、それも「サウンドチューニング」において役に立つ。代表的な楽器について、「基音」の範囲の目安を以下に掲載しておくので、参考にしていただきたい。

・ピアノ=27.5Hzから、約4kHzあたりまで
・エレキギター=82.4Hzから、1.3kHzあたりまで
・4弦エレキベース=41.2Hzから、400Hzあたりまで
・ヴァイオリン=196Hzから、2.5kHzあたりまで
・トランペット=160Hzくらいから、930Hzあたりまで
・トロンボーン=80Hzくらいから、450Hzあたりまで
・バスドラム(キック)=60Hzくらいから、100Hzあたりまで
・シンバル=4kHzくらいから、12kHzくらいまで

これらを見ると、音楽においての「基音」の範囲は、ほぼほぼミッドウーファーが担当していることを再認識していただけると思う。トゥイーターは主に、「倍音」を担当しているユニット、というイメージだ。

さらに、「基音」と「倍音」に関して、もう1つ、言及しておきたいことがある。それは、「低音がしっかり出ると、中・高音にも良い影響が出る」というものだ。

サブウーファーを投入すると、低音が増強されて、音楽にパンチが出るのだが、同時に、中・高音の情報量が向上し、充実感が満ちてくる。これは、土台がしっかりすることで、「倍音」のノリが良くなるからである。サブウーファーの投入は、サウンド全体に影響を与える、ということを、くれぐれもお忘れなきように。

さて、「スペシャル・キーワード解説」は以上で終了だ。また機会があれば、この他のキーワードについて、深堀りする機会を設けたいと思う。第2弾にもご期待いただけたら幸いだ。

《太田祥三》

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