サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #51: 第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.3 | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #51: 第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.3

#51:
第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.3

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サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#51:
第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.3


「“お気に入りの音楽”をいかに心地良く聴かせてくれるか…、これを追求するのがオーディオの醍醐味」、というテーマでお贈りしている今シリーズ。その意味合いの解説から始まり、前回からはいよいよ、松居さんにとっての“お気に入り”を、具体的に紹介していただいている。前回のマイルス・デイビスに引き続き、今回取り上げていただく作品は、これだ!


僕は、どちらかというとjazzファンである。

ただ、思春期の頃に最初にシビれた音楽は、いわゆる“プログレッシブなロック”だった。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ELPといった、イギリスのロックミュージックにシビれた。

jazzに興味を持ち始めたのはその後。きっかけは、吹奏楽部でトランペットを吹いていた僕が、ベルがピュンと上に曲がり、ほっぺをいっぱいに膨らませて吹く、ディジー・ガレスビーの写真を見つけたこと。それがきっかけとなり、jazzという音楽に興味を持つようになる。

“即興演奏”という演奏スタイルに新鮮な何かを感じた。

譜面に書いてある音符をなぞることしか知らない自分にとって、その“即興演奏”に新しさを感じ、憧れを抱き、次第に深く傾倒していくことになる。

60年代から70年代にかけての時代。その頃は、音楽も躍動的な時代だった。音楽も音響機器も同期して変化し、フュージョンという新しい音楽スタイルが生まれ、色々な要素をのみこんで(融合)拡張していた。

前回紹介した1959年の「カインド・オブ・ブルー」はまさに、そのきっかけにを作ったレコードだと、思っている。


第8章 オーディオを追求するにはお気に入りの音楽が必要だ…。“マイ・フェイバリット・オーディオ・チューン”について Part.3


その一方、“即興演奏”の形を極めた演奏として、オーネット・コールマンの「ゴールデンサークルのオーネット・コールマン」(1965年)に出会い、ある種の衝撃を受けた。

嘘がない、飾らない、束縛されない、自由で力強く洗練された究極の魅力を感じてしまうのだ。

僭越ながら、オーネット・コールマンについて、簡単にご紹介させていただきたい。言わずと知れた、『フリージャズ』の先駈けだ。1930年生まれ。アルト・サックス奏者、作曲家にして、テナー・サックスや、トランペット、ヴァイオリンまでもマスターしている。

この「ゴールデンサークルのオーネット・コールマン」。彼の最高傑作とも評される、比較的初期のライブ盤だ。

最初はとっつきにくいが、何回か繰り返して聴くと、だんだんと良さを感じてくる。

芋焼酎を、最初は変な味だと感じるが、慣れるとたまらない好物になる…、というのと同じだ。

「ゴールデンサークルのオーネット・コールマン」を聴く時、オーディオ装置の状態も、嘘がなく、飾り過ぎない状態でないといけない。そうでないと、刺激が強すぎて、すぐにボリュームを絞りたくなるからだ。

こってりし過ぎず、しかし冷静過ぎない。

クリアーでワイドレンジな環境で、「カインド・オブ・ブルー」をクールに再生し、そのまま「ゴールデンサークルのオーネット・コールマン」の熱気を再現してくれる装置…。

僕は未だに、この、“クール”と“熱気”のバランスを追い求めている。

《松居邦彦》

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