【ベントレー ミュルザンヌスピード 新型試乗】スポーツ精神も忘れないフォーマルカー…島崎七生人 | Push on! Mycar-life

【ベントレー ミュルザンヌスピード 新型試乗】スポーツ精神も忘れないフォーマルカー…島崎七生人

◆最上級フォーマルセダンの佇まい ◆現代の高級車とは一線を画す仕立て ◆スポーツ精神に根ざしたベントレーらしい走り

自動車 試乗記
ベントレー ミュルザンヌ スピード
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最上級フォーマルセダンの佇まい

1919年の創設以来、今年7月で100周年を迎えるベントレー。『ミュルザンヌ』は言わずもがなの目下のフラッグシップモデルだ。車名はルマン24時間レースで知られるサルト・サーキットのコーナーに由来。それまでの『アルナージ』に代わり2009年に登場した。

現行モデルは2016年にフェイスリフトを受けたもので、縦ルーバーのフロントグリルや、下側で高さを揃えた片側大小一対のランプなどはこの時から。全長×全幅×全高は5575×1925×1530mm、ホイールベースは3270mmと、とにかく堂々たるもので、車両重量は2770kgある。

レポーター自身、実生活では言うに及ばず、試乗でベントレーに触れるチャンスなど年に1度あるかないか。従って革シートに染め色が色移りしないよう、普段愛用の“511”をベージュの綿パン(紺の綿パンは色移りの可能性があると綿パンについていたタグに注意書きがあったために却下)に履き替えて試乗会場に赴く。

まさしくといった都心のホテルの車寄せに停められたGlacier Whiteの『ミュルザンヌ』は、躯体こそ確かに豊かで堂々たるものだが、改めて眺めてみると“淑やかな”と表現したくなる最上級フォーマルセダンの佇まいに、すっと気持ちが引き込まれるような、そんな雰囲気がある。

現代の高級車とは一線を画す仕立て


繋ぎ目のほとんど目立たないボディ外板は手作業のロウ付けによるもので(フロントフェンダーなどにはスーパーフォーミングも用いられている)、そもそもホワイトボディ全体は5800箇所におよぶ溶接を熟練溶接士が行なっているのだそう。そう聞くと重々しさが一段と増して感じられるというものだ。

インテリアも、あまた存在する現代のほかの高級車とは一線を画する。全体の製造工程は400時間といい、一方でインテリアの製作には150時間以上が費やされるという。確かに木目パネルやクロームの各種パーツ類の艶、質感はまさに本物感があるし、後席のテーブルひとつとっても、今どきならダンパーに頼るところだが、磨き込まれた厚手の木のテーブルは、リンクとヒンジ部の締め具合でクッと引き起こして展開する。しなやかでしっとりとした風合いの本革シートは降りたくなくなる座り心地だ。

運転席まわりは物理スイッチが多数並ぶが、時代には流されず、涼しい顔でそうしている風。ただしインパネ中央には『コンチネンタルGT』にも採用された、回転させてスクリーン/アナログメーター/ウッドパネルに切り替わるギミックも搭載する。

スポーツ精神に根ざしたベントレーらしい走り


何をおいても、一般的な黒塗りのハイヤーのルーフが見渡せるアイポイントは『ミュルザンヌ』の特徴で、大柄だがこの視界の“高さ”のおかげで、運転操作も気持ちも常に余裕をもって行なえる。ドアガラスをよく見るとラミネートされているのを発見するが、走行中の“静けさ”も特徴的だ。

とはいえまったく音がしない訳ではなく、おそらくはデフ類の小さなうなり音や、6 3/4リットル(6752cc)V8ツインターボ(537ps/1100Nm)が発するメカニカル音がしっかりと感じられるのは、昔ながらの自動車の味わいが実感できる部分。

今回の試乗はエンジンをアイドリング+程度にハミングさせながら都心を流す程度だったが、22インチタイヤながら乗り味がしなやかなのは魔法のようで、走行モードを切り替えれば“やさしく”も“しっかり”も異なる乗り味が味わえた。とはいえ、どのモードでもステアリングフィールはしっかりとしたもので、アクセル操作に対するエンジンの反応も、優しくともキレ味のいいもの。

単なるフォーマルカーではなく、オーナーが運転席に座っても意のままの走りを楽しませてくれる点は、スポーツの精神に根ざしたベントレーらしいところだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

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