【三菱 エクリプスクロス ディーゼル 新型試乗】ようやく「武器」を手に入れた…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【三菱 エクリプスクロス ディーゼル 新型試乗】ようやく「武器」を手に入れた…中村孝仁

昨年ガソリン仕様の『エクリプスクロス』に試乗した時、エクリプスクロスが売りとする強力な武器があるかというと、その点は少々希薄な印象も受けた、と書いた。

自動車 試乗記
三菱 エクリプスクロス ディーゼル
  • 三菱 エクリプスクロス ディーゼル
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昨年ガソリン仕様の『エクリプスクロス』に試乗した時、エクリプスクロスが売りとする強力な武器があるかというと、その点は少々希薄な印象も受けた、と書いた。

その武器の一つがディーゼルだと話しておいたら、早速ディーゼル搭載のエクリプスクロスがデビューした。搭載されるエンジンは『デリカD:5』と同じコードネーム4N14の2.2リットルターボディーゼル。145ps、380Nmというパフォーマンスも全く同じだが、ギア比は変化を持たせているという。

今回このディーゼル搭載車を1週間お借りした。正直言ってこの長い期間エクリプスクロスをお借りするのは初めてだったので、あれやこれやと色々いじってみた。

明確に「武器」を持った


いじる前にガソリン車と何が違うかと言うと、ディーゼルには4WDの設定しかないことが挙げられる。理由は不明だが、出来れば2WDの設定も欲しかったという無いものねだりが頭をもたげた。もう一つの違いはガソリン車が疑似8速の操作が可能なCVTと組み合わされているのに対し、ディーゼルは8速ステップATとの組み合わせであること。これは後述するがだいぶ走りに影響を与えている。

今回お借りしたグレードは最上級の「Gプラスパッケージ」と呼ばれるもので、そのお値段税込みで340万3080円。同じグレードのガソリン車が310万7160円だから、その差29万5920円。マツダのディーゼルもガソリン車と比較した時同じような価格差だから、まあ許容の範囲内。ただ輸入ディーゼル車は戦略的にその差を抑えて価格設定されているため、30万近い価格差は少し大きいとも思える。


前述したトランスミッションが与える走りの差だが、CVTも相当によくできた印象を持ったが、やはりステップATに乗ってしまうとアクセルに対する反応がリニアで気持ちいい。これはデリカD:5でも感じられた滑らかさである。数値的なパフォーマンスに関してはライバルのディーゼルと比べるとだいぶ低めの設定となっているが、実際に使ってみると常用域ではほとんど性能差は感じられない。

一旦走り出してしまえば全く気にならないエンジンノイズだが、さすがにガソリン車の高い静粛性には勝てず、僅かなハミングが常に聞こえてくる。とはいえ、不快な微振動は皆無だし強力なトルクを考えれば、やはり個人的にはディーゼルを搭載したエクリプスクロスが明確に武器を持った印象が強い。

より大人なクルマに仕上がっている印象である


Gプラスパッケージにはセンターコンソールにタッチパネルが装備される。まるでスマホをコンソールに置いたような形状だが、画面ではなくタッチパッドの黒い表面。指でなぞってオーディオコントロールや、USBでつないだナビのコントロールも出来る。昨年試乗した時はアップルのナビしか使えず、これは困ると思っていたら1年たってヤフーカーナビまで使えるようになっているので、最早これで十分。このグレードなら敢えてカーナビを装備する必要は感じられなくなった。

室内のフレキシビリティーも高い。とにかくリアシートが前後に200mmも動いてくれるし、リクライニングだって9段階もついている。大型のホームセンターに行ってあれやこれや買い物をしてみたが、使い勝手は良い。リアシートを使った状態だと448リットルの最大荷室容量だそうだが、それより遥かに大きく感じられる。

車両重量はガソリン車と比較して130kgほど重くなっているのだが、このうち100kgがフロント軸重で重くなっており、やはりフロントの負荷はかなりガソリン車と比べて重い。ガソリン車ではクィックで溌剌とした動きを持っていたのが、だいぶマイルドに変化している。

ただし、デリカやアウトランダーのように典型的オフロード車風のステアリングレスポンスではなく、中心付近の曖昧さもなく微小な転舵にもちゃんと応答する正確さを持っているから、重くなった車重分の影響か乗り味もしっとり落ちつたものになって、性格的にはより大人なクルマに仕上がっている印象である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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