【ホンダ フィット モデューロX 新型試乗】ノーマルに物足りなさを感じている人には貴重な1台…片岡英明 | Push on! Mycar-life

【ホンダ フィット モデューロX 新型試乗】ノーマルに物足りなさを感じている人には貴重な1台…片岡英明

◆「実効空力」を高めるエアロパーツが走りを変える ◆ノーマルと比較、安定性に余裕を感じる ◆連続するコーナーを意のままに

自動車 試乗記
ホンダ フィット e:HEV モデューロX
  • ホンダ フィット e:HEV モデューロX
  • ホンダ フィット e:HEV モデューロX
  • ホンダ フィット e:HEV モデューロX
  • ホンダ フィット ネス
  • ホンダ フィット ネス
  • ホンダ フィット e:HEV モデューロX
  • ホンダ フィット e:HEV モデューロX
  • ホンダ フィット e:HEV モデューロX

ホンダの純正アクセサリーなどを手がけるホンダアクセスは、熟練のエンジニアが匠の技を用い、人の感覚にもこだわりながら磨き上げたコンプリートモデル(ワークス直系のチューニングカー)を送り出している。それが「モデューロX」(ModuloX)だ。

開発時には実際にテストコースやサーキットなどを走り込み、エアロパーツやサスペンションなどのデザインとスペックを決めている。だから走りの実力は非凡だ。その最新作として6月に発表・発売されたのが、シリーズ7作目となる『フィット e:HEV モデューロX』である。

「実効空力」を高めるエアロパーツが走りを変える

コンセプトカーが姿を現したのは、2020年1月の東京オートサロン2020だった。参考出品の形で展示され、ファンの熱い視線を集めている。年末にホンダアクセスは、袖ヶ浦フォレストスピードウェイにマスコミ関係者を招いて『フリード』のモデューロX試乗会を催した。このときにフィット e:HEV モデューロXのプロトタイプも持ち込まれ、サーキット走行を行ったのだ。この後の半年の間に開発陣は熟成に努め、正式発表にこぎつけている。

開発コンセプトは「大人の秘めた情熱」だ。所有する喜びからくるワクワク感、カッコよさからくるゾクゾク感、走り出した瞬間のドキドキ感、この3つを全身で表現している。エクステリアにはブラックを基調としたモデューロXらしい存在感のあるデザインを採用した。それとともに「実効空力」を高めるエアロパーツを装着して、誰がどんな道で乗っても安心して気持ちよく走れるクルマに仕立てている。

走りに寄与するモデューロX専用装備の筆頭は、フロントとリアのエアロバンパーだ。もちろん、テールゲートスポイラーも装備した。また、専用セッティングのダンパーを装着し、足元は専用デザインで軽量な16インチアルミホイールで特別感を主張する。ドレスアップパーツはハニカムデザインの精悍なグリルが目を引く。ドアロアーガーニッシュやリアライセンスガーニッシュ、ドアミラーはブラック塗装でコーディネートした。インテリアは、ブラック一色のほか、ブラックとボルドーレッドのコンビを設定する。

ノーマルと比較、安定性に余裕を感じる

最初にノーマルの『フィット』のステアリングを握った。都内の一般路と首都高速、そして関越自動車道を走る。e:HEVのノーマル車は爽快な走りが自慢だ。発電用と駆動用を別々にした2モーターのハイブリッド車だから街中ではEV走行の領域が広く、滑らかな加速に加え、静粛性の高さも際立っている。ただし、動力性能は平凡で、ワクワクさせられるところはない。ハンドリングは街中ベストだ。素直なハンドリングで扱いやすいし、乗り心地もよかった。

だが、大きなコーナーが連続する首都高速では少し余裕を欠くようになる。連続するコーナーでは操舵遅れに気を使ったし、ロールによる上半身の揺れと小刻みなピッチングも気になった。姿勢変化は意外に大きいのだ。高速道路でも加速時や減速時、そして荒れた路面で挙動の乱れを感じた。また、トラックなどと並走すると、外乱によってクルマの動きが変わるのが分かる。

サービスエリアでモデューロXとチェンジした。本線に入ると、エアロパーツが効果を発揮しているのがよく分かった。風をきれいに後方に流すことにより、リフトバランスを最適化し、直進安定性と挙動安定性はノーマル車よりはるかにいい。また、レーンチェンジしたときのクルマの収まりも速やかだ。大型トラックなどと並走したときの安心感もケタ違いと感じた。ステアリングとボディにどっしりとした落ち着きを感じる。ダンパーを変更していることもあり、ちょっと引き締まった乗り味になるが、荒れた路面でもバタつかなくなった。同じスピードで走ると余裕は絶大だ。飛ばし気味で走ったときの安心感と乗り心地も格段によくなったと感じる。

連続するコーナーを意のままに

群馬サイクルスポーツセンターのサーキットでもノーマル車とモデューロXを乗り比べた。首都高速や高速道路以上に違いを感じたことは言うまでもない。ノーマル車は、加速時と減速時、コーナリング時の挙動変化が大きく、複合コーナーが続くと、後半部分で修正舵を当てることが多かった。また、上りのコーナリングではトラクションが抜け気味になるし、荒れた路面では追従性に物足りなさを感じる。

フィットのモデューロXは、足がしなやかに動き、コーナリング限界も高かった。装着タイヤはどちらもヨコハマのブルーアースだが、グリップ性能とブレーキ性能が1ランク上がったような印象だ。連続するコーナーを、意のままに、オン・ザ・レールで走っていく。ホットに攻めるとコーナリング時にロールするが、荷重移動と姿勢変化はスムーズだ。ノーマル車ではアンダーステアに苦しむ場面でも素直なニュートラルステアを貫くから意のままにコントロールできる。

タイトコーナーや回り込んだコーナーも苦にしない。路面の傾斜が変わり、タイヤの接地感が抜けそうな場所でも踏ん張る。滑りやすい路面でもしたたかに食らいつくし、滑ったときの修正もたやすい。狙ったラインに乗せることができるだけでなくコントロールできる領域が広げられ、懐が深いから安心感がある。攻め込める領域は大きく広がった。

モデューロXの魅力は、絶妙なバランス感覚だ。サーキットではスタビリティ能力の高さとトラクションのよさを見せつける。コントロールしやすいし、ブレーキング時のノーズの沈み込みも上手に抑え込む。無駄な動きを封じているから、日常の走りでも運転が上手くなったように感じる。クルマ酔いも減るはずだ。ノーマルのフィットに物足りなさを感じている人には貴重な1台になるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

《片岡英明》

特集

page top