サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #37: 第4章 ヘッドフォン、ホームオーディオ、カーオーディオ それぞれでの音楽の聴こえ方の違いとは…(前編) | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #37: 第4章 ヘッドフォン、ホームオーディオ、カーオーディオ それぞれでの音楽の聴こえ方の違いとは…(前編)

#37:
第4章 ヘッドフォン、ホームオーディオ、カーオーディオ それぞれでの音楽の聴こえ方の違いとは…(前編)

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#37:
第4章 ヘッドフォン、ホームオーディオ、カーオーディオ それぞれでの音楽の聴こえ方の違いとは…(前編)


今月の当コーナーでは、音楽を聴く環境としてクルマの中は有利なのか不利なのか…、ということについて、松居さんに改めて解説していただきたいと思う。ヘッドフォンやホームオーディオで音楽を聴くことと、クルマの中で音楽を聴くことにはどんな違いがあるのかを考えることで、それを考察していただいた。

音楽を聴く(楽しむ)ツールにはいくつかあるが、今は圧倒的に、ヘッドフォンで聴いている人が多いのではないかと思う。アップルコンピューターの功績か、いつでも、どこにいても新しい音楽を入手でき、人混みの中でも自分の時間を過ごせる気持ち良さ(音だけ個室)がそうさせているのだろう。

ここ数年、ヘッドフォンブームが巻き起こりiPhone用の高級ヘッドフォンが各社から数多く発売された。カーオーディオメーカーでも、そういった製品をリリースしたところが何社かあった。いい音で音楽を聴きたいという潜在的な願望が、ポータブルオーディオプレーヤーのユーザーの中でも広がり始めているのだと思う。

ステージの世界でもヘッドフォンが浸透していて、以前は足下に3角形のスピーカーをアーティスト側に向けてモニターしていたのを、インナータイプのヘッドフォンを付けてモニターする方法で行うやり方が増えている。

ステージもスッキリするし、アリーナなどで動き回る場合は効率的だろう。モニタースピーカーの代わりにヘッドフォンを使うことにはメリットは多いと推察する。しかし、音を聴くツールとしてそれがベストかというと、実はけっしてそうではない。自分の声をヘッドフォンで聴いている状態は、骨を伝わる振動と重なり、海に潜っているみたいで違和感があり、慣れないと落ち着かないものだ。

マイケル・ジャクソンが映画の中で「僕は古い時代の人間だから」と言いながらカナル型のヘッドフォンを外すシーンがあるが、気持ちはわかると思って観ていた。

自然に、空気に伝わる音で、音楽を聴いたりプレイするほうが断然気持ちがいい。

鼓膜に直接働きかけるヘッドフォンは、ほぼ100%の音情報を聴けるツールだ。それに対しスピーカーは、空気振動を発生させる装置で、録音を目の前に再現することを目的としている。ヘッドフォンとスピーカーとでは、ツールとしての目的(特徴)にそもそも違いがある。似ていて非なるもの、と考えるべきだと思う。

スピーカーは、瓜二つの状態(トランスペアレンシー)を目前に再現(フォログラフィックイメージ)することを目指して開発が進められている装置であるのに対し、ヘッドフォンではリスナーの頭の中にしか音像は定位しない。トランスペアレンシーやフォログラフィックイメージを目指して作られている装置ではないのである。

さて、ヘッドフォンとスピーカーに関する聴こえ方の違いについてイメージしていただけただろうか。次回は家庭用オーディオとカーオーディオについて、聴こえ方の違い、有利不利などについて考えてみたいと思っている。

《松居邦彦》

特集

page top