【VW ゴルフ 新型試乗】待ち人、期待を裏切らず…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【VW ゴルフ 新型試乗】待ち人、期待を裏切らず…中村孝仁

VW『ゴルフ』の最新モデルが発表されたのは2019年10月。それからほとんど2年近くがたってようやく日本市場への導入が始まった。

自動車 試乗記
VW ゴルフ 新型(eTSI アクティブ)
  • VW ゴルフ 新型(eTSI アクティブ)
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  • VW ゴルフ 新型(eTSI アクティブ)
  • トーションビームのリアサスペンション
  • VW ゴルフ 新型(eTSI アクティブ)
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VW『ゴルフ』の最新モデルが発表されたのは2019年10月。それからほとんど2年近くがたってようやく日本市場への導入が始まった。

何故発表から2年も待たされたのか?インポーターに言わせると「それほどの遅れではない」とのこと。しかし、過去を振り返ってみればおおよそ本国発表から8か月後くらいには導入されているから、本国発表から1年9か月後の導入はやはり遅いと言わざるを得ない。果たして何がそれほどまでに遅れた原因なのかはわからないが「待ち人来たらず」ではなく来たのだから良しとしたい。それにこの待ち人、やはり期待を裏切らなかった。

日本市場では(これまで)やってこなかったゴルフに対してあれやこれやと憶測が飛び交い、中にはネガな情報もあってそうした刷り込みを受けてしまったものだから、本当に期待して良いものやら、新車を見て乗るまである種の不安が個人的には付きまとっていたのだが、実際に触れてみてさすがはゴルフだわ…と改めて感心した。

作り分けとコストダウン


とりあえず日本市場に導入されたモデルは1リットル3気筒ターボのベルトドリブンISGを装着したeTSIと、同じ構造の1.5リットル版の2種。どちらも二つのグレードが用意されるから合計4モデルだ。このうち今回試乗したのはベーシックな1リットル版の豪華仕様モデル「eTSI アクティブ」。車両本体価格は312万5000円。これにオプション47万3000円が乗るから、合計は359万8000円となる。

しかし、つい先日試乗した日産『ノートX-Four』だってほぼこの価格だったから、あちらは4WD、こちらはFWDという差はあるにせよ、今時のCセグメントとしては十分に納得の価格である。

それにしても今回のVW、色々と作り分けてきている。まず先代と比べてきっちりと手を抜いた部分。それはボンネットである。7代目ではダンパーで支えられていたボンネットは、今回から手で持ち上げて支持棒を手動で出すタイプに格下げされた。それにボンネット裏の塗装も省かれている。まあ、こんなところは見ないからこれでコストダウンが出来るならやって頂いて結構といえるところである。

トーションビームのリアサスペンション
次に足回り。これは上級の1.5リットルと1リットルで差別化されていて、上級モデルはリアに4リンクの独立懸架を採用しているのに対し、1リットル版はトーションビームにされている。また、フロントサブフレームも1.5リットルはアルミを奢っているのに対し、1リットル版はスチールとなる。ではこの作り分けで乗り味に差が出ているかといえば、正直なところ…無い。それどころか1リットル版の乗り味はズバリ1.5リットル版に勝るとも劣らない。

組み合わされるトランスミッションはどちらも7速DSG。先代のベースモデルである1.2リットルのモデルは乾式の7速DSGだったが、どうやら今回も同様なものが採用されているようだ。ISGの採用によって発進時はモーターの助けを借りているからか、従来気になった発進時の迷いは全くない。まるで湿式に改められたかと思うほどスムーズであった。

ユーザーの多くが気にするであろう部分は、果たして1リットル3気筒のパフォーマンスが十分かということではないかと思う。個人的には十分であると思えた。特に停止から70~80km/h程度までの加速は正直、1.5リットル車と大きな差を感じない。一方で高速での追い越しなどでそれ以上のスピード域を使いたい場合の加速感はやはり1.5リットルと比べて見劣りする。

やはりゴルフがVWの生命線

骨格はゴルフ7時代のMQBから新たにMQB evoに進化した。具体的にどこがどのように変わったのかは定かではない。ただ、ゴルフ6からゴルフ7に進化した時も静粛性が際立って向上したことは理解したが、今回の場合は乗り味でフラット感を増したと感じる違いがある。

因みにタイヤはグッドイヤー・エフィシェントグリップ。フラット感が強く1.5リットルより常用スピードではより快適と感じられたのはこのタイヤの恩恵かもしれない。1.5リットル版は同じグッドイヤーながら高性能のイーグルが採用されていたし、サイズも1インチ大きな17インチだった。

印象が大きく変わったのはインテリアだ。屋根付きのメータークラスターからナビやインフォテイメントを司るセンターのディスプレイがほぼ繋がっていて、ブラックアウトすると全体が本当に真っ黒に変わる。このあたりは一気に電気の時代に変わったと印象付ける部分である。


そう言えばシフトレバーも小さなレバーと押しボタンスイッチに変更された。一旦Dレンジに入れたら後は使わないのだが、リバースへのシフトはあまり使い良くはなかった。

総じて、新しいゴルフは非常に良くできていると思う。ある意味では今流行りのSUV系よりも遥かに力を入れて作った印象が強く、やはりゴルフがVWの生命線なのだと強く感じさせた。外観の印象を全くといって良いほど変えず、中身で勝負の姿勢がありありと出ている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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