ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part14 プロセッサー関連編 lll | Push on! Mycar-life

ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part14 プロセッサー関連編 lll

とかく専門用語が登場しがちなカーオーディオ。それら用語が難解なためにこれに馴染めない…、という方々に向けて「用語解説」を展開している。第14回目となる当回では、前回に引き続き「プロセッサー」に関連したワードをピックアップして紹介していく。

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クロスオーバーの設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。

とかく専門用語が登場しがちなカーオーディオ。それら用語が難解なためにこれに馴染めない…、という方々に向けて「用語解説」を展開している。第14回目となる当回では、前回に引き続き「プロセッサー」に関連したワードをピックアップして紹介していく。

音楽信号の“帯域分割”を行う機能、それが「クロスオーバー」!

今回は、「プロセッサー」に搭載されている機能の1つである「クロスオーバー」について解説していく。なお「クロスオーバー」は、前回に紹介した3タイプの「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)」に搭載されている基本機能の1つなのだが、一般的なメインユニットにも搭載されている場合も少なくない。というのも、もしも「サブウーファー出力」という機能が搭載されていれば、これに「クロスオーバー」も併せて搭載されていることが結構多い。つまり、専門性が高い機能かというと、実は案外そうでもないのだ。

さて、その「クロスオーバー」とはどのような機能なのかというと、ひと言でいうならば以下のとおりだ。「音楽信号の“帯域分割”を行う機能」である。例えば、「サブウーファー出力」とセットになった「クロスオーバー」機能では以下のようなことが行える。音楽信号を、フロントスピーカー用の音と、サブウーファー用の超低音とに分割できる。こうして超低音だけを「サブウーファー」へと出力する、というわけだ。

ちなみに以前、「パッシブクロスオーバーネットワーク」について解説した。おさらいすると、これはスピーカーに付属しているパーツで、音楽信号を「ツイーター」用の高音と「ミッドウーファー」用の中低音とに分割するためのメカだった。

で、今回ここで解説する「プロセッサー」に搭載されている「クロスオーバー」は、「パッシブクロスオーバーネットワーク」に対しては「アクティブ・クロスオーバー」と呼ばれている。両者の違いは、「“帯域分割”をパワーアンプの後段で行うか前段で行うか」だ。“パッシブ”という言葉はここでは“後ろで”という意味を持ち“アクティブ”という言葉は“前で”という意味を持っている。というわけで、「クロスオーバー」にはこのように2タイプがあるということも、この機会に改めて頭に入れておこう。

信号の“帯域分割”を行うその境目のことは、「クロスポイント」と呼ばれている!

ではここからは、「アクティブ・クロスオーバー」で音楽信号の“帯域分割”を実行しようとするときに登場するワードの解説を行っていく。なお今回は、「サブウーファー出力」に併せて搭載されている「クロスオーバー」機能を例に取って説明していく。

まず、重要なワードの1つ目として、「クロスポイント」を取り上げたい。これはズバリ、「“帯域分割”させる境目の周波数」のことを指す。例えば、「クロスポイント」が80Hzに設定されたとすれば、「フロントスピーカー」には80Hzよりも上の音が、「サブウーファー」には80Hzよりも下の音が送られることとなる、とイメージしてほしい。

なお、これと同義の用語も存在している。それは「カットオフ周波数」だ。これも「クロスポイント」と同様に、帯域分割させるその境目の周波数を指す言葉だ。ただ、「クロスポイント」とは少々ニュアンスが異なっている。「クロスポイント」の方は、「両者の境目」という意味合いの言葉だが、「カットオフ周波数」の方は、「それぞれにとってのカットライン」というニュアンスが強い。

例えばこの用語は、「フロントスピーカーのカットオフ周波数は80Hz」というような使われ方をする。つまりこの説明を言い替えると、「フロントスピーカーに送り込まれる音楽信号は、80Hzより下側がカットされる」という意味となる。「サブウーファー」側がどうなっているか、という内容は含まれないのだ。

「クロスポイント」と「カットオフ周波数」が、別の値になることも!?

ちなみに言うと実際の設定においては、「フロントスピーカー」の「カットオフ周波数」と「サブウーファー」の「カットオフ周波数」とは、それぞれ別の値になることも有り得る。例えば、フロントスピーカーの「カットオフ周波数」が80Hzで、サブウーファーのそれが60Hz、というような設定になることもあるのだ。

なお、「サブウーファー」と「フロントスピーカー」間の「クロスオーバー」設定においては、「クロスポイント」と「カットオフ周波数」が一致することの方が多い。しかし「ツイーター」と「ミッドウーファー」間の「クロスオーバー」設定においては、それが一致しないことも少なくない。「フロントスピーカー」間での「クロスオーバー」調整はそれほど複雑、というわけなのだ。

そして、「クロスオーバー」の設定を行うときにはもう1つ、「スロープ」というワードも登場する。この言葉自体の意味は「傾斜」とか「斜面」だが、チューニング時には以下のような意味となる。「帯域分割させるときの“減衰率”」だ。

というのも実は、「クロスオーバー」の設定では「ここから下をばっさりカットする」というようなことは行われない。そうではなく、「ここから下を緩やかに減衰させる」というようなやり方で“帯域分割”が実行されるのだ。

例えばフロントスピーカーの「カットオフ周波数」を80Hzに設定したとする。そして「スロープ」をマイナス12dB/oct(マイナス12ディービーオクト)に設定したとする。こうした場合には、「80Hzより下の周波数の音が、1オクターブ下がるごとに12dBずつ下がっていく」という“減衰率”となる。なお、dBとは音圧の単位(デシベル)であり、octはオクターブを意味している。

今回はここまでとさせていただく。次回も「プロセッサー」に関連したワードの解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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