今もっともホットなカーエレクトロニクスアイテムの1つであるドライブレコーダー。注目度が高いがゆえに、毎月のように各社から新製品がリリースされている。さて、その中からマイベストを選び出すにはどのような点に着目すれば良いのだろうか。
当記事では、そこのところを徹底的に解説していく。
ドライブレコーダーのタイプ解説

「カーナビ連携型」と「スタンドアローン型」の2つがある!?
最初に、ドライブレコーダーにはタイプ違いがあることを解説していく。なお分類の仕方はさまざまあるが、まずは大きく、「カーナビ連携型」と「スタンドアローン型」、この2つに分けられる。
「カーナビ連携型」とは、その名のとおりナビと連携するもののことを指す。基本的に同一メーカーの対象ナビと組み合わせて使うことが前提となる。なおドラレコはナビと連携すると使いやすさが伸長する。初期設定等を車内でナビ画面を見ながら行えて、映像の確認もしやすい。
対して「スタンドアローン型」とは、ナビとは連携しない汎用タイプのことを指す。こちらのメリットはずばり、「選択肢が幅広いこと」。機能・性能を比較して厳選しようと思ったら、「スタンドアローン型」に注目しよう。
形状違いも3タイプがある!
形状違いでも分類できる。大きくは以下の3タイプがある。「一体型」「分離型」「ミラー型」、以上だ。
「一体型」とは、カメラとレコーダーが一体化しているもののことを指す。ちなみに「スタンドアローン型」にはこのタイプが多い。対して「分離型」とは、カメラとレコーダーが別体となっているものを指す。そうであるとカメラが小型化されるので、よりすっきりとした取り付けが可能となる。
そしてもう1つの「ミラー型」とは、ルームミラーがモニターとなるタイプのことを指す。インテリアにすんなりとなじませたいと思ったら、当タイプがアドバンテージを発揮する。
カメラの数、撮影範囲にも注目!
あとはカメラの数と撮影範囲で、「1カメラタイプ」、「前後2カメラタイプ」、そして「360度タイプ」、以上の3つに分類できる。
なお昨今はあおり運転対策の観点でもドライブレコーダーは注目を集めているので、後方も撮影可能な「前後2カメラタイプ」、もしくは「360度タイプ」が人気となっている。
ちなみに「360度タイプ」とは、その名が示すとおり全周囲を撮影できるもののことを指す。そして実は、これにも「1カメラタイプ」と「2カメラタイプ」とがある。1カメラだと前方、側方、さらには車内および後方の撮影が可能となるわけだが、「2カメラタイプ」であるとクルマの後方をより詳細に撮影できる。
対してコストを抑えようと思ったら、通常の「1カメラタイプ」が向いている。
ポイント解説その1 画質に関連した性能について

