『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの システム構築術 徹底解説! #3: フロント4chシステム | Push on! Mycar-life

『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの システム構築術 徹底解説! #3: フロント4chシステム

『DIATONE SOUND.NAVI』における、システム構築術のいろいろをご紹介している。ここまでは、“フロント2chシステム”について解説してきた。今週はいよいよ“フロント4chシステム”について。さらには、『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの“仮想3ウェイシステム”についても、詳しく解説する。

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『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの システム構築術 徹底解説!


『DIATONE SOUND.NAVI』における、システム構築術のいろいろをご紹介している。ここまでは、“フロント2chシステム”について解説してきた。今週はいよいよ“フロント4chシステム”について。さらには、『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの“仮想3ウェイシステム”についても、詳しく解説する。

『DIATONE SOUND.NAVI』による“フロント4chシステム”について解説していく。『DIATONE SOUND.NAVI』は、サブウーファー出力以外で、4ch分のスピーカー出力(内蔵アンプからの出力)、および4ch分のRCA出力を備えている。ここでご紹介していく“フロント4chシステム”は、サブウーファー出力以外のすべてをフロントスピーカーに使うシステムだ(これが可能となるのは、上級機『PREMI』のみ)。ちなみに、先週までで解説した“フロント2chシステム”では、残りの2chはリアスピーカー用となる(リアchを生かしたままフロントスピーカーをHi-Fi的にコントロールできるのは、『DIATONE SOUND.NAVI』だけだ)。

“フロント4chシステム”のいろいろを解説する前に、このシステム共通のメリットをご説明しておこう。ひと言でそれを言うならば、“音の押し出しが良くなる”、である。

“フロント2ウェイシステム”ならばスピーカーは計4つ。それを駆動するのに、2ch分の出力で行うよりも、4ch分の出力で動かすほうが効率がいい。単純に、より多くのパワーをかけられる。

デメリットについても触れておこう。デメリットは2つ。1つ目は、リアスピーカーが鳴らせなくなること。しかし、Hi-Fiを追求する上ではリアスピーカーは必要ないので、どうしてもリアを鳴らしたい理由がなければ、これはデメリットではない。

もう1つは、外部アンプを使って“フロント4chシステム”を組む場合、アンプのch数を多く必要とする(予算がかさむ)ことである。

さて、それらを踏まえて、『DIATONE SOUND.NAVI』による“フロント4chシステム”では、どのようなシステム構築が可能なのかみていこう。以下3タイプが存在する。

1・マルチアンプ方式による“フロント2ウェイシステム”(図1)


図1


2・“マルチ+パッシブ”モードを使っての、“フロント3ウェイシステム”(図2)


図2


3・“マルチ+パッシブ”モードを使っての、“仮想3ウェイシステム”(図3)


図3


それぞれについて解説していく。まずは「1」の「マルチアンプ方式による“フロント2ウェイシステム”」から。

これは通常の“マルチアンプシステム”での2ウェイだ。『DIATONE SOUND.NAVI』でも当然、普通の“マルチアンプシステム”による2ウェイシステムが構築可能だ(このときに使うタイムアライメント機能は、通常のタイムアライメント)。


クロスオーバー設定(マルチアンプ)


次に「2」の「“マルチ+パッシブ”モードを使っての、“フロント3ウェイシステム”」。これがいわゆる“マルチ+パッシブ3Way/H”というモードだ。 “フロント2chシステム”で3ウェイを鳴らそうとするときは、パッシブクロスオーバーネットワークを使って、アンプの1chずつで片側3個のスピーカーを鳴らしていたが、このシステムでは、片側3つのスピーカーをアンプ2ch分を使って鳴らすのだ。図2のように、1chでツイーターとミッドレンジを鳴らし(ツイーター・ミッドレンジ間のクロスオーバーは、パッシブクロスオーバーネットワークで行う)、もう1chで、ミッドウーファーを鳴らす(ミッドレンジ・ミッドウーファー間のクロスオーバーは、内蔵DSPで行う)。

このシステムにおけるタイムアライメントの運用方式は以下のとおり。ミッドウーファーに対しては通常の“タイムアライメント”を、ミッドレンジ、ツイーターには、『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの“マルチウェイ・タイムアライメント”を使用する。


クロスオーバー設定(マルチ+パッシブ 3Way/H)


そして「3」の「“マルチ+パッシブ”モードを使っての、“仮想3ウェイシステム”」とは。

図3を見ていただけばわかるとおり、要は、“マルチアンプシステム”で2ウェイを鳴らしながら、ミッドウーファー帯域を2分割し、仮想のミッドレンジ(ミッドウーファー中域)を置くシステム、である。2ウェイを“3ウェイ扱い”してコントロールしようとするのである。

これがいわゆる“マルチ+パッシブ 3Way/L”というモードだ。これは『NR-MZ90PREMI』から可能になった。

そして“マルチ+パッシブ 3Way/L”でのタイムアライメントの運用方式は以下のようになる。ミッドウーファー・仮想ミッドレンジを“マルチウェイ・タイムアライメント”で、ツイーターは通常のタイムアライメントでコントロールする。


クロスオーバー設定(マルチ+パッシブ 3Way/L)


さて、もっとも特殊な“仮想3ウェイシステム”について、これにはどのような目的(メリット)があるのかを解説していこう。

目的を簡単に言うと、「2ウェイの弱点に対処すこと」である。2ウェイでは、ミッドウーファーの担当周波数帯域が幅広い。ところが、低域は指向性が弱く、中域は指向性が強い。このように、性質の異なる信号を1つのスピーカーで担当することとなっていて、そこが問題となるのだ。

どんな問題かというと…。指向性の弱い低域は、近いほうのスピーカー(右ハンドル車の場合、右のミッドウーファー)から強く感じ、指向性の強い中域は、耳からの角度がより正対しているスピーカー(右ハンドル車の場合、左のミッドウーファー)から強く感じることとなる。結果、ミッドウーファー帯域の音は、低域と中域で感じ方のバランスが異なってしまい、定位がぼやけてしまうのだ。

それに対して、“仮想ミッドレンジ”を設けることで、低域と中域を個別にコントロールすることが可能となる。低域と中域のゲインや距離補正を個別に調節してバランスを整え、定位をジャストにできるのである。

つまり、『DIATONE SOUND.NAVI』では、フロント2ウェイシステムを、より理想的に鳴らすことが可能、というわけなのだ。

以上が『DIATONE SOUND.NAVI』で可能となるシステムのすべてだ。少々難しい話も出てきたが、とにもかくにも『DIATONE SOUND.NAVI』(特に上級機『PREMI』において)はシステム構築の選択肢が多い。そして、それもこれも“マルチウェイ・タイムアライメント”機能を背負っているからこそ。“マルチウェイ・タイムアライメント”機能は偉大なのだ。

さて次週は、システム構築方法に関連して、スタンダード機における“簡単プリセット”について解説していこうと思う。ここまで『PREMI』にしかあてはまらない内容が多かったので、次回はスタンダード機ユーザーに向けての内容としたい。スタンダード機ユーザーは、お読み逃しなきように。

《太田祥三》

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