【ルノー カングー 新型試乗】ドイツ車的な走りに“キャラ変”したイケメンカングー…九島辰也 | Push on! Mycar-life

【ルノー カングー 新型試乗】ドイツ車的な走りに“キャラ変”したイケメンカングー…九島辰也

ルノー『カングー』がフルモデルチェンジした。従来型よりも“イケメン”になっての登場だ。ヘッドライトが横長になり、そんな印象を与える。可愛らしさからのキャラ変と言えるだろう。とはいえ、全体のフォルムはキープコンセプトとなる。

自動車 試乗記

ルノー『カングー』がフルモデルチェンジした。従来型よりも“イケメン”になっての登場だ。ヘッドライトが横長になり、そんな印象を与える。可愛らしさからのキャラ変と言えるだろう。とはいえ、全体のフォルムはキープコンセプトとなる。

変わったのは見た目だけでなく、中身から一新される。CMF-C/Dプラットフォームがそれだ。ルノー・日産・三菱のアライアンスで設計&開発されたもので、剛性アップを実現している。要するにこれまでよりも乗用車的になったと考えればいい。ライトコマーシャルビークル、いわゆる商業車の基準ではなくパッセンジャーカーの基準で作られているのは新型カングーだ。

◆ドイツ車的な走りになった新型カングー

それは走らせればすぐにわかる。ボディ剛性が高く、ステアリング操作に対する動きがいい。言ってしまえばドイツ車的。高速道路でのレーンチェンジ、ブレーキの受け止め方もしっかりしていて、安心感がある。それにコーナーでの安定性も高まった。ロールは抑えられキャビンは思いのほかフラットにキープされる。サスペンションストロークをそのままに、メンバーでの剛性アップとダンパーの減衰圧、それとバネレイトでそれを行ったのであろう。ステアリングレシオを17:1から15:1にすることで多少クイックになったことで運動性能も上がったような気にさせる。

エンジンは1.3リットル直4ガソリンターボと1.5リットル直4ディーゼルターボという設定。ガソリンユニットはアライアンス+メルセデスベンツが開発に携わっているようだ。最高出力は前者が131ps、後者が116psを発揮する。ディーゼルは既存のユニットをトルクアップしたものとなる。

2つのエンジンどちらも試乗したが、気に入ったのはガソリンの方だった。エンジン自体が高回転までとてもよく回り、気持ちよく加速する。ターボの効き具合もナチュラルで、突然パワーが出ることはなくリニアな感触がいい。それにこちらの方が鼻先が軽くなるのだろうか、ハンドリングの気持ちよさも際立った。コンパクトハッチバックの軽快さをドライバーは体感できる。

◆アクセルペダルの軽さは弱点だけど

ただ弱点がないわけではない。アクセルペダルが軽すぎてパーシャルな状態で高速を走り続けると右足首が疲れる。足を置くという意味ではもう少し重くして反力をつけた方が良さそうだ。が、これはACCでカバーできるのは確か。実際の高速道路では今やそうして走る機会が多いだろう。しかもその精度は高く、加減速に不自然さはない。

それに今回から『アルカナ』や『キャプチャー』と同程度のADASを装備するようになったのもニュース。パッセンジャーカー要素が高まった内容のひとつでもある。エマージェンシーレーンキープアシストとブラインドスポットインターベーション(後側方車両検知警報)はルノー初だそうだ。

最後に積載性だが、全長やホイールベースが長くなったことからもわかるように容量は上がっている。カーゴフロアを低くして高さを稼いでいるのもその一部となる。その意味からもカングーの魅力は増したと言えるはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

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