『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くす! サウンド・チューニング テクニカル・テキスト 中級編 #3: “10バンドイコライザー” 前編 | Push on! Mycar-life

『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くす! サウンド・チューニング テクニカル・テキスト 中級編 #3: “10バンドイコライザー” 前編

講師:木村友紀さん(東京車楽)

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『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くす! サウンド・チューニング テクニカル・テキスト 中級編


講師:木村友紀さん(東京車楽)


『DIATONE SOUND.NAVI』におけるサウンド・チューニングテクニックを解説している当特集。3回目となる今回は、“10バンドイコライザー”の操作方法を伝授していく。講師は前回に引き続き、埼玉県の実力ショップ、東京車楽の木村さんだ。プロのワザの一端を教えていただいた。要熟読。

“イコライザー”とは、車内の周波数特性の乱れを補正するための機能だ。となると、現状どのような乱れが起きているのかを把握する必要がある。どうするとそれがわかるのだろうか。

「“RTA”(リアルタイムアナライザー)を使って周波数特性を測定するのが手っ取り早いと思います。聴感で判断するのは難しいですよね。最近は、スマホのアプリでもいくつかありますし、試しに使ってみてはいかかでしょうか。もちろん、簡易的なものではそれなりにはなってしまいますし、本格的な機材のほうが厳密な調整が行えます。でも、まずはスマホアプリでも面白いと思いますよ。

測定する際には“ピンクノイズ”を再生します。“ピンクノイズ”というのは、「パワーが周波数に反比例する雑音」で、測定機(RTA)で計測すると、周波数特性の乱れがなければ、どの帯域でも音の大きさが同じになるんですね。そのあたりを詳しく解説すると難しい話になってしまうのですが、とにかく、「“ピンクノイズ”を流して“RTA”で計測すると、周波数特性の乱れを発見できる」と覚えておいてください。“ピンクノイズ”は、調整用のCDには大概収録されていると思いますので、こちらもこの機会になんらかを探して入手しておくといいと思います。

“ピンクノイズ”を鳴らして“RTA”で計測し、特性がフラットになっていたらラッキーですが、通常ではそれはあり得ないですね。多かれ少なかれ、何らかの乱れが起こっていると思います。車内では反射や吸収等の影響で、どうしても特性が乱れてしまいますから」

さて、測定した結果を踏まえて、どのように“イコライザー”を操作していくといいのだろうか。


DIATONE SOUND.NAVI


「ここからはちょっと大変です。ピーク(盛り上がっているところ)を下げて、ディップ(減衰しているところ)を上げれば良いのですが、実際はそれほど単純ではないんですよ。

“イコライザー”を操作しても、ピークやディップが改善されないこともあり得えます。“イコライザー”では解決不可能な問題が起こっている場合があるんです。そのようなケースでは、スピーカーの取り付け状態を見直すなどの対処が必要です。“改善できない場合もある”ということを、まずは頭に入れておいてください。

で、操作方法ですが、“調整は低域から”、これが鉄則です。低い帯域の状況が変わると、倍音が影響を受けて高域の状況にも変化が出るんです。なので、上から調整しても、あまり意味がないんです。

というわけで、もっとも低いところから上下させてみて、その都度RTAで測定し、全体的にどのような変化が出るのかを確認しながら、段々と上の帯域へと移っていきましょう」

まずは、“下から整える”のが大前提だ。これはくれぐれもお忘れなきように。その上で、さらなる注意点もお聞きした。

「あともう1つ。“ピークの解消を優先させる”、これも鉄則ですね。ピークとディップの両方を改善させようと思っても、これがなかなか難しいんですよ。ハマってしまうことが多いですね。最初はピークを解消することに努めて、ピークがなだらかになったその後で、ディップの対処に進みましょう。これがコツです」

今週はここまでとさせていただく。次週はさらに細かなテクニックをご紹介していくので、次週もぜひ、お読みいただきたい。

《太田祥三》
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