【鉄板チューニングデータ付き】『楽ナビ』の性能を引き出し尽くす“パッシブ”の作り方を伝授!「ザ・マニアック・カーオーディオ」第1回 | Push on! Mycar-life

【鉄板チューニングデータ付き】『楽ナビ』の性能を引き出し尽くす“パッシブ”の作り方を伝授!「ザ・マニアック・カーオーディオ」第1回

今回からスタートする当特集では、“マニアック”なカーオーディオの楽しみ方を、毎回テーマを変えながらさまざま取り上げていく。まずは、カロッツェリアの『楽ナビ』ユーザーに向けたスペシャルなスピーカーセッティング法とサウンドチューニング術を紹介する。

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カロッツェリア・楽ナビ
  • カロッツェリア・楽ナビ
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  • “エモーション”オリジナルの汎用パッシブの設計図。
  • “エモーション”流の「13バンドイコライザー」の設定カーブ。
  • カロッツェリア・楽ナビ
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今回からスタートする当特集では、“マニアック”なカーオーディオの楽しみ方を、毎回テーマを変えながらさまざま取り上げていく。まずは、カロッツェリアの『楽ナビ』ユーザーに向けたスペシャルなスピーカーセッティング法とサウンドチューニング術を紹介する。

なお当特集は、多くの引き出しを持つ実力カーオーディオ・プロショップに取材し記事を作成していく。今回は福岡県粕屋町の有名店、“エモーション”の橋本さんに話を訊いた。保存版的な情報を多々得られた。じっくりとお読みいただきたい。

“バイアンプ接続”対応の“パッシブ”を用意すれば、『楽ナビ』のチューニング能力をさらに引き出せる!

今回は、『楽ナビ』の良さをさらに引き出せるマニアックな実践テクニックを紹介していく。そのキモとなるのは、音楽信号の帯域分割を行うパーツである“パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)”の製作だという。早速“エモーション”の橋本さんに、“パッシブ”を自作することの利点から教えてもらった。

「メインユニットにカロッツェリアの『楽ナビ』をお使い場合、パッシブを自作することで2つのメリットが得られます。まず1つ目のメリットは、『楽ナビ』に搭載されているチューニング機能をより有効に使えるようになることです。

というのも、自作すれば“バイアンプ接続”に対応した“パッシブ”を用意できます。“バイアンプ接続”とは、片側の2ウェイスピーカーをパワーアンプの2ch分の出力を使って鳴らすという接続方法です。メインユニットの内蔵パワーアンプでスピーカーをドライブする場合には、リア出力を使ってツイーターを、フロント出力を使ってミッドバスを鳴らします。ツイーター用のパッシブとミッドバス用のパッシブを個別に作ることで、このような鳴らし方を行えるようになるんです。

で、『楽ナビ』には左右のフロントスピーカーと左右のリアスピーカーに対して適用できる“タイムアライメント”という機能が搭載されていますが、“バイアンプ接続”を行うと当機能を、フロントの4スピーカーそれぞれに対して個別に効かせられます。結果、より緻密なチューニングが行えるようになるんです。

しかも『楽ナビ』には、“スピーカー出力レベル”という機能が搭載されていて、4出力のレベル(音量)を個別に調整できます。なので“バイアンプ接続”を行った場合には、4スピーカーの音量調整も個別に行えます。これが可能になるかならないかの違いはとても大きいです。最後に説明しますが、この設定が上手くいくとステレオイメージの再現性がぐっと高まります。

なおそもそも“バイアンプ接続”は、音質的な優位性が高いです。内蔵パワーアンプの4ch出力のすべてを使ってフロントスピーカーをドライブすることになるので、スピーカーの駆動力が上がるんです」

カロッツェリア・楽ナビカロッツェリア・楽ナビ

自作すれば、市販品よりも高品質な“パッシプ”を低コストで手にできる!

