DIATONE SOUND.NAVI「NR-MZ90PREMI」の新機能“マルチ & パッシブ設定の3ウェイ/L”その利得を徹底検証! #2: 後編 検証テーマ「使い方のコツと得られる効果」 | Push on! Mycar-life

DIATONE SOUND.NAVI「NR-MZ90PREMI」の新機能“マルチ & パッシブ設定の3ウェイ/L”その利得を徹底検証! #2: 後編 検証テーマ「使い方のコツと得られる効果」

取材協力/サウンドステーション クァンタム

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DIATONE SOUND.NAVI「NR-MZ90PREMI」の新機能“マルチ & パッシブ設定の3ウェイ/L”その利得を徹底検証!


取材協力/サウンドステーション クァンタム

大注目のニューユニット『DIATONE SOUND.NAVI』の2014年モデル。前年モデルに対し数々の進化ポイントを有しているのだが、その中でもっとも話題となっているのが、“マルチ & パッシブ設定の3ウェイ/L”=“仮想3ウェイ”である。この、評判の新機能の神髄に迫ろうとしている当企画。今週はその後編だ。

講師役は、先週に引き続き、茨城の実力店・サウンドステーション クァンタムの土屋さん。今回は主に、“使い方のキモ”についてお聞きしてきた。実際の操作はお店にお任せするにしても、使い方を知ることで、この機能が何なのかさらに理解できるはずだ。じっくりとお読みいただきたい。

最初に、先週の記事を簡単におさらいしておく。ポイントは以下だ。


  • 2ウェイでは多かれ少なかれ、低域があいまいになりがち。


  • そこで“マルチ & パッシブ設定の3ウェイ/L”=“仮想3ウェイ”を使い、ミッドウーファーの担当帯域を上下に2分割。


  • 分割したそれぞれを別々にコントロール(仮想3ウエイ調整)することで、低域のあいまいさを正すことができる。


以上を踏まえ、今週はこの機能の使いこなしに関する“傾向と対策”をお伝えしていく。

まずは、どこで帯域を分割するのが良いのかを、詳しく解説していただいた。

「前回もお話したように、低いところで切るのがセオリーです。315〜400Hzあたりが目安だと考えています。あいまいになりがちな低域の聴こえ方を正そうとするものですから。あいまいな部分だけを別扱いしたいわけです。

分割した下側の帯域を、サブウーファー帯域とつなげていく、というイメージですね。上側の帯域のツイーターとの繋がりは保ったままで。というか、そちらのつながりも、むしろ良くすることができます。

ちなみ、315〜400Hzあたりで切るためには、ミッドウーファーがしっかり取り付けられていることが前提となります。取り付けが不完全だと、そもそも下側の再生はあやふやですから、コントロールしようと思っても難しいですね。

スピーカーが純正のままの場合も同じです。そもそも低い帯域をしっかり鳴らせられていません。なので、この場合は500Hzくらいで切るか、場合によっては“ロー”ではなくて“ハイ”で使ったほうがいいと思います。ツイーター帯域を2分割する“仮想3ウェイ”をやったほうが、定位も上がりますし、効果は大きいでしょうね」

さらには、以下のようなコツも教えていただいた。

「タイムアライメントとレベル調整については、大きな数値を入力することにはならないはずです。ズレを是正するとは言っても、同じ振動板から発せられている音ですから、大きく変えすぎるとおかしくなってしまいます。

下側の音を、少し早く聴こえるようにしてやることがセオリーですね。波長が長いので、遅く聴こえがちですから。

あと、自分に近いほうのミッドローのレベルを少し下げる、これも原則ですね。低い音は少なからずドアを振動させていて、音圧が上がりがちなんですね。それをちょっと下げてやる。もちろん、細かくはケースバイケースですが、以上のような傾向はありますね」


仮想3ウェイ調整


ところで、仮想3ウェイ調整が向いている(効果が大きい)クルマ、向いていないクルマ、というのはあるのだろうか。

「ミニバンのような、ドアが大きくてミッドウーファーが低い位置に付いているクルマ、つまり、ツイーターとミッドが離れているクルマでは、大きな効果を発揮しますね。

そのようなクルマでは、音が下に溜まりがちです。それを上げる効果も期待できるんです。ツイーターとミッドのつながりもよくなりますから、ツイーター帯域に音が引っ張り上げられるんですよ。

逆に、シートポジションが低いクルマや、ミッドウーファーが高めの位置に着いているクルマ、これらは仮想3ウェイの効果が出にくいですね。こういうクルマは、それほど低域があやふやではないんですよ」

あと、スピーカーのタイプや、インストールスタイルの違いでの向き不向きについてもお聞きした。

「アウターバッフルで取り付けてある場合は、大きな効果を発揮しますね。逆に、インナーバッフルで取り付けてあり、奥まった位置に取り付けられている場合ほど、仮想3ウェイの効果は出にくいです。これも先ほど話したことと同じで、奥に着いているほど、低い帯域がそもそもあやふやになりがちで、コントロールが効かないんですよ。

スピーカーのタイプでは、応答性能が早いスピーカーほど、大きな効果を発揮します。逆に、ゆったり鳴らすタイプのスピーカーや、ウェットな音色傾向のスピーカーは、効果を発揮しにくいように感じています。

あと、低い帯域を鳴らすのが得意なスピーカーほど効果は大きい。得意な部分をより伸ばしてやることができるんですよ」

いかがだったろうか。“マルチ & パッシブ設定の3ウェイ/L”=“仮想3ウェイ”がどんな効果を上げられる機能かイメージできただろうか。

最後に土屋さんにまとめていただいた。

「とにかく新しい概念なんですね。ミッドの帯域の下側を切り離して個別にコントロールしようとする調整方法は。さらに検証を深めて、習熟度を上げていきたいですね。この機能に、可能性と奥深さを感じているんですよ。まだ誰も気が付いていない、別の使い方もあるかもしれませんし、今後も研究していこうと思っています」

つまりは、「NR-MZ90PREMI」自体が奥深いユニットである、ということなのだろう。今回の取材で、ますます「NR-MZ90PREMI」の魅力を知ることとなった。この音をまだ聴いたことのない方は、今週末あたりにでもお近くの取り扱い店まで、ぜひ。

《太田祥三》
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