【ルノー カングー 新型試乗】日本で愛され続ける理由は「質を追求した機能性」にある…南陽一浩 | Push on! Mycar-life

【ルノー カングー 新型試乗】日本で愛され続ける理由は「質を追求した機能性」にある…南陽一浩

◆カングーが日本でロングランを続ける理由 ◆手に馴染む包丁やツールのように ◆「質を追求した機能性」は走りにも

自動車 試乗記
ルノー カングー
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カングーが日本でロングランを続ける理由

輸入車が、威張りが効くとかリッチに見えるとか高性能であるといったステイタス性ではなく、ライフスタイルや身の丈に合った実用性で選ばれる時代になって、フランス車のシェアは伸び続けている。中でも長年、日本でベストセラー・モデルとして君臨するのが、ルノー『カングー』だ。

カングーは本国ではおもに小型ユーティリティ・ビークル、つまり商用車として広く使われているクルマで、郵便局の配達バンとしても走っているが、水道管や電気設備や内装や建築関連の職人、あるいはパティスリーやチーズに生花、惣菜といった商店など、男女を問わず自営業者や個人商店の営業バンとして使われているパターンが多い。


適度に丸みを帯びた柔らかな外観で、「デキる」とか「クール」な印象より、親しみやすい愛されキャラに徹しているのも、そうした事情だろう。それでいて、バンとして実務的であるだけでなく、使い心地のよさにまでこだわる、そんなうるさ型のフランス的プロ・ユースで磨かれた機能性が、カングーというクルマの成り立ちだ。

また元より豊富なボディカラーのバリエーションに加え、カングーの魅力をより引き立てる様々な限定モデルが絶え間なく登場し続けるのもカングーならでは。直近でも、フランスの自然、建築、花や時代背景など様々なテーマからそれを象徴するカラーを選び、カングーとして初採用のボディカラーで表現した限定車「クルール」、そしてフランスの様々な特徴のある地方の風景を切り取り、その風景を適切なカラーで表現した限定車「ペイザージュ」と、異なる趣きの2台をリリースしており、常に話題に事欠かないのだ。これも日本でロングラン・モデルであり続ける理由だろう。

手に馴染む包丁やツールのように


でもカングーの実力はそれだけではない。フランスのプロ・ユースでは使い心地よさにまでこだわると述べたが、カングーのよさは手に馴染む包丁やツールのように、使えば即、体感できるものだ。

例えばダブルバックドアは、フロアが低めでほぼ正方形の縦横比をもつ荷室開口部に、観音開きのドアが備わっているだけではない。上開きのハッチゲートとの違いは、狭いスペースでも荷物の出し入れをしやすいのに加え、積み降ろしする本人が足場を動かさなくていいところだ。

加えて左右バックドアは90度から先、ロックを手で押さえて外すことで180度にまでパカーンと開くため、キャンプ・アイテムのように大きく長い積み荷を積み降ろしする際に、動線の自由度が高い。


後席へのアクセスも、左右両側ともスライドドアであるため、子供の乗り降りは無論、かさ張る荷物を数人の手で両側から引き込んだりするのも、やりやすい。もちろんリアシートは6:4分割可倒式なので、トランクを含めた荷室容量は荷物のカタチや運ぶ人数に応じて、変えられる。トノカバーも上下2段、高さ調整が可能だ。

ちなみにリアシートは3名分がそれぞれ独立していて、乗員の快適性に差をつけない点も、じつにフランスらしい。「小さい子が狭い席でガマンする」ロジックでは、弱いものを包み込むとか平等といった概念が守られないし、そんな矛盾を子供に突かれでもしたら冗談ではなく、乗せる側、つまり大人の立場がなくなってしまう。また後席の頭上に備わる3連式オーバーヘッドボックスも、手袋やニットキャップのような、外に出る前に身に着けたい小物を収納するのに最適だ。


もうひとつ、内装で用意周到に造り込まれていると思わせるのは、前方可倒式の助手席だ。フルフラットにしようと思ったら2列目リアシートがそうなるのは当然だが、助手席の座面が前方の足元スペースにスライドし、その「跡地」へシートバックとヘッドレストが「フル前屈」するというトランスフォーマーぶりなのだ。かくして6:4分割のリアシートと同様、凹凸のないフラットさで助手席が畳めて、3m以上の長さをもつ水平なスペースが生まれる。

おそらく世に、カングー以上の荷室容量や積載容量を備えたワンボックスやミニバンは存在しなくはない。でも4.3mに満たない全長に、これだけ高効率で使いやすい収納スペースを生み出しているクルマは、ちょっと例がない。ちなみに積載量を増やすための純正オプションも豊富に用意されており、撮影車の装着しているルーフバスケットラックは約50kgもの最大積載量をもつヘビーデューティ仕様だったりする。商用車オリジンの本格的な機能性が、モノをいう辺りだ。

「質を追求した機能性」は走りにも


量ではなく、「質を追求した機能性」はラゲッジスペース以外にも看て取れる。そもそも、走る・曲がる・止まるというクルマとして基本的な機能に妥協がない。一人で乗っている時にも、荷物や乗員をたっぷりのせている時にも、ドライブフィールが大きく変化するような、ブレや不安定さがないのだ。

高速道路では、継ぎ目を柔らかくいなす乗り心地の優しさを感じる。一方で街中やワインディングでは、適度にキビキビしてくれるハンドリングをも備えている。ルノー独自のツインクラッチ6速ATであるEDCは繋がりのスムーズさもダイレクト感も絶妙で、115ps・190Nmという1.2リットルターボは数値以上にずっと活発だ。より活発に走らせたいのなら本国では多数派の6速MTも選べる点が、カングーのコアなフランス車らしさでもある。


また4WDでこそないが、泥や砂利道などの悪路でボタンを押すだけで、駆動力を最適化制御するエクステンデッドグリップ機能も備わる。いわば目に見えてそのまま使える機能ばかりだが、逆にいえば今どきのクルマにしては珍しく、ブラックボックス化した部分がない。直観的に頼りにできる、そうしたツールとしての頼もしさを備えた一台なのだ。

だからこそ、キャンプをはじめアウトドアを楽しむ人々からカングーは厚い支持を得ている。年一度、全国のカングー・オーナーが集まるアウトドア・イベントである「カングー・ジャンボリー」は、1700台以上ものカングーが集結し、来場者はなんと5000人を超える規模にまで成長した。それだけ広く大きな、オーナー同士が繋がれるコミュニティを持つクルマでもある。

ルノー カングー ペイザージュ
そしてこの春は、限定車のカングー・ペイザージュの新色として、コルシカ島最南端の街ボニファシオの、地中海に面した断崖絶壁の乳白色をイメージしたアイヴォリーが登場する。2月6日から販売が開始された、草原から摘んできたような自然な装いと、爽やかなアロマが特徴の「シャンペトルブーケ」と呼ばれるフランスのブーケスタイルをイメージした爽やかなグリーンが特徴の限定車カングー・クルールと合わせて、春色のカングーたちが新しいオーナーとの出会いを待っている。

これを機会に、2月29日~3月1日の週末に全国のルノー・ディーラーでは、カングーアウトドアフェアが開催される。

お洒落だから素敵という目的論というより、満たされるから自然と人も生活も輝くという、じつは結果論的なフレンチ生活観。そんなカングーの世界を覗くだけでなく、直に触れてみる絶好の機会として、足を運んでみたい。

ルノー カングー クルール

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南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

《南陽一浩》

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