【シトロエン C4スペースツアラー 試乗】とりあえず、名前が変わっただけ