レイズのトップブランド“ボルクレーシング”の進化を辿る | Push on! Mycar-life

レイズのトップブランド“ボルクレーシング”の進化を辿る

レイズのトップブランドとして君臨するボルクレーシング。レースシーン直系のハイスペックに加え、先進のデザイン性を兼ね備えたモデル群はホイールに性能とデザイン性を求めるユーザーから絶大な信頼を受ける。今回はボルクレーシングの魅力について取材した。

自動車 ニュース
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レイズのトップブランド“ボルクレーシング”の進化を辿る
  • レイズのトップブランド“ボルクレーシング”の進化を辿る
  • 執行役員 ボルクレーシング企画開発課 プロデューサー 山口 浩司さんにボルクレーシングの歴史やホイールの進化を語っていただいた
  • 「VMF」シリーズは、鍛造の常識を覆す複雑で流麗な形状が特徴。山口さんのこだわりがつまったデザインだ
  • ”箱車”の国内最高峰の選手権「SUPER GT」の現場でも、レイズのホイールは多くのレーシングチームに採用されている(23号車:MOTUL AUTECH GT-R)
  • RAYS RW-LM1 MF19
  • RAYS RW-LM1 MF19
  • RAYS RW-GT500 AF20
  • RAYS RW-GT500 AF20

レイズのトップブランドとして君臨するボルクレーシング。レースシーン直系のハイスペックに加え、先進のデザイン性を兼ね備えたモデル群はホイールに性能とデザイン性を求めるユーザーから絶大な信頼を受ける。今回はボルクレーシングの魅力について取材した。

スーパーGTやWECへの供給で培う
ハイパフォーマンスホイールの世界

スーパーGTやWECをはじめ数多くのレーシングマシンにホイールを供給するレイズ。そんなレースシーンで培った数々の技術を市販モデルへとフィードバックしているのも同社の特徴だ。中でもトップブランドとなるボルクレーシングには数々の最新テクノロジーが込められている。そんな開発の経緯やリアルレーシングモデルからフィードバックされた製法など、ホイール選びの注目ポイントになる気になる情報を取材した。

ボルクレーシング企画開発部部長 モータースポーツDIV.リーダー 山口浩司氏

インタビューをお願いしたのは、執行役員 ボルクレーシング企画開発課 プロデューサー 山口浩司さん。37年にわたってボルクレーシングの開発に携わる同ブランドのキーマンであり、レースシーンでも知らぬものがいないビッグネーム。ホイール製造技術の最先端を常にリードしてきた人物だ。

取材当日、同社の会議室に集められたのは「RW-LM1 MF19」「RW-GT500 AF20」「RW-GT3 AF18」と呼ばれる現役バリバリのレース用ホイール。WEC、スーパーGT、GT3で用いられる本物がズラリと目の前に並び取材陣もテンションアップ。実際にホイールを持ち上げては「軽い!」と驚きの声を上げてしまった。さらに細部を見るとスポーク裏やリム内側などの各所にエグリ加工が施され、次々に「スゴい」「カッコいい」を連発する圧倒的な存在感だった。

RAYS RW-LM1 MF19

レースホイールの登場で一気にホイールの魅力に引き込まれた我々。ここからはこれらの最新技術が市販モデルへフィードバックされている点を取材することになった。これまでも常にレース用ホイールを開発・製造し続けてきたレイズ。歴代のボルクレーシングのホイールには多くの最新技術が詰め込まれている。ユーザーが手にできるレース用ホイール由来の最高峰の技術に触れていくことにしよう。

軽量・高剛性な鍛造工法の採用に加え
デザイン性に優れた設計を進化させる

ボルクレーシングの軽量、高剛性を支えているのはレース用ホイールで用いられてきた鍛造工法の採用が根幹のポイントだ。ご存じの通り金型を使って加圧によって形状を作り出す鍛造工法は軽量、高剛性、品質の安定性など多くの面でメリットある工法だ。

RAYS RW-GT3 AF18

同社では1985年に初の自社製鍛造ホイールを世に送り出している。当時のコンセプトは「高性能を身近にする」。つまりコストが掛かるが高性能な鍛造工法をレース用や一部の高級ホイール向けに限定するのでは無く、市販モデルとして一般ユーザーが広く手にすることができるホイールにすることが狙いでもあった。その思いは35年経った今でも変わることは無い。

