AUTECHブランド初のコンパクトクロスオーバーモデルは上質と安らぎに満ちていた | Push on! Mycar-life

AUTECHブランド初のコンパクトクロスオーバーモデルは上質と安らぎに満ちていた

その日は、抜けるような蒼空に恵まれていた。陽の光を浴びて、湘南の海はキラキラと小さな光の粒を反射させている。

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ノート AUTECH クロスオーバー
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  • AUTECHロゴ入りのセンターコンソールとシフト

その日は、抜けるような蒼空に恵まれていた。陽の光を浴びて、湘南の海はキラキラと小さな光の粒を反射させている。

僕は豪華クルーザーが停泊するマリーナで『ノート AUTECH クロスオーバー』に向かった。クルージングを楽しむためではない。日頃から「プレミアムスポーティ」がコンセプトの日産のカスタムカーブランドであるAUTECHにはただならぬオーラを感じており、常に上質を伴うAUTECHにとっても初めてとなるクロスオーバーの走りを堪能しているうちに、ついつい足がマリーナに向かっていたのである。

一言で言うならば「上質」 豪華クルーザーを背景にしても埋もれることのない佇まい

ノート AUTECH クロスオーバーの最大の特徴は、そもそも上質を特徴とするノートに、躍動感漂うアウトドア感覚を盛り込んだことにある。さらにAUTECHのスパイスが降り注がれると、ひときわ雰囲気は精良になる。力強さと上質さが一段と増してくる。

それが証拠に、数億もする豪華クルーザーを背景にしても、ノート AUTECH クロスオーバーはまったく気配が埋もれることがなく、むしろ存在感に秀でた船でさえこのクルマを引き立てるキャンバスであるかのように脇役になる。吸い込まれるような深みのあるAUTECHブルーがキラキラと人の視線を反射させると、ノート AUTECH クロスオーバーだけが3Dで合成されているかのように輪郭を伴って浮き立つのが不思議だった。

ノート AUTECH クロスオーバーに見惚れていてハッとするのは、25mmUPの車高だ。それだけでも力強く見えるのだが、ホイールアーチガーニッシュがさらに引き立てる。195/60R16のタイヤはデザイン性豊かなホイールに組み込まれており、こちらも強烈な個性を放っている。切削光輝の処理がなされており、やはりこの日の海のようにキラキラと輝く。もうひとつの特徴であるサイドシルプロテクターは前後に伸びやかだ。ルーフのモールも同様に、活動エリアの広がりを感じさせる。実に力強い。都会的に洗練されていながら、行動範囲が無限に広がりそうな予感がするのである。

コクピットの印象も、一言で言うならば「上質」である。付け加えるならば、リビングのようなもてなしがある。柔らかな手触りで体に馴染むレザレットのシートは、クルマのシートというより、うっとりするようなソファの感覚に近い。艶のある黒にAUTECHブルーのステッチがアクセントになっている。各所に散りばめられたブルーステッチ、ダークウッド調のフィニッシャーなど装いは至高である。本革のステアリングが手に馴染む。

後輪に最高68psの出力と最大100Nmものトルクを伝達する専用モーターを搭載

実は、自然にマリーナに足が向かう前に、ノート AUTECH クロスオーバーの走りを堪能している。搭載するエンジンは直列3気筒1.2リッターユニットであり、最高出力82ps、最大トルク103Nmを発揮する。

ただ、内燃機関のそれは走りには直接影響はしない。十分な電気パワーをバッテリーに溜め込むものの、走りの基本型は「e-POWER」だ。蓄えた電力を元にモーター駆動する。フロントモーターの最高出力は116ps、最大トルクは280Nmと力強い。しかもノートはリヤモーターで後輪にも最高68psの出力と最大100Nmものトルクを伝達させる。山坂道をグイグイと駆け上っていくのだ。クロスオーバーであることでイメージされる悪路や積雪路でも力負けすることはないのである。

高い静粛性と上質な加速フィール

走りの基本はe-POWERだから、発進の初期から力強い。動き出しの瞬間から最大トルクを発生する特性上、クラスを超えた動力性能とワンペダル感覚が心地いい。アクセルオフでの回生力が強いばかりか、強い減速力が得られる。つまり、右足でアクセルペダルを踏み込めば強い加速が発揮され、右足の力を緩めれば減速力が増す。減速のたびにいちいちブレーキペダルに足を載せ替える必要がない。上質なノート AUTECH クロスオーバーらしい、イージーな走りが可能なのだ。

それでいて、静粛性が高い。アクセルペダルの踏み込みに比例してエンジン音がシンクロするものの、遮音性が高いからサウンドは遠音のようにわずかに響くだけである。パワー特性も加速フィールも上質だった。

クラスを超えた上質感、それはまるで高級ソファでくつろいでいるような安らぎ

乗り心地が上質なのは想像の通りだ。高剛性の専用の足回りは、車高が上がっていながらも、そうとは感じさせないクイックな走りを実現しており極めて軽快な印象だ。その上、ボディをフラットに保ってくれるので、ちょっとハイペースでコーナーに挑んでも、姿勢が不自然に乱れることはなかった。それでいて路面の突起を優しくいなす。タイヤが悲鳴を上げるほどハードにコーナーを攻め立てるのはノート AUTECH クロスオーバーらしくはないが、不粋を承知でコーナーに挑んでも、涼しい顔でクリアしてくれそうである。

そもそも僕はAUTECHに好意を抱いてきた。クラスを超えた上質感があり、それはまるで高級ソファでくつろいでいるような安らぎがある。その一方で躍動感を求める僕の嗜好に、クロスオーバーは理想的なのだ。

マリーナでくつろいでいるうちに、また走りたくなった。都会を抜けてもう一度ワインディングに足を向けることにした。

ノート AUTECH クロスオーバーの詳細はこちら

木下隆之|モータージャーナリスト
学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。

《木下隆之》

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