音に関する“豆知識”講座、開講! 第2回「位相」について | Push on! Mycar-life

音に関する“豆知識”講座、開講! 第2回「位相」について

オーディオシステムの実力を高めようとするときに知っていると役に立つ、“音の豆知識”を紹介している。今回はその2回目として、音にまつわる専門用語の中でも特に難解なワードの1つ、「位相」について解説していく。

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ビーウィズ・デモカー。
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オーディオシステムの実力を高めようとするときに知っていると役に立つ、“音の豆知識”を紹介している。今回はその2回目として、音にまつわる専門用語の中でも特に難解なワードの1つ、「位相」について解説していく。

「位相が合うか合わないか」は、音の出所が2か所以上になったときに問題となる!?

さて、「位相」とは何なのかというと…。

簡単に言うならば以下のとおりだ。「位相」とは「音波の動き」のことを指す。前回も説明したとおり、音は空気中を上下動を繰り返しながら進んでいく。水面を伝う波紋のように、一旦せり上がり、そこから下ってさらに本来の水面の高さを通り越して潜り込み、また本来の水面の高さまで戻ってくる。この上下運動のことが「位相」だとイメージしてほしい。

で、カーオーディオで問題となるのは「位相が合うか合わないか」。ちなみに、もしもスピーカーがフルレンジタイプでしかもセンターに1つしかない場合には、「位相が合うか合わないか」という問題は発生しない。音の出所が1つであるので、合うも合わないもあり得ない。しかし、音の出所が2か所以上になりそれぞれから同じ音が放たれるとき、「位相が合うか合わないか」が問題となってくる。

まず“左右”の関係においての「位相」について説明しよう。ところで「ステレオ」とは、音楽を左右の2chに分けて録音しそれを左右のスピーカーで再生することで音楽を立体的に再現しようとする再生技術だ。で、左右に分けて録音するとは言っても、右chの音と左chの音がまったくの別物かというと、実はそうではない。各楽器ごとで、左右の比率が異なっているだけだ(中には左右のどちらかにしか録音されていない音も有り得る)。例えば、センターにいるべきボーカルは左右比率が「5:5」となっていて、例えばエレキギターはそれが「7:3」であったり、エレキベースは「3:7」であったりする。

ツイーターとミッドウーファー間でも「位相が合うか合わないか」が問題となる…。

このように左右のスピーカーからは、比率が同じだったり異なっていたりしながらも、同じ楽器の音が出てくる。そうであるときに「位相が合うか合わないか」が問題となる。例えば左のスピーカーから放たれるエレキギターの音と右のスピーカーから放たれるエレキギターの音の「音波のタイミング」がバシッと一致していないと、その音の輪郭がぼやけてしまったりする。

具体的に解説しよう。右のスピーカーから放たれるギターの音の音波は0度のところを起点としているのに、左のスピーカーから放たれる音波は180度のところを起点としていたら、これはいわゆる「逆相」の状態だ。その音を聴くと、ギターの音の実在感が希薄になる。

このような現象は、左右それぞれのツイーターとミッドウーファー間でも起こり得る。ツイーターとミッドウーファーも、それぞれからまったく異なった音が出ているのかというと、そうではない。クロスポイント付近の音は、ツイーターからもミッドウーファーからも発せられている(音が重なり合っている)。ゆえに「位相が合うか合わないか」が問題となってくる。

例えばクロスポイントが5kHzだったとして、その付近のシンバルの音の音波のタイミングが、ツイーターからは0度のところを起点として発せられているのに、ミッドウーファーからは180度のところを起点として発せられていたとしたら、ツイーターから出てくるシンバルの音とミッドウーファーから出てくるシンバルの音が、上手く一体化しない。

「タイムアライメント」や「クロスオーバー」調整で「位相のズレ」を正す!

さて、「位相が合っていない」状態を解消するにはどうすればいいのだろうか。まずは左右の「位相のズレ」を正す方法から説明していこう。左右が「逆相」の関係になっているとしたら、その主たる原因は「スピーカーケーブルの接続ミス」だ。右のスピーカーはプラスとマイナスが正しく接続されているのに、左のスピーカーではそれが逆になっていたら「位相」は反転する。その場合は接続を正せば問題は解消される。

なおカーオーディオでは、リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ってしまうことによっても「位相のズレ」は発生する。右chの音と左chの音の到達タイミングがズレてしまうからだ。これを正すには「タイムアライメント」が役に立つ。各スピーカーの発音タイミングをコントロールできるので、「音波の到達タイミング」を整えられる。

ツイーターとミッドウーファー間の「位相合わせ」についても、「タイムアライメント」が効力を発揮する。音の到達タイミングを揃えることでズレを解消できたりもするからだ。ただし、ツイーターとミッドウーファー間の「位相」は、「クロスオーバー」の設定によっても変化し得る。「スロープ」を変えることで「位相」が回るからだ(DSPの中にはスロープを変えても「位相」が回らない機種もある)。そうであったら「スロープ」を変えるなどして「位相」を合わせる必要が出てくる。

とにもかくにも、「位相が合っているか否か」は、音の聴こえ方に大きく影響する。サウンドチューニングを行うプロたちは、そこのところに十分に注意を払いながらそれを実行する、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回も音に関する“豆知識”の解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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