ルノー キャプチャー、トヨタ ヤリスクロス、マツダ CX-30 今注目のSUV3台 その光るセンスと個性を深掘り | Push on! Mycar-life

ルノー キャプチャー、トヨタ ヤリスクロス、マツダ CX-30 今注目のSUV3台 その光るセンスと個性を深掘り

気がつけば世の中はSUVが花盛りだ。もはやブームの域を超えて、乗用車の1ジャンル、というよりメインストリームとしてすっかり定着した感がある。

自動車 試乗記
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ルノー キャプチャー、トヨタ ヤリスクロス、マツダ CX-30 今注目のSUV3台 その光るセンスと個性を深掘り
  • ルノー キャプチャー、トヨタ ヤリスクロス、マツダ CX-30 今注目のSUV3台 その光るセンスと個性を深掘り
  • ルノー キャプチャー INTENS Tech Pack
  • マツダ CX-30 XD PROACTIVE Touring Selection 2WD
  • トヨタ ヤリスクロス HYBRID Z 1.5L 2WD
  • ルノー キャプチャー INTENS Tech Pack
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気がつけば世の中はSUVが花盛りだ。もはやブームの域を超えて、乗用車の1ジャンル、というよりメインストリームとしてすっかり定着した感がある。

勢い、小から大まで、内外の自動車メーカー各社からさまざまなモデルが発売されていて、レストランのメニューから自分の注文したい料理がなかなか決められない筆者のようなタイプのユーザーは、きっと、一体どれにしようか……と途方に暮れていたりするのではという気がする。

もし白紙の状態から決めようというのなら、順当な手順でいえば、まず、自分の生活スタイル、具体的な使い方、そして予算など合理的な基準から候補を絞っていくのが手だ。さらに気になるブランド、候補車種があるのであれば、その車種を中心にコンペティターと呼ばれる車種を横に並べて検討する、そういうやりかたをすればいい。

今回は、ボディサイズ、価格のバランスポイントが高いB、Cセグメントのモデルの中から、個人的にも気になっていた最新のルノー『キャプチャー』を中心に、国産からも数あるモデルの中から、トヨタ『ヤリスクロス』、マツダ『CX−30』を連れ出し、この3車で同時に試乗をすることにした。

クロスオーバー的な雰囲気だが、乗用車的上質感を十分に備えているヤリスクロス

最初のご紹介は日本車の月販台数でトップを独走中の『ヤリス』シリーズのSUVタイプがこの『ヤリスクロス』。2020年8月に登場したモデルだ。

『ヤリス』を名乗るものの、アグレッシブなハッチバック系とはかなり趣の違うスタイリングが特徴で、より幅広いユーザーをターゲットにしていることがわかる。とはいえ日本専用車なのか?というと、まったく逆で、欧州のユーザーにもリサーチをかけ、“何でも積めて何にでも使えるクルマが欲しい”の声に応えて開発されたのだという。

SUVというよりクロスオーバー的な性格の強い『ヤリスクロス』だが、乗ってみると、乗用車的上質感を十分に備えていることがわかる。とくにハッチバックの走りのイメージを頭に置いて乗ると、乗り味がオットリとしており、音・振動も気にならない小ささ。

試乗車はHYBRID Zグレードの2WD車で、パワーユニットは3気筒の1.5リットル+モーターというもの。動力性能はもちろん十分なもので、街中から高速道路までストレスなく走ることができる。1200kgに車重が抑えられていることもあり、全体に軽快な走りも特徴だ。

ドライバー席からの視点でエンジンフード左右の“峰”が視界に入り、もともとコンパクトなクルマだが、車両感覚が掴みやすく、運転中の安心感も高い。当然ながら、モーター走行時の静かさはHVならではだ。

ひと際スタイリング・コンシャスなデザインが光るCX−30

マツダのCXラインの中庸にポジショニングされるのがこの『CX−30』だ。登場は2019年9月で、ベースは同社Cセグメントの『マツダ3』。今は車格が同じ『MX−30』があるものの、上級の『CX−8』『CX−5』に対してコンパクトで、スポーティなキャラクターが与えられている。

この『CX−30』の大きな魅力は、先に挙げたマツダのCXラインの中でもひと際スタイリング・コンシャスに仕上げられている点だ。平たく言うとクーペライクということになるが、とくに必要な居住空間とスタイリングの良さをすり合わせ、とことんまで突き詰めたリヤ回りの造形は見応えがある。全高も1540mmに抑え、スタイリングと立体駐車場での利便性を両立させた。