まずは“画素数”を確認。言い方がいろいろあるので注意!
続いては、機能について解説していく。まずは画質に関連した項目を見ていこう。
画質に関連したスペックの中で最初にチェックすべきは“画素数”だ。なお“画素数”の表現の仕方はさまざまある。言葉で言うとき、数式で言うとき、数字で表すとき、この3パターンが存在している。
ちなみに「フルハイビジョン」であれば概ね最高クラスだと思って良い(ただしそれ以上に高画質なモデルも一部ある)。そしてこれは「フルHD」と表記されることもあり、さらには「1920×1080画素」と数式で表されることもある。そしてこれを計算して「200万画素」と表現されることもある。これらはすべて同一スペックだ。
で、これよりも1ランク画質が落ちるのが「ハイビジョン」だ。これは「HD」、「1280×720画素」とも表現される。
また、レンズの明るさを示す数値である「F値(数字が小さいほど明るい)」や、レンズから入った光を電気信号に変換する半導体である「イメージセンサー」の性能も、画質の良さに影響する。
視野角のチェックもお忘れなく!
「視野角」もチェックしたいポイントの1つだ。ちなみに「水平画角」は100度以上が1つの目安となるのだが、最近のモデルはこの値以上のスペックを有している場合がほとんどだ。
なお「水平画角」と合わせて上下の画角の広さを表す「垂直画角」もチェックしたい。これが広いと高い位置にある信号機の撮影についても不安がなくなる。さらには上下左右の対角線の画角を表す「対角画角」が示されている場合も多い。
それぞれ数値が大きいほど見える範囲が広がるわけだが、広くなるにつれて“ゆがみ”も大きくなる。そのあたりは好みで選ぼう。
明暗差が大きい場面でもキレイに撮れると安心!
画質に関連した機能としてはもう1つ、「HDR」もしくは「WDR」の搭載の有無もチェックしたい。
で、「HDR」とは「ハイ・ダイナミック・レンジ」の略で「WDRとは「ワイド・ダイナミック・レンジ」の略であるのだが、言い方が違っているだけで機能としては同一だ。これらが搭載されていると明暗差が大きい場面でも鮮明に撮影でき、さらには急に暗くなるとき、急に明るくなるときでもキレイに映せる。
例えば屋根付きの駐車場で日光が差し込んでいる部分とそうではない部分との明暗差が大きかったりするときに、明るい部分は白トビせず暗い部分は黒ツブレせずに映せる。また、トンネルに入った瞬間や出た瞬間等でも、しっかりと映像を残せる。
「フレームレート(fps)」も確認すべき!?
もう1つ、スペックの中で気にしたい項目がある。それは「フレームレート(fps)」だ。これはすなわち1秒間に何コマ撮影できるかを表す数値で、数字が大きいほどより滑らかな映像描写が可能となる。なお数値が「10」以下のように少ないと、特に車速が出ているときに必要なシーンを撮り漏らすことも有り得るので注意したい。
なのだが、この数値を気にするべきポイントは他にもある。この数値次第では信号機が消灯した状態で映ってしまうこともあるのだ。そうなるメカニズムは以下のとおりだ。
信号機の多くはLEDなのだが、LEDは実は点滅を繰り返している(西日本では1秒間に60回、東日本では50回。交流電源の周波数に応じて異なる。2倍の回数の点滅もある)。で、「fps」が「30」または「25」であるとLEDの点滅とシンクロし消えた状態で映ってしまうこともある、というわけなのだ。
各社のカタログを見ると、信号機の点滅とシンクロしないことを説明している項目があったりする。そうであれば安心だ。
ポイント解説その2 その他の性能について

「GPS」と「Gセンサー」の搭載は当たり前!?
続いては、画質関連以外の性能と機能について解説していく。まずチェックしておきたいのは、「GPS」と「Gセンサー」の搭載の有無だ。
ちなみにドライブレコーダーが注目され始めた数年前は、この2つはハイグレードモデルにしか搭載されていなかったが、今では“基本機能”と言って良いほど採用が広がっている。
なお「GPS」が搭載されていると、撮影映像に位置情報も記録される。万が一の事故のとき、それがどこで起きたものなのかもしっかりと残せる。
また「Gセンサー」が搭載されていると、衝撃を検知しての映像保存が可能となり、さらには「駐車録画機能」にも活かされる。
「駐車録画機能」が備わっているとさらに安心!
「駐車録画機能」の有る無しも、ドライブレコーダー選びの指針の1つと成り得る。ところで当機能にはタイプ違いがいくつかある。駐車時の様子を常に長時間撮影するタイプ、衝撃を検知したときに録画を開始するタイプ、動体検知により録画を開始するタイプ、これらがある。
なお、万が一のトラブルの撮影漏れがないのは常時録画タイプだ。しかし、電源確保の面でハードルが上がる。別売パーツが必要になったりバッテリーへの負荷も掛かりがちだ。そしてメモリーの容量も食う。対して衝撃を検知するタイプでは衝撃が小さなトラブルは録画されない場合があり、動体検知タイプではトラブルでないものを映すことも少なからずある(例えばコンビニの駐車場で風に揺れたノボリに反応する等)。それぞれ一長一短があるので、そのあたりは好みで選びたい。
ドライブサポート機能も拡充中!
また最近は、ドライブレコーダーの基本機能である録画以外の機能が搭載されているモデルが増えている。
どのような機能なのかというと、その筆頭はずばり「ドライブサポート機能」だ。例えば、車線を逸脱したときにそれを教えてくれたり、前方のクルマとの車間が詰まったときに警告してくれたり、信号が変わって前車が発進したときそれを教えてくれたりもする。さらには事故多発地点で警告を出したり、オービスの位置をアナウンスしてくれるモデルもある。
ただし、このような機能が搭載されることにより価格が上がる場合も少なくない。予算も鑑みながら選考しよう。
ドライブレコーダー おすすめ10選
ケンウッド・DRV-CW560