「ところで市販のスピーカーの中には、付属されているパッシブが“バイアンプ接続”に対応している場合も少なくありません。そうであったらそれを活用すれば良いわけですが、自作した方がより高性能な“パッシブ”を手にできます。このことが、自作をすることで得られる2つ目のメリットです。

自作する場合、使用する素子に7、8千円程度の予算を投じれば、6万円以下のスピーカーに付属されている“パッシブ”より良質なものを作れるはずです。場合によっては、6万円以上のスピーカーに付属する“パッシブ”よりも上質なものに仕上がることもあるでしょう。

で、肝心な“パッシブ”の作り方は、図に起こしましたのでそちらを参照してください。そのとおりにお作りいただければ、繋がりが抜群に良い“パッシブ”を完成できます。

ただしこの“パッシブ”が威力を発揮するためには、使用するスピーカーが以下の2つの条件を満たしていなければなりません。ツイーターの口径が2.5cmであること、定格入力が100W以下であること、この2つです。とはいえ、市場にある約7割のスピーカーはこの条件に合致していますから、当パッシブは多くのスピーカーに活用していただけます。

ちなみにこの“パッシブ”のクロスポイントは、3.5kHzあたりです。細かな説明をすると長くなるのですが、バターワーススフィルターをベースに定数を敢えて変えて設計し、このようなクロスポイントとしています。スロープはマイナス12dB/octです。なのでツイーターはプラスとマイナスを逆相接続してください」

“エモーション”オリジナルの汎用パッシブの設計図。“エモーション”オリジナルの汎用パッシブの設計図。

“エモーション”流の“鉄板チューニングデータ”を大公開!

「続いてはサウンドチューニングのやり方をご説明します。今回はコツではなく、鉄板のチューニング法をそのままお教えいたします。

まず“タイムアライメント”の設定手順は、次のとおりです。シートを運転時の位置に合わせ頭をヘッドレストに付けた状態で、鼻の頭の位置から各スピーカーまでの距離を測ります。ツイーターは振動板の中央あたりまで(振動板に触れないように注意)、ミッドバスはスピーカーの中心あたりの内張りパネル面までの距離を測ります。なおミッドバスについては実測値に、軽カーの場合で5cm、普通車の場合で7.5cm足してください。そうすると“ボイスコイル”からの概ねの距離を実測できたことになります。スピーカーの音の出発点は、“ボイスコイル”です。ホームオーディオのスピーカー設計においてもそのような考え方があり、当店ではその理論に従っているんです。このようにして導き出した数値の近似値を入力すれば、“タイムアライメント”の設定は完了です。このとおりにやっていただければほぼ決まります。

続いては“スピーカー出力レベル”にて各スピーカーのレベルを合わせます。モノラル音源を再生し、すべての音が一か所から聴こえてくるように音量バランスを整えてください。これが決まると情報量が出ます。

なお、ツイーターの音量が大きくなると高音が聴こえてくるポイントが上がり、低音が聴こえてくるポイントが下がっていきます。逆にミッドバスの音量が大きくなるとその逆になります。そして右が大きいと右に寄り左が大きいと左に寄ります。それらを確認しながら、中央の一か所から音が聴こえるようにしてください。

どのような音源を使えば良いのか分からないという方は、『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』というジャズボーカルアルバムの2曲目、“ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ”を入手してみてください。名盤ですので手に入りやすいと思います。

また“13バンドイコライザー”の設定については、写真を参照してください。写真は以前の『サイバーナビ』の設定画面ですが、現行の『楽ナビ』の“イコライザー”も同様の仕様になっています。このとおりに設定していだければ、多くの車種で良好なサウンドに仕上がると思います。

“エモーション”流の「13バンドイコライザー」の設定カーブ。“エモーション”流の「13バンドイコライザー」の設定カーブ。

お近くでしたらお気軽にご来店ください。さらに詳しくご説明いたしますし、音を良くするさまざまなご提案をさせていただけると思います。お待ちしています」

《太田祥三》

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