今回の試乗車(XD PROACTIVE Touring Selection)は、'20年12月のディーゼルエンジンの改良(パワーアップと特性の改善)と’21年4月の改良(前後ダンパー特性の見直し)が入った、最新スペックの個体だった。いずれの改良も今回の試乗で確認することができ、乗り味は主に出足直後の低速域でフラットで今までよりもしなやかなものに。

1.8リットルのディーゼルターボも、パワーが増強されたことと特性の改良で、アクセルに対するツキがよくなり、今までよりもクルマをギクシャクさせずにスムースに走らせられるようになっていた。

欧州コンパクトSUVナンバー1の実力 安心感は上級クラス並のキャプチャー

3車でもっとも新しいのが、今年2月にフルモデルチェンジを果たし2代目が発売されたばかりのルノー『キャプチャー』だ。何でも2013年に登場した初代は世界で170万台以上の販売実績をあげ、2020年に欧州で販売されたSUV中、ナンバー1の販売台数を誇り、まさに“欧州コンパクトSUV”のリーダーを自他共に認めるモデル。

最新技術の搭載が可能で、軽量、高剛性で遮音性にも優れた新開発のCMF-Bプラットフォームをベースに、搭載エンジンはひとクラス上のモデルでも採用する1.3リットルの4気筒直噴ターボ(154ps/27.5kgm)を搭載。これに電子制御の7速EDC(デュアルクラッチ式トランスミッション)が組み合わせられる。

このルノー『キャプチャー』の魅力はさまざまだが、今回の試乗でもっとも感銘を覚えたのは、高速走行時の直進安定性の高さだ。とにかくベタッと路面に吸い付いたかのように真っすぐに走る。なのでコンパクトクラスのSUVながら安心感は上級クラス並といってよく、見かけによらぬ頼もしさに感心した次第。ルノー キャプチャー INTENS

もちろん乗り味はフラットでスムースだし、エンジンパワーも十二分で、常に余裕を残す印象。走行中の室内の静粛性も高い。一方でワインディング路もルノー車らしく、しなやかな身のこなしで駆け抜ける。クルマとして大事な動的性能ではとにかく“新しいプラットフォーム感ヒシヒシ”で、試乗中、何度も唸らされたことを報告しておこう。ルノー キャプチャー INTENS

外観は先代に較べ全長+95mm、全幅+15mm、全高+5mmとひと回りサイズアップ。ホイールベースも35mm伸ばされた。キャプチャーらしいスタイリングは、ランプ類、サイドウインドゥのクロームのモールなどの新しいディテールで、クラスアップしたような上質感を漂わせる。

インテリアもデザイン、質感ともに、上級クラスのクルマに乗り慣れたユーザーでも納得のいくレベルに仕上げられている。コクン!と洗練された操作感のe-シフターを始め、スッキリとしたグラフィックが好ましい7インチのタッチスクリーン(僅かにドライバー側に向けられている)、中央のロータリー式と鍵盤式の物理スイッチなども、直感操作が可能なレイアウト、操作ロジック。パーキングブレーキも電動化された。一方で後席には最大160mmのスライド機構が備わるから、使い方に応じたアレンジができ便利。

それから見逃せないのが、国産車同等かそれ以上の先進運転支援システム「ルノー イージー ドライブ」だ。特に注目なのが、インテンステックパックに標準装備されている、車線中央走行を維持するステアリング操舵支援付「レーンセンタリングアシスト」は、アダプティブクルーズコントロールとともに作動し、運転をサポートしてくれる。また、車両の前後左右に装着されている4つのカメラの映像を基に、車両を上から俯瞰したようなに周囲の状況を一目で確認できる「360°カメラ(全グレード標準装備)」搭載も嬉しい。

他にも車線逸脱警報、後側方車両検知警報なども備え、こうした多数の機能が、安全・安心なドライブを文字どおりサポートしてくれるのは言うまでもない。

B、Cセグメントのモデルは個性派揃い オーナーになるとしたら・・・

SUVないしはクロスオーバーのセグメントは、冒頭でも触れたとおり、今や豊富な車種が揃う。これだけ“広まった”要因には、少し高めの着座位置による運転視界のよさや、オールマイティな実用性の高さ、利便性がある。

さらにB、Cセグメントのモデルは個性派揃いであり、オーナーになるにしても、扱うにしても、手ごろで身近なところが魅力だ。そうした中でルノー『キャプチャー』を選ぶとしたら、ルノーならではのクルマ造りが活き活きとした走りに体現されていることや、日本車とはひと味違うフランス車の道具感、センスが味わえること、それと最新のクルマらしく安全運転支援関係の機能が充実していること、などが理由になる。心弾む毎日が過ごせそう……そう思わせてくれるスタイリッシュな実用車が『キャプチャー』だ。

ルノー キャプチャーの詳細はこちら

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

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