アグレッシブ & パワフルな老舗アメリカンブランド、“MTX Audio”から発売された、新作スピーカーとパワーアンプ。ともに、同社の設立40周年を記念するスペシャルモデルだ。このニューカマーの実力と魅力に迫ろうとしている当企画。今週は、スピーカーについてより深く掘り下げていく。ストロングポイントはどこにあるのか…。じっくりとお読みいただきたい。
先週は、スピーカーの新製品、16.5cmモデルの『MTX-SS7』(税抜き価格:8万円)と、パワーアンプの新製品、4chモデルの『MTX-XTHUNDER 125.4』(税抜き価格:8万4000円)を組み合わせてのインプレッションリポートをお届けした。昨年までのトップエンド機、16.5cmの2ウェイコンポーネントスピーカー『MTX-T8652』(税抜き価格:6万3800円)と、4chアンプ『MTX-TH90.4』(税抜き価格:6万9800円)との組み合わせと比べて試聴した。
音の違いは明らかだった。
その“音の違い”は、スピーカーによるものなのか、アンプによるものなのか…。
早速レポートを開始しよう。
最初に、試聴システムを昨年モデルの組み合わせに戻していただき、もう1度、その音を確認。その後スピーカーだけを40周年記念モデルの『MTX-SS7』に変更し、『MTX-SS7』単体の性能を評価していこうと試みた。
試聴システムは前回同様、PCをソースユニットとして使用し、そこに取り込んだFLACデータをオーディオインターフェイスを介してパワーアンプに伝送する、というシステム。ケーブルはすべて『モンスターカーオーディオ』を使用した。
まずは改めて従来モデルのサウンドを確認。小気味良い、レスポンスに優れたサウンドを楽しめる。音楽がリズミックでノリがいい。
次に、スピーカーだけを新作『MTX-SS7』へと換装。
音はかなり変化した。
特筆すべきは、低域の鳴りっぷりだ。
量感が相当に上がり、レンジも広くなっている。より低いところからしっかり低音を再生できている。その上で、質も向上している。よりタイトで、かつドライブ感がかなり向上している。グイグイとリズムが躍動しているのだ。低域が控えめなジャズ音源で確認しても、しっかりと低音を再現してくれた。
スピーカーとアンプともに新作の組み合わせで聴いた時に感じた低域の変化度と、今回の低域の変化度はかなり似かよっている。新作スピーカー+アンプの組み合わせで感じた低域の音質向上は、このスピーカー、“シグネーチャー・シリーズ”『SS7』によるところが大きかったと言って良さそうだ。
さらに、中・高域も変化している。厚みが増している印象だ。情報量も増し、音数が増えている。音の旨味、コクも増している。
ミッドウーファーの振動板が、“カーボングラスファイバー”から、“グラスファイバーとペーパーの2層構造”に変更しているが、この変更が音質に大きな影響を与えているのだろう。また、“サンダー8000シリーズ”ではフェイズプラグが採用されているのだが、“シグネーチャー・シリーズ”ではセンターキャップに変わっている。これも低域のタイトさ、レンジの広さに影響を与えているとみていいだろう。
ツイーターが“サンダー8000シリーズ”の25mm口径のシルクドームに対して、30mm口径のテトロンドームへとアップグレードされたことも、情報量の増加に寄与していると思われる。“サンダー8000シリーズ”のシルクドームのサウンドも悪くないのだが、ミッドウーファーとバランスさせるために、今回の仕様変更が必要だったのかもしれない。結果、高域の音質向上も図られ、順当に進化を遂げた。
ここまでの音質向上を果たしながら価格差は約1万6000円。価格のアップに対して、音質向上率のほうが明らかに高い。『MTX-SS7』はコストパフォーマンスに優れたスピーカーだと言い切っていいだろう。
さて次週は、パワーアンプの新作、“Xサンダー・シリーズ”を掘り下げて行く。パワーアンプ単体での音の変化、向上はどうだったのか…。また、5chモデルについても試聴を実施したので、そのインプレッションも付け加えたい。
次週もお見逃しなく。