【日産 デイズ 新型試乗】軽自動車づくりにようやく重い腰を上げた…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【日産 デイズ 新型試乗】軽自動車づくりにようやく重い腰を上げた…中村孝仁

◆デイズとデイズハイウェイスターの違いは
◆大きな進化は運転支援メカニズムの充実
◆軽自動車の枠を一歩踏み超えた

自動車 試乗記
日産 デイズ 新型(ハイウェイスター ターボ)
  • 日産 デイズ 新型(ハイウェイスター ターボ)
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デイズとデイズハイウェイスターの違いは

「今回の開発は完全に日産が主導して行いました」そう語ってくれたのは日産自動車パワートレイン技術開発本部、トランスミッションプロジェクトグループ主担の小山良浩氏だ。

NMKVという、三菱と日産によるジョイントベンチャーの会社が設立されたのは、2011年。そこから両メーカーが発売する軽自動車の開発が共同でスタートしたのだが、初の産物となった先代のモデルは三菱が主導して開発し、三菱の水島製作所で生産が行われた。しかし2代目となった今回のモデルに関しては、少なくとも設計開発に関しては、完全に日産が行い、生産を従来通り三菱の水島製作所で行うというもの。NMKVの役割は軽自動車の企画とプロジェクトマネージメントだけで、実際の開発は今回に関しては日産が行ったというわけである。

三菱には『eKクロス』という独特なデザインのモデルがある。日産の場合このeKクロスに当たるのが『デイズハイウェイスター』となるわけだが、こちらも確かにグリルだけが異なる以外に大きな違いはないものの、eKクロスの場合はルーフレールが付くなど、より個性的というか、ベースとなる『ekワゴン』に対して鮮明な差別化を施しているのに対し、デイズとデイズハイウェイスターではあまり顕著で鮮明な差別化は行われていない。

というわけなので、デイズはデイズハイウェイスターの廉価版的な位置づけとなっている印象が強い。事実、ハイウェイスターの方は例えばターンシグナルを埋め込んだサイドミラーが付いていたり、本革巻きのステアリングが装備されていたりするが、ノーマルデイズは普通のサイドミラーにウレタン巻きステアリングになるなど、装備の簡略化が目に付く。

大きな進化は運転支援メカニズムの充実


今回試乗したのはハイウェイスターのターボ仕様。BR-06SM21インタークーラーターボと名付けられたエンジンを搭載する。このエンジン、ルノーが開発したBR-08というエンジンを基に、日産が新設計したもので、先代と比較して若干ながらトルクを増大させている。ターボ車に関していえば、自主規制のような64ps枠があってどのメーカーも一様に右へ倣えだから、パフォーマンスの差がなく、ドライバビリティーに関してもさほど大きな違いがあるとは思えない。

やはり今回のモデルの大きな進化は、その質感の向上とプロパイロットをはじめとする運転支援メカニズムの充実だろう。

ご存知の通り、プロパイロットはオランダに本社があるモービルアイ製のADAS技術を用いたもの。本社はオランダでもその技術はイスラエルの軍事技術が元になっているといわれる高度な技術で、本来は高価なもののはず。それが上級モデルに装備されるものと同じ仕様で軽自動車にまで装備されるようになったのだから、オプション設定ではあるものの、本来は装備したい技術である。実際今回も使ってみたが、デビュー当初のプロパイロットから大きく進化していて、特にブレーキのタイミングや車間の取り方、認識率の高さなどは大きく向上している。

軽自動車の枠を一歩踏み超えた


先代デイズに対するユーザーからの不満は3つ。加速性能と荷室の使い勝手、それに小物入れなど室内側の使い勝手にあったという。今回のモデルチェンジではこれらの解消が主要なポイント。結果として「すべてを備えた新生 日産軽」と説明でも大書きするほど日産を主張していた。つまりようやく日産が軽自動車作りに本腰を入れたというわけである。

その甲斐あってか、その作りは軽自動車の枠を一歩踏み超えた印象が強い。そもそも、今回はホイールベースを65mm延長して2495mmとしたが、これをライバルと比較してみるとホンダ『N-ワゴン』にはまだ及ばないものの、ダイハツ『ムーブ』やスズキ『ワゴンR』よりは長くなった。と言うか、これでスタートラインに立ったともいえ、後席の足元の広さなどは印象的である。

そしてエンジンパワーはともかくとして、荷室スペースや小物収容能力などは一歩先んじた感がある。何よりもインパネ、シートなどの上質感は、後発だけにライバルを確実に凌駕した印象だ。

今回試乗したのは2WDモデル。実は4WDモデルと2WDモデルではリアの足の構造が違う。2WDがトーションビームを採用しているのに対し、4WDはトルクアーム式3リンク。どうもこの足の違いが乗り心地にも影響を与えているようで、シンプルな構造でフリクションの少ないトーションビームの方がブッシュ類のフリクションが出易いのか、3リンク式よりも良い印象がある。因みにどちらもダンパーやスプリングなどは同じものが使われているという。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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