当機は、ドライブレコーダーを多種多様にラインナップするケンウッドの360度タイプの上位機種。映像は、スマートフォンで確認できる。
上位モデルだけあって各スペックが高い。画素数は業界最高水準の2160×2160を誇り、高性能なCMOSセンサーも搭載しているので夜間や暗いシーンでの撮影にも強い。その上「WDR」もしっかり搭載。明暗差の大きな局面でもクリアな映像を残せる。レンズの「F値」もトップクラスの1.8。
駐車監視録画機能は、衝撃検知と動体検知の両方に対応。動体検知は360度反応する。microSDカードの書き込みエラーが起きにくい「メンテナンスフリー」機能も搭載する。
ケンウッド・DRV-MR760

こちらは、ケンウッドの前後2カメラタイプの最新モデル。新しいがゆえに便利機能も多々搭載されている。まず注目すべきは「音声コマンド機能」。すぐに撮影を開始したいとき、静止画を撮りたいとき、フロントとリアの画面を切り替えたいときにそれぞれを音声で操作できる。
また、急な前方への割り込み、前方車両の蛇行、後方車両の急接近等を認識し、そのことをドライバーに知らせるとともに自動で録画を開始する機能も搭載している。
画質が高いことも特長。以下前後2カメラともに、画素数は1920×1080を確保。レンズの「F値」は1.8。「HDR」機能も搭載する。
カロッツェリア・VREC-DZ700DLC

当機は、カロッツェリアの前後2カメラドライブレコーダーの最上位モデル。主な特長は以下のとおり。まず、画質が高い。前後カメラともにフルHD画質が確保されている。そして画角が広いことも自慢。前方カメラは水平130度・垂直68度、後方カメラは水平112度・垂直58度。
また、夜間走行や暗い駐車場でもはっきりと映し出す「ナイトサイト」にも対応している(高性能なCMOSセンサーを採用しこれを実現)。さらに前後カメラとも、「WDR」機能も搭載している。
「駐車監視機能」も充実。内蔵バッテリーと車両のバッテリーの両方を活用し、24時間354日、衝撃検知による撮影を行える。
カロッツェリア・VREC-DZ600C

こちらはカロッツェリアの1カメラタイプの最上位機種。主な特長は2カメラタイプの『VREC-DZ700DLC』とほぼ同様。高性能なCMOSセンサーを搭載し、暗い場所でもしっかり撮影できる「ナイトサイト」に対応している。また急な明るさの変化に強みを発揮する画像補正機能「WDR」も積む。画質もフルHDを実現。
広視野角であることも利点だ。水平画角は130度、垂直画角は68度を誇る。「駐車監視機能」も搭載。24時間365日、衝撃検知による駐車時撮影が可能だ。
また、本体にモニターを付属しているが、Wi-Fiモジュールも搭載しているのでスマホでも映像を確認できる(映像の保存も可能)。
コムテック・HDR360GW

当機はドライブレコーダーやレーザー/レーダー探知機等、カーエレクトロニクスアイテムを多々擁するコムテックの、前後2カメラドライブレコーダーの上位機種。なおフロントカメラ(インカメラ)は360度タイプだ。
各スペックも優秀。フロントカメラは340万画素、リアカメラは200万画素を有している。そして広視野角。垂直方向は180度以上あるので、多くの360度カメラでは映りにくかった信号機もしっかり撮影。
また全国のLED信号機に対応し、地デジやナビへの影響を抑えたノイズ対策もしっかり施されている。事故に遭った際に見舞金として2万円が受け取れる補償サービスも付いている。
コムテック・HDR963GW