鍛造工法にこだわってきた同ブランドだが、もうひとつの特徴はレース向けのホイールも市販モデルも同じ工場・同じ工法で作られるという点。最新技術を確実に市販モデルへとフィードバックすることができるのも自社工場を持ち、最先端の技術を自社で持っているからこそなのだ。「レース用のホイールだけが“特別だ”とか“偉い”とは思っていません」と語る山口さん。その思いがボルクレーシングのホイールに通底するスピリッツだ。

ボルクレーシング企画開発部部長 モータースポーツDIV.リーダー 山口浩司氏

スペック的には優れた面が多い鍛造だが、一方ではデザイン面の制約があるのは事実だ。工法上、滑らかなラインや逆アールなどの表現は苦手。しかし同社では鍛造によるホイールのデザイン性を上げる技術開発にも力を入れている。新しい時代の鍛造ホイールを感じさせる「VERSUS MODE FORGED C-01」はひとつの到達点だ。ヒネリを加えたスポークや躍動的なアールを持つフォルムなど、従来の鍛造ホイールを超えた存在になっているのは確実だ。

F1ホイールの開発から生まれたマシニング
軽量化からデザイン処理にまで用途を広げる

レースシーンからストリートモデルへとフィードバックされたもうひとつの先端技術がマシニングだ。鍛造の金型技術では自信があった同社だったが、2004年~2005年にF1マシンのホイールを開発していた中で、鍛造の金型技術のレベルアップだけではカバーしきれない部分があり、それをマシニングを使うことで補うことにする。すぐさま製造の現場には最新鋭の5軸マシニング機が導入され新たな技術をホイールに注ぎ込むことになった。鍛造の金型技術に加え、マシニングというもうひとつの武器を手にしたレイズ、さらにハイレベル&ハイスペックな鍛造ホイールが生み出される新スタートとなった。

VOLK RACING G025 20インチモデル

現在ではボルクレーシングの多くのモデルにはマシニングを使った加工が施され、肉抜き加工をはじめとした軽量化というスペック追求はもとより、デザイン面のアクセントとして強い印象を残す技術へと進化している。この技術もレースシーンでギリギリの性能を追い求める中から生まれたものがルーツだった。

その他にも、レース用ホイールでは当たり前だが、市販モデルでは贅沢な仕様がボルクレーシングでは当たり前のように用いられている。そのひとつがフェイスデザインだ。インセットに合わせてフェイスを変えることですべてのサイズで狙った強度を引き出し、振れの無い強固な形状を作ることができる。従来見られるフェイス面は同形状で筒状のパーツでオフセット量を調整するという手法を採らないのも同ブランドのこだわり。

VOLK RACING G025 20インチモデル

また応力分散や強度に優れた形状の追求も同社が得意とするところ。ボルクレーシングの「G025」に用いられている2×5スポークの構造なども応力分散に優れた形状のひとつ。レースシーンでは9本スポークのモデルも、2018年シーズンよりGT300クラス(※一部GT-3マシン)に投入。タイヤから受ける力を無理なくホイールに伝える構造として同社が次に注目しているデザインだ。出尽くしているかのように見えるホイールデザインだが今も毎年のように進化を続けているのだ。

RAYS RW-GT500 AF20

これらの開発を支えているひとつの要因は解析力のアップだという。応力のかかる方向などを詳細に解析できる現在では、ギリギリの形状にトライできる。従来の設計では常識外れだったデザインも解析の結果現実的だとわかるケースもある。極限のスペックを望むレース用ホイールにはこんな開発が常に行われているのだ。そしてその技術はすぐさま市販モデルへとフィードバックされる。

今回はハイスペックなボルクレーシングの魅力について紹介してきたが、デザイン面での魅力も数多い同ブランド。次回はREDOTやマシニング処理など、デザイン性を高めた技術と最新モデルについて紹介して行くこととしよう。

《取材協力:レイズエンジニアリング》

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《土田康弘》

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