ボディ補強パーツはリーズナブルに導入でき、それでいて効果が大きい人気のチューニングパーツだ。ただし、つけるだけでなにもかも良くなるとは限らないのも補強パーツの特徴。
どんなクルマにしたいのかによって、どこに取り付けるのか、場合によっては外したほうがいいこともある。そんな補強パーツについて。
クルマのボディは鉄板をプレスしてそれらを重ね、スポット溶接で組み立てられている。スポット溶接は鉄板を挟んでその間に電流を流し、鉄板を溶かして溶接する方法。レーシングカーやチューニングカーではこのスポット溶接をあとから加える手法が用いられる。「スポット増し」と呼ばれていて、完成後のクルマから当該箇所の塗装を剥がし、電気が流れるようにしたうえで、スポット溶接機で鉄板を挟み込んでそこにスポット溶接をしていく。もともとのスポット溶接は3~5cm間隔で行われているが、その間にスポット溶接を追加していく。
鉄板同士のつながる箇所が増えるのでボディ剛性が高くなる。メリットとしては重量増が無いことが挙げられる。デメリットはその手間の多さ。一か所ずつやらなければいけないし、塗装を剥いで再塗装も必要。ドアまわりなどはできるが、構造的に追加できない場所もある。レーシングカーではホワイトボディと呼ばれる、ボディになにもない状態にしてそこにスポット増しをしていく。“ボディを作る”と呼ばれる作業をするのが一般的。
というわけで、街乗りのクルマにスポット増しをするのはあまり現実的ではない。業者によってはドアまわりのみやっていたりするし、全塗装時にスポット増しすることもあるが、サクッと5万円などの予算でできるわけではない。
そこでタワーバーなどの補強パーツを追加するのが人気。タワーバーはエンジンルームの左右のストラットタワーをつなぐもので、ボディ剛性が上がるといわれるが、ほかにも補強パーツにはいくつか種類がある。
1:ボディを強くする補強
タワーバーなどボディ自体を強くしようという狙いの補強パーツ。前後のタワーバーや、ハッチバックの開口部の左右をつなぐピラーバーなどが挙げられる。
フェンダー内部に取り付けるメインフレームとしなりを抑える「すじがねくん」のような補強などもある。前後のバンパー内部でフレームの左右をつなぐ部分を強化するものもある。こちらは左右のフレームの動きが抑えられるので効果を感じやすい。
2:サブフレームを強くする補強
サスペンションがサブフレームに取り付けられていて、そのサブフレームが車体に取り付けられる構造のクルマも多い。そういったクルマの場合に下回りの補強パーツでサブフレームを強化する手法もある。サブフレームも鉄板による溶接でできている場合が多く、実はボディは強くてもサブフレームが弱めで、大きなサスペンションからの入力時にサブフレームがしなってフィーリングが悪化している場合がある。そういった場合に有効な方法。
3:サブフレームとボディの取り付けを強化する補強
サブフレームとボディの間はボルトで取り付けられている。この接合部を補強するパーツもある。動きやすい部分を抑えるので大きさは小さいが意外と効果は大きい。このサブフレームの取り付け部のガタをなくすことでフィーリングをよくしようというのが、「リジカラ」と呼ばれるパーツ。そういう意味での補強パーツも存在する。
このように補強パーツにもいろいろ種類がある。意外と効果が大きいのはサブフレームまわりの補強。とくにフロントのサブフレーム周辺の補強は、ステアリング操作によって動いている部分を抑えることにもなるので効果を感じやすい。ステアリングを切ったときにガッシリ感が出たり、ハンドリングが正確になったりする。そういった部分から手を入れていくと変化がわかりやすい。



