【ヤマハ YZF-R7 試乗】濃密なスポーツライディングを思えば、99.9万円はバーゲン価格…佐川健太郎 | Push on! Mycar-life

【ヤマハ YZF-R7 試乗】濃密なスポーツライディングを思えば、99.9万円はバーゲン価格…佐川健太郎

◆走る楽しさを極めるスーパースポーツ
◆タイトコースならR6ともいい勝負ができる
◆まさにバーゲンプライス

自動車 試乗記
ヤマハ YZF-R7
  • ヤマハ YZF-R7
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走る楽しさを極めるスーパースポーツ

ヤマハ『YZF-R7』のコンセプトは「Fun Master of Supersports」。走る楽しさを極めるスーパースポーツという意味だ。パワーに臆することなく躊躇なくスロットルを開けられて、コーナーを楽しみながらスキルアップできるマシン。サーキットだけでなくワインディングでも十分楽しめる懐の深さを持ったSSを目指したという。

エンジンと車体のベースは『MT-07』だ。トルクフルで扱いやすい水冷並列2気筒エンジンとしなやかなスチールフレームを受け継ぎつつも、前後サスペンションやフレーム各部を強化しフロント荷重を増やすなど車体のディメンションも最適化されている。

見た目はRシリーズ直系のスーパースポーツルック。ライポジも『YZF-R6』に近い前傾タイプで、シートもやや高めだが直4マシンに比べてだいぶスリムな車体のおかげで足着きも悪くない。

タイトコースならR6ともいい勝負ができる

270度クランクの歯切れのよい鼓動とともに弾けるトルクが気持ちいい。基本的には低中速寄りのエンジンでアクセルに対する反応はリニアで力強く、それでいてスムーズの高回転まで吹け上がる。スペック的にはMT-07と同じ最高出力73ps/8750rpmだが体感的にはもっと出ている感じ。直4エンジンのような強烈なパワーの盛り上がりこそないが、そのぶんコーナー立ち上がりでもアクセルを開けやすく、早めに全開加速に持っていけるので結果的にトップスピードも伸びる。

ちなみにファイナルとマッピングで出力特性をMT-07より高速寄りにしているとのことで、試乗コースの袖ケ浦フォレストレースウェイではホームストレートで170km/h(メーター読み)を超えた。たぶん、直線が短いタイトコースではパワーに勝る同クラスの直4マシン、たとえばR6ともいい勝負ができるはずだ。

ハンドリングも軽快かつしっとり感があり、乗り始めてすぐに馴染むフレンドリーさがある。高速コーナーも安定感があり標準装着のS22も不安なくフルバンクまで持っていけるし、モノブロックラジアルキャリパーと2枚ディスクを備えたブレーキも強力かつ扱いやすくサーキットでも十分な制動力。今回はサーキット試乗のみだったが、ストリートでも軽い車体と適度なパワー、クセのない扱いやすいハンドリングを生かしてワインディングでも楽しく走れると思う。

まさにバーゲンプライス

ただ一方で、かなり攻め込んでいくと路面のギャップでサスペンションの追従性がもう少し欲しくなり、ハードブレーキングでABSの“間引き感”が気になる場面も出てくる。サーキット走行に慣れたベテランが本気でプッシュするとタイヤも物足りなさが出てくるだろう。

でもそれがR7のコンセプト。圧倒的な性能や電子制御こそないが、普通のライダーでも純粋に走る楽しさや腕を磨く充実感を味わえるマシンということ。さらに上を望むなら、R6やR1へとステップアップすればいいだけだ。そして、何より素晴らしいのが税込で99万9900円という価格。R7で味わえる濃密なスポーツライディングの時間を思えば、まさにバーゲンプライスと言えると思う。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

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