サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #52: 第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.4 | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #52: 第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.4

#52:
第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.4

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サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#52:
第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.4


「“お気に入りの音楽”をいかに心地良く聴かせてくれるか…、これを追求するのがオーディオの醍醐味」、というテーマでお贈りしているシリーズの4回目。今回も、松居さんにとっての“お気に入り”を紹介していただく。マイルス・デイビス、オーネット・コールマンに引き続き、今回解説していただく作品は、これだ。


個人的音楽の履歴書の続きである。

勝手な思い入れを綴らせていただいているのだが、ここまできたら最後までお付き合いいただきたい。


MILES DAVIS:Kind of Blue

MILES DAVIS:Kind of Blue


前回までの2回で、即興演奏として進化する音楽のスタイル(jazz)の中から、クールを追求し、かつ、パリの成熟した絵画のように完成された音楽、マイルス・デイビス・バンドの「カインド・オブ・ブルー」について、そして、束縛をさらに解き放ち、即興演奏を極めていったオーネット・コールマンのエネルギーに心酔している、というところまで記させていただいた。

今回はもう一人、ボサノバの父とも称される、アントニオ・カルロス・ジョビンについて綴らせていただこうと思う。ジョビンもまた、ぼくが熱烈に敬愛している音楽家のうちの1人なのだ。

彼の音楽は、jazzとは少し違っている。

ボサノバと言えば、日本人では小野リサというアーティストがとても有名だ。とても素敵な音楽を聴かせてくれる

さて、ジョビンが作った曲の中で僕がもっとも好きなのは『Wave(波)』だ。自分の葬式のBGMに使ってほしいと思っているほど好きなのだ。まだ行ったことはないけれど、死ぬ前に一度リオデジャネイロの海を見てみたいと思わせる。これほどリアルなイメージを想像できて、心地よさ、豊かさ、もの悲しさ、など、多くのことを感じさせてくれる。

バッハやベートーベンに匹敵する、形容音楽として高い完成度であると、僕は常々思っている。


Wave:The Antonio Carlos Jobim Songbook

Wave:The Antonio Carlos Jobim Songbook


というわけで今回ご紹介したいのは、『Wave:The Antonio Carlos Jobim Songbook』。これが今の、オムニバス愛聴盤である。

1曲目の「Wave」はアントニオ・カルロス・ジョビンのオリジナル演奏、最後の15曲目も「Wave」で、エリス・レジーナとトゥーツ・シールマンスのバージョンが入っている。

11曲目は、オスカー・ピーターソンの「トリステ」、13曲目のディジー・ガレスビーの「ワンノートサンバ」の演奏も絶妙だ。あまりの快感に、じっとして聴いてはいられないほど。そして8曲目、「ハウ・インセンシティブ」は最新のテイク。パット・メセニーが演奏している。しかし、彼のハーモニーはつくづく完璧だ。完成された世界に思えてならない。

ちなみに、オーディオ製品の中にも、完成された世界感をイメージさせてくれるものがあった。マークレビンソンのLNP2、ナカミチのカセットデッキドラゴンなどは装置としての、それを感じたものだ。

今の自分の中では、アウディで使用しているDIATONE・SA-1、これが完成された世界感を感じさせてくれるものの1つである。

さて、次回は当シリーズの最終回として、もう1枚、愛聴盤を紹介させていただきたいと思っている。お楽しみに。

《松居邦彦》

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