2026年の夏も全国的に気温が平年より高くなる見通しだ。猛暑は人だけでなくクルマにも大きな負担をかける。本格的な暑さに備え、今こそ点検しておきたい5つの猛暑対策を紹介しよう。
◆猛暑対策:1 バッテリーは夏の高温でも劣化する
寒くなるとバッテリー性能が低下することはよく知られているが、実は真夏の高温もバッテリーにとって厳しい環境だ。
高温になるほどバッテリー内部の化学反応が活発になる一方で劣化も進みやすくなる。さらに夏場はエアコンを多用し、渋滞では電動ファンも頻繁に作動するため電装系の負担も増える。猛暑を迎える前に確認したいのは、バッテリーの電圧や始動性能、端子部分の腐食や緩みなど。補水が必要なタイプならバッテリー液の量も確認しておきたい。
特に交換から3年以上経過しているバッテリーは、年数だけで交換を決めるのではなく専門店などで性能を測定してもらうのが確実だ。アイドリングストップ車やAGMバッテリー搭載車では適合品を選ぶことも重要になる。
◆猛暑対策:2 クーラントは量と状態をチェックする
エンジンの熱対策で重要なのがクーラント、つまりエンジン冷却水だ。クーラントには凍結を防ぐ役割だけでなく、防錆や冷却系統の保護といった重要な役目もある。そのため「夏だから薄くすればよく冷える」と単純に考えるのは避けたい。
まず確認したいのはリザーバータンクの液量だ。エンジンが冷えている状態で規定範囲に収まっているかをチェックする。量が大きく減っている場合は、単純に補充するだけでなく漏れがないか点検したい。長期間交換していなければクーラントそのものの状態も確認しよう。基本となるのは車両メーカーが指定するLLCやSLLCの種類と濃度を守ること。異なる種類のクーラントを安易に混ぜることも避けたい。
サーキット走行など特殊な使用環境では冷却性能を重視したセッティングも考えられるが、公道を走る一般車であればメーカー指定を基準にするのが安心だ。
◆猛暑対策:3 エンジンオイルは粘度と劣化状態を確認
真夏の渋滞や長時間のアイドリングは、エンジンルームに熱がこもりやすい。さらに高速道路や山道、サーキットで高負荷走行を続ければエンジンオイルにも大きな熱負荷が加わる。そこで重要なのがオイルの量と交換時期、そして粘度だ。
ただし「夏だから必ず硬いオイルに交換する」という考え方は現在のクルマには当てはまらないケースも多い。まず確認すべきなのは取扱説明書に記載されたメーカー指定粘度である。例えばメーカーが5W-30と10W-40など複数の粘度を使用可能としている車種なら、高温環境や高負荷走行を考慮して高温側の粘度が高い10W-40を選択肢に入れる方法はある。
一方で必要以上に粘度を上げれば燃費やエンジンレスポンスに影響する可能性もある。指定外の粘度を自己判断で使うのではなく、使用環境とエンジンの仕様に合わせて選びたい。
◆猛暑対策:4 エアコンガスは足すより規定量に合わせる
夏の快適性を大きく左右するのがカーエアコンだ。エアコンガスは多ければ冷えるわけではない。少なすぎても多すぎても本来の性能を発揮できないため、重要なのは車両ごとに定められた規定量に合わせることである。「冷えが弱いからガスを足す」という方法では、現在どれだけガスが入っているのか分からないまま過充填になる可能性もある。
そこで利用したいのが、スナップオンのカーエアコンサービスステーションなどを用いたエアコンメンテナンスだ。対応機では車両に残っている冷媒を回収して再生し、真空引きやガス漏れチェックを行ったうえで規定量の冷媒を充填できる。コンプレッサーオイルの管理にも対応する機種があり、単純なガス補充よりもエアコンシステムの状態を把握しやすい。配管内部の洗浄まで行う場合には専用のフラッシング機材が必要になるため、施工内容はショップに確認しておこう。
それでも冷えない場合はガス不足だけでなく、コンプレッサーやコンデンサー、電動ファン、エキスパンションバルブなど別の原因も考えられる。ガスを足し続けるのではなく、原因を診断してもらうことが大切だ。
◆猛暑対策:5 ダクト付きボンネットでエンジンルームの熱を逃がす
サーキット走行やチューニングカーでは、エンジンルームにこもる熱そのものへの対策も有効だ。そのひとつがダクト付きボンネット。
適切な位置に設けられたアウトレットダクトからエンジンルーム内の高温の空気を排出することで、ラジエーターを通過する空気の流れを改善できる場合がある。特にターボ車やハイパワー車、夏場にサーキットを連続走行する車両では、水温や油温の上昇を抑えるための選択肢になる。
ただしダクトは付いていれば必ず冷えるわけではない。位置や形状によっては期待した空気の流れが得られず、雨水がエンジンルーム内に入りやすくなることもある。ボンネット単体で考えるのではなく、ラジエーターやオイルクーラーへの導風、アンダーパネル、エンジンルームからの排熱まで含めて空気の入口と出口を設計することが重要だ。
◆猛暑では水温と油温を普段以上に意識する
夏場は水温も油温も上昇しやすい。特にサーキット走行や長い登坂路、高速道路での高負荷走行では、普段より温度変化を意識しておきたい。
重要なのは「油温が120度を超えたら必ず交換」といった一律の基準ではなく、そのクルマの通常時と比べてどの程度温度が上がっているか、どれだけ長時間高温状態が続いたかを見ることだ。
油温が普段より明らかに高い状態で長時間走った場合や、スポーツ走行を繰り返した場合はエンジンオイルの交換サイクルを早めるのも有効。頻繁に油温が上がるならオイルクーラーの追加やラジエーターの容量アップ、導風改善など本格的な冷却対策も検討したい。バッテリー、クーラント、エンジンオイル、エアコン、そして冷却系。猛暑対策というと大がかりなチューニングを想像しがちだが、まずは現在の状態を正しく点検することが第一歩だ。
真夏にクルマが悲鳴を上げてから対処するのでは遅い。本格的な猛暑を迎える前に基本的なメンテナンスを済ませ、必要に応じて冷却チューニングを加えることが夏を安心して走り切るための近道となる。



