サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #35: 第3章 僕のオーディオは、日本語を発したことがない…(前編) | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #35: 第3章 僕のオーディオは、日本語を発したことがない…(前編)

#35:
第3章 僕のオーディオは、日本語を発したことがない…(前編)

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サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#35:
第3章 僕のオーディオは、日本語を発したことがない…(前編)


今月の当コーナーは、少々趣向を変えて、松居さんの新たな発見について綴っていただこうと思う。それはどのような発見なのか…。じっくりお読みいただきたい。


前回はロックフォードのハイエンドスピーカーを堪能させていただいた。

T5の性能にうなりながら、同時にスピーカーは機械であることを改めて実感した。人が作り上げていく中で、いろいろな思想や技術が盛り込まれて完成されていく『製品』なのである。

開発の最終段階でも音を聴いて判断が下されるのだろう。その時に聴かれる音とはどのような音なのか…。それはきっと、人間の「言葉」なのではないかと推察する。

場所がアメリカであれば英語であり、その音を聴いて開発が進められたはずである。

オーディオ製品の特徴、特にスピーカーには、性能として以外にそれぞれ音の個性(癖)が宿っている。設計者の経験と趣向が反映されるのだろうが、その特徴は国というか言葉の音(響き)と大きく関係しているように思えてならない。

英語圏のスピーカーよりドイツ語圏のスピーカーのほうがドライであり、フランス語圏になるとウエットな雰囲気になる。そんな単純なものではないとお叱りを受けそうだが、個人的にはこういう切り口もまんざらなくはないと思っているのである。

以前、イギリスBBC放送のモニタースピーカーで有名なKEF社の設計者ワトソン博士が、日本でどのようにKEFが使われているかを知るためユーザー宅を訪問するというとある雑誌の企画があり、それに同行させていただく機会を得たことがある。氏はどんな素材を使ってオーディオをチェックするのだろうと思っていたら、彼はなんと、ほとんどの時間「朗読」のようなスピーチ素材を熱心に聴いていた。

その声の主は、彼のアシスタントでもある女性だという。毎日聞き慣れた人の声を音の判断の基準にしていたのである。

急にこんな事を言い出したのは、今年のパイオニアサウンドコンテストの課題曲が初めて日本語の曲に決定したからだ。

僕のクルマはラジオをかけている時以外(ほとんどない)、日本語を発音していない。英語が話せないのによくもここまで英語圏の音楽ばかり聴き続けてきたものだと思うが、チューニングもすべて英語の曲で行っている。「ヤバイ!」…。そう思ったのだが、スタジオジブリばかりを毎日聴いてもいられないし、これを機会に日本の音楽を聴こうかと思いはじめたのだ。

とはいっても「情念」を魂で語られても重すぎるし、嫁に行った妹もいなかったし、AKBは少し恥ずかしい、というかよくわからない。

思いついたアーティストはユーミン。どれも毎朝欠かさずに見ている「NHK朝の連続ドラマの主題歌」を思い出したこともある。(はるよ~ってやつ)

やってみるとビックリ…。僕にとって新しい発見があったのだった。

(以下次号…)

《松居邦彦》

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