【光岡 バディ 新型試乗】見た目は80s、中身は令和!行く先々で注目のマトに…岡本幸一郎 | Push on! Mycar-life

【光岡 バディ 新型試乗】見た目は80s、中身は令和!行く先々で注目のマトに…岡本幸一郎

◆とにかくインパクト満点のスタイル
◆外観に合ったシートが秀逸
◆軽やかに乗れて乗り心地も快適
◆仲間や家族も乗せられるよき相棒
◆帰路に思わぬ出会いが…

自動車 試乗記
光岡 バディ
  • 光岡 バディ
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とにかくインパクト満点のスタイル

行く先々で目で追われていることをヒシヒシと感じる。やはり、この独特のルックスが気になるのだろう。逆スラントのギラギラとしたメッキグリルに、2つずつ縦に並んだ角型4灯ヘッドライト、角ばったフォルムに力強い足元、なつかしい感じのするリアなど、1980年代のアメリカンSUVを意識した姿は、とにかくインパクト満点! コンセプトである「アメリカンビンテージ」感が巧く表現されている。


「相棒」を意味する『Buddy(バディ)』というネーミングのセンスもなかなかのものだ。その人の物語にそっと寄り添い、そばにいてくれる相棒であってほしいという思いが込められているのだが、バディという語感の響きもこのクルマの雰囲気によく似合っている。ついでにいうと、全18色(!)もが用意されたボディカラーのネーミングのセンスもなかなか面白い。

外観に合ったシートが秀逸

これまで数々のオリジナルカーを送り出してきた光岡にとっても、バディは初のSUVとなる。この企画を実現するための適任となるベース車探しに苦労していたところ、ちょうどよいタイミングで、もともと角ばった形のトヨタ『RAV4』が出てきたのも幸運だったという。

もうずいぶん前のことだが、光岡のデザイナーの青木孝憲氏とは、『オロチ』のときにじっくり話を聞く機会があった。まさに「奇才」と呼ぶべき人物だ。大手の自動車メーカーではなく光岡だからこそ青木氏も、その才能をいかんなく発揮できているに違いない。


インテリアは基本的にRAV4を踏襲していて、オプションで専用のシートとドアトリムが選べるほかは、ステアリングホイールエンブレムぐらいしか変わっていないと聞いていたので、そのあたりは大差がないのではと思っていたところ、意外やそれだけで雰囲気がけっこう変わっていたことに驚いた。

とくにシートが秀逸で、アメリカンヴィンテージな外観によく似合っている。もともとRAV4のインテリアがちょっと武骨なデザインであることも好都合だったと言えそう。レザーシート&トリムセットの価格は43万7800円と安くはないが、付けるか付けないかでは大違いだと思う。

軽やかに乗れて乗り心地も快適

その特別感のあるシートに収まると、運転席からの景色がRAV4とは別物で、ボンネットの両端まで見わたせることも印象的だ。いざドライブすると、当たり前ながらRAV4と同じく普通に軽やかに乗れて乗り心地も快適だ。このクルマで走りを云々いうのは野暮な話だが、厳密にいうとRAV4から前後のオーバーハングが重くなっているので、いくぶん動きがゆったりした感じになっている。今回ドライブしたガソリンの2WDだけでなく、RAV4に準じて4WDやハイブリッドだって自由に選ぶことができることも、念のためお伝えしておこう。


バディの各部をまじまじと見るにつけ、このパーツはどうやって調達したのかなど、そちらに気が向いてしまうタチなのだが、機会があればそのあたりもぜひ詳しく聞いてみたいところ。凝った造形のグリルをはじめ、ボンネットやテールゲートなど大がかりな部品も専用に起こしていて、しかも聞いたところでは少量生産向けのFRPではなく、大量生産でないとなかなか使うことのできないABS樹脂やPP(ポリプロピレン)を採用したと聞いて非常に驚いた。むろん光岡はそのあたり豊富なノウハウを持っているのはいうまでもないだろうが、いずれにしても相当な手間がかかっていることには違いなさそうだ。

仲間や家族も乗せられるよき相棒

こうしたテイストのクルマが好きでも、ホンモノのアメリカンヴィンテージを手に入れるのはなかなか勇気が必要。その点、RAV4がベースのバディならとっつきやすいところがよい。ボディサイズも手ごろで、全長がRAV4より長くなったといっても4730mmにとどまり、全幅が1865mmで全高が1685~1890mmというのもほぼ変わりはない。そして見た目は80年代でも中身は令和。トラブルの不安もなく、燃費もよく、快適装備や先進安全装備も充実しているのもありがたい。


また、これまで光岡のオリジナルカーはパーソナルユース向けのものが多かったが、初のSUVであるバディなら、仲間や家族を乗せていっしょに出かけられるのもありがたい。まさしく人生の良きバディ=相棒になってくれること請け合いだ。

帰路に思わぬ出会いが…

そんなバディを最初に目にしたときから、このクルマのモチーフはシボレー『ブレイザー K-5』に違いないと思っていたところ、なんと帰路に立ち寄ったパーキングエリアで、87年式の縦目のK-5にお目にかかることができた! それもこの印象的なカラーの個体だ。そこでオーナー氏にお願いして記念撮影。どちらも本当に印象的な顔立ち。それにしても大きさがぜんぜん違う…。

シボレー ブレイザーK-5(左)と光岡 バディ(右)
バディは限定販売ではなく、2021年は60台、2022年以降は年間150台の生産が予定されている。すでに注文が殺到していて、しかもアメリカンヴィンテージを当時ナマで見ていないはずの30代の若い人が多いと聞いて驚いたのだが、とにかくバディは本稿を執筆した2021年6月末の時点で注文した場合に生産が2年後になってしまう。少しでも早く手に入れてバディとともに人生の物語を紡ぎたい人は、早めにアクションを起こしたほうが賢明と言えそう。

とにかく、こんなクルマが世に現れたことを大いに歓迎したい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

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