このクルマ要注意 心と身体を揺さぶる新たなMINI John Cooper Worksの真価に迫る | Push on! Mycar-life

このクルマ要注意 心と身体を揺さぶる新たなMINI John Cooper Worksの真価に迫る

脱炭素社会に向けた動きが活発な昨今、間もなく内燃エンジンが終わりを迎えようとしているところに、“最後の晩餐”とばかりに高性能グレードの存在が目立つ。その数も相当数に及び、欧州車などは今やホットモデルをラインアップ……

自動車 試乗記
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MINI John Cooper Works ハッチバックモデル(前)とクラブマン
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル(前)とクラブマン
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル(右)とクラブマン
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル
  • MINI John Cooper Works ハッチバックモデル

本当のハイパフォーマンスカーとは乗る場所を選ぶということ

脱炭素社会に向けた動きが活発な昨今、間もなく内燃エンジンが終わりを迎えようとしているところに、“最後の晩餐”とばかりに高性能グレードの存在が目立つ。その数も相当数に及び、欧州車などは今やホットモデルをラインアップするのは当たり前で、しかも年々過激さが増しているようにも思う。

もちろん、ヨーロッパにはそうしたモデルの人気が高いというのも理由にあるが、サーキットという存在が身近にあるのもまた事実。日本も徐々にそうなりつつあるようだが、いずれにしても最新のホットモデルは乗る場所を選ぶほど、どれもパフォーマンスが高いのは間違いない。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバック

この感覚 気持ちを制御することは困難である

コンパクトカーの高性能モデルは、日常から楽しめるレベルに仕上げられているのが最大の魅力であり特長。特にここで取り上げるMINI John Cooper Works(ジョン・クーパー・ワークス)のハッチバックモデルは、実に扱いやすく刺激に溢れ、クルマ本来の面白さを教えてくれる1台だ。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバックモデル

なんせ、全長3,880×全幅1,725×全高1,430mmという小さな車体に231psのパワーと320Nmの最大トルクを発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載し、1290kgの車体を活かして機敏かつ俊敏な動きと速さで乗り手を虜にするのだ。プレス向けの資料には、“サーキット志向のモデル”と謳われているものの、コンパクトカーの利点を活かし、普段の足として使っている中でも楽しさを味わえるから、心底“クルマ好きでよかった”と思わせてくれる存在だ。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバックモデルエンジンルーム(2リッター直列4気筒DOHCターボエンジン 231ps /320Nm)

その感覚は、まさにゴーカート。MINIが紹介されるたびに散々使い古された台詞とはいえ、John Cooper Worksこそピタリと言い当てていると思う。これがノーマルモードからしてそうだから、たまらない。街中でのスタートダッシュは素早く、0→100km/h加速は6.1秒を誇るだけに、その勢いに乗って飛ばし続けたくなるどころか、交差点を曲がるだけでも面白く感じるから気持ちを制御することは困難だ。ちなみに現在、6速MTはラインアップされず、8速ATのみの設定。0→100km/h加速は6速MTの6.3秒と、8速ATのほうが速いのも特長だ。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバックモデル

アップデートされたアダプティブサスペンション

「機敏に動ける」ということは、何よりも基本設計が優れているから。シャシー性能はすこぶる高く、特にボディ剛性はとにかく強固。そのうえ、John Cooper Worksのパフォーマンスに見合うよう、前後サスペンションは締め上げられているため、正直に言ってしまえば乗り心地を表現するにも快適とは言い難い。しかし、不思議と不快とは思えない絶妙なサジ加減に仕上げているから見事だ。

また、今年の春にマイナーチェンジが行われた際、アダプティブサスペンションがアップデートされた効果も大きく、コーナリング性能がレベルアップしていると同時に、接地感が増しているのも大きなポイントだろう。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバックモデル アップデートされたアダプティブサスペンションを搭載

そうした一面は、スポーツモードでさらなる恩恵を受けることになる。とてもコンパクトハッチという括りでは収まらないJohn Cooper Worksの走行性は、スリリングなエンターテイメント性でドライバーを楽しませながらも実に秀逸な完成度を見せつける。

おそらくこの辺りは世界一過酷と言われるニュルブルクリンクのノルドシュライフェで鍛え抜かれた成果で、基本は生真面目に造りつつも、意図的に遊び心を加えている印象だ。勢いよくアクセルをガバッと開ければトルクステアの洗礼を受けるし、コーナリングでは硬めの足で乗り手の心と身体を揺さぶり、ブレーキングした際は期待以上に制動するなど、機能と演出をきっちりと使い分けている節すら見受けられる。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバックモデル

病みつきになるほどのタイトコーナーでの運動性能

“サーキット志向の~”と謳われているJohn Cooper Works。それだけにスポーツシートのホールド性も十分だ。グリップが太めのステアリングもJohn Cooper Worksを操るうえで効果的、パドルシフトを使った変速もオートマチックトランスミッションのわりには申し分ないレベルに仕上げられているからサーキットで乗れば相当楽しめるのは間違いなく、特にショートサーキットに向いているように思う。富士スピードウェイのショートサーキットや筑波サーキットあたりで乗ると最高に楽しめるだろう。MINI JOHN COOPER WORKS ハッチバックモデル インストゥルメントパネル

もちろん、腕に自身のある方ならワインディングでもJohn Cooper Worksの魅力にハマるのは確実。高速コーナーよりもタイトコーナーで真価を発揮し、持ち前のコンパクトボディを振り回すようにダンスするかの如く曲がっていく様を一度でも体験すると病みつきになるはず。また、ジムカーナ的な遊びをするのも適している。パイロンスラロームなどはお手の物と言わんばかりに、ショートホイールベースを活かして、右へ左へと旋回していくのは容易に想像がつく。MINI JOHN COOPER WORKS クラブマン

クラブマンでもJohn Cooper Worksとなると油断は禁物

こうしてMINI John Cooper Worksが“俊足のゴーカート感覚”をウリにする一方、より実用性を求めたい人には、MINI John Cooper Works クラブマンという選択肢も用意されている。しかし、これはこれで要注意。3ドアモデルよりもはるかに使える後部座席に十分なラゲッジスペースを有し、ロングホイールベースも功を奏して可愛らしく洒落ているように映るが、油断は禁物。MINI JOHN COOPER WORKS クラブマン

同じ2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するものの、強化クランクシャフトや専用ピストン、さらにターボチャージャーを刷新することで、306ps&450Nmというパワー&トルクを発揮、駆動方式もALL4(AWD)となるツワモノだ。しかも、それに合わせてブレーキシステムも大型化され、タイヤも分かる人には分かる玄人ウケ抜群のミシュラン・パイロット・スーパースポーツまで奢られている。MINI JOHN COOPER WORKS クラブマン 18インチホイール

トレッドに対してホイールベースが長いからコーナリング性能はハッチバックモデル ほどではないものの、以前から比べればだいぶ曲がるようにはなっているが、これだけの出力値を有するから、どちらかというと高速でカッ飛びたい性格の人に適しているだろう。MINI JOHN COOPER WORKS クラブマン

例えば、都会で暮らすオーナーが、休日にラゲッジ一杯にアウトドアグッズを詰め込んで、超高速で2時間ほど走りキャンプ場へ向かうなど、そんなシーンを想像すると、都市部や郊外に住む人にとっても、実に粋でアグレッシブなライフスタイルを実現させてくれる1台だと思う。

John Cooper Worksそのものを知ると言うことは、車を操る楽しさを本当の意味で理解することなのかもしれない。

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野口 優|モータージャーナリスト
1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。

《野口優》

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