【インタビュー】マツダ 福原和幸常務執行役員 「進化のアクセラから反転攻勢」 | Push on! Mycar-life

【インタビュー】マツダ 福原和幸常務執行役員 「進化のアクセラから反転攻勢」

マツダの国内販売が苦戦を強いられている。2015年度は大半の企業が前年割れとなるなかで3.5%の成長を確保したものの、足元の4-6月は前年同期を約3割下回っている。

自動車 ニュース
マツダ 福原和幸常務執行役員
  • マツダ 福原和幸常務執行役員
  • マツダ アクセラの大幅改良を発表

マツダの国内販売が苦戦を強いられている。2015年度は大半の企業が前年割れとなるなかで3.5%の成長を確保したものの、足元の4-6月は前年同期を約3割下回っている。

メディア各社の共同取材に応じた国内営業担当の福原和幸常務執行役員に、現状の認識や巻き返し策などを聞いた。福原氏は、大幅改良を実施した『アクセラ』の投入を機に「反転攻勢させる」と強調した。

新世代商品群の第2章が始まった

----:16年度入りした4-6月期の販売は厳しい状況だが、どう分析していますか。

福原:昨年10月から前年比で落ち込んでいるが、いくつかの複合要因によると考えている。まず、われわれの商品投入が(昨年5月の『ロードスター』で)一巡したということがある。次いで、クリーンディーゼルでの競合が厳しくなっていることが挙げられる。ディーゼルは一昨年まで、ほぼ一人で勝負できる環境だったが、輸入車の投入が相当増えた。さらに市場全体の動きとして15年4月からの軽自動車税の増税の影響が続いている。

16年度の第1四半期が厳しいというのは以前からある程度想定していて、その範囲内にあると受け止めている。この7月に大幅改良した『アクセラ』を市場投入したのを機に、反転攻勢させていきたい。

----:アクセラは、新世代の車両運動制御技術である「G-ベクタリング コントロール」の搭載や安全技術などの進化を図っています。

福原:これらの技術進化は他の車種にも展開していく計画であり、われわれの新世代商品の第2章が、今月から始まったと考えている。

----:2012年の『CX-5』で始まったSKYACTIV商品群の第2章という位置づけですか?

福原:そうです。われわれのモノ造りの基本は、(中期的な商品展開の)「一括企画」という手法だが、これによって各車種はフルモデルチェンジまで何もしないのではなく、ある車種での進化を他の車種にも早期に展開して、絶えず商品を進化させることができる。今回のアクセラから、「走る歓び」と「人馬一体」を絶えず追求してきたモノ造りの第2章が始まったということだ。

クリーンディーゼルは、まだまだ拡大のポテンシャル

----:16年度の国内販売は、ほぼ横ばいの23万3000台を計画していますが、今の時点での見直しは?

福原:変えるつもりはない。ただ、(17年4月の予定だった)消費税増税の延期による駆け込み需要の影響はある。一定の駆け込みはあるという計画だったので、前提は変わってきている。

----:大幅改良のアクセラでは新たに1.5リットルのディーゼルを投入しました。これからも国内でディーゼルは伸ばせますか?

福原:われわれが12年にCX-5を出した時は、クリーンディーゼルの乗用車需要は年間8000台規模。それが15年には約15万台なので20倍くらいに拡大した。そうした急拡大のなかでの一服感はある。だが、ざっと年500万台市場での15万台なので3%程度でしかない。欧州メーカー各社も投入してきているし、まだまだ拡大のポテンシャルはあると見ている。

環境にやさしいというだけでなく、実用域でのトルクフルな走りといった大きな特徴もある。そうした点をお客様にもっとお伝えしていけば、まだ拡大できると思う。

顧客に一番近いカーメーカーめざして接点を拡充

----:08年のリーマンショック後からの経営立て直しのなかで国内外問わず「正価販売」に取り組んできました。国内でも相当浸透したのでしょうか。

福原:私はそう捉えている。メーカーが実際の販売条件のことを言うのは問題があるので難しいところはあるが、少なくとも「価格訴求」の販売から、商品の魅力をお客様にお伝えする「商品力訴求」ということへの理解は、すべての販売会社に浸透していると考えている。とくにCX-5以降の商品ではインセンティブ、つまり値引きではなく、商品そのものの価値を上げるためにコストを使おうとやってきた。まさにそれがメーカーの仕事なので、ぶれずにやっていきたい。

----:今年1月には大阪市に直営ショールームの「マツダブランドスペース大阪」を開設するなど、ブランド発信への取り組みも強化していますが狙いは。

福原:手前味噌になるかもしれないが、われわれは、お客様に一番近いカーメーカーだろうと思っている。そうした観点からも、ブランドスペース大阪などを接点に、お客様と当社の技術者がコミュニケーションするイベントを全国で拡充している。開発陣がお客様との接点を大切にすることで、当社のモノ造りが全社でもぶれないようにしていきたい。

《池原照雄》

特集

page top