こちらは、コムテックの通常の前後2カメラタイプの上位機種。前後カメラともに200万画素のフルHD仕様となっている。視野角の広さも特長で、フロント/リアともに水平136度、垂直70度の画角を確保。さらには「HDR」機能も搭載している。
「駐車監視機能」もハイスペック(オプション)。最大12時間映像の記録を続ける(車両のバッテリー電圧が規定量より下がると自動で動作がオフになるバッテリー保護機能も搭載)。
運転サポート機能も備える。先行車が発進したことを教えてくれたり、先行車との車間が詰まったことも警告してくれる。さらには車線逸脱、急加減速、急ハンドルもそれぞれ検出し警告する。
セルスター・CS-360FH

当機は360度タイプ。なお当モデルは1つの本体に装着された前後の2カメラがそれぞれ180度の画角を有し、結果、360度撮影を可能に。1カメラで全周囲を撮影する場合と比べて、映像のゆがみが少ない。
暗いシーンの撮影が得意なことも自慢だ。高性能なCMOSセンサーを採用しそれを実現。「HDR」も装備する。画質はフルHD。車内側のカメラには赤外線LEDが搭載されていて夜間でも鮮明に映し出せる。
「GPS」は「みちびき」「グロナス」「ガリレオ」にも対応。また「スーパーキャパシタ」が搭載されているので、事故時に電源ケーブルが外れても映像を正常に保存するまで動作し続ける。
セルスター・CS-71FW

こちらは1カメラタイプで、リア用として使うことが想定されたモデル。ゆえに、スモークガラスに対応する機能も有する。無線LANを搭載していることも利点。後方を撮影した映像を車内でスマホで確認でき、映像のダウンロードも行える。
なお、オプションの別体カメラを活用すれば前後2カメラドラレコとしても使える。別体カメラもスモークガラスに対応する。本体カメラ、別体カメラともに高性能なCMOSセンサーを搭載し暗いシーンでもしっかり撮影。「HDR」も採用し、明暗差にも強い。
そして当機は、走行中に後車が接近するとそれを危険と判断して警告音を発するとともにイベント録画を開始する機能も積む。
アルパイン・DMR-M01R

当機はスタイリッシュなミラー型ドライブレコーダー(ドライブレコーダーを搭載しないデジタルミラーもラインナップ)。本体とカメラが別体となっているので、カメラが至ってコンパクト。そしてモニターサイズは11・1型と大画面。
画質も高い。前後ともにフルHD画質が備えられ、高性能なCMOSセンサーも搭載しているので夜間撮影もそつなくこなす。さらには「HDR」も装備し、明暗差の大きな局面でも明るいところは白トビせず暗いところは黒ツブレすることなく撮影可能。
視野角も広い。フロントカメラは水平137度・垂直73度、リアカメラは水平113度・垂直60度のスペックを誇る。車種専用モデルもある。
アルパイン・DVR-C310R

アルパインは自社のカーナビと連携するモデルも用意しつつ、前後2カメラのスタンドアローンタイプもラインナップしている。当機がそれ。
スペックはなかなかに優秀。フロントカメラはフルHD画質が確保されていて、画角も広い。フロントカメラが水平112度・垂直59度、リアカメラが水平101度・垂直74度。録画した映像は、専用アプリをダウンロードしたスマホでもパソコンでも見られる。
「駐車監視録画」も可能。停めている間も常に監視を続け(録画は行わない)、衝撃や動くモノを検知すると、その前の約10秒とその後の約10秒間の映像を別ファイルで保存する。
まとめ
ところでドライブレコーダーは、厳しい環境下で仕事をこなすこととなる。特に熱の影響をもろに受ける。ゆえに、耐熱性が確保されたモデルを選びたい。なお、信頼できるブランドの製品であればそこのところには抜かりはないが、一部リーズナブルであることを特長とする無名ブランドの製品の中には、耐熱性能が低いものもあるのでご注意を。
また、SDカードの耐熱性や耐久性にも気を配りたい。本体は正常に動いていてもメモリーカードの不具合で録画がされていなかった、なんてことも起こり得る。ドラレコでは、常にデータが上書き保存されるのでメモリーカードも酷使されがちだ。ある程度長い期間使用したら、高耐久性のものと交換すると安心だ。
さて、ドライブレコーダーは今や必需品となりつつある。もしも搭載がまだならば、当記事を参考の上、購入の検討をぜひに。
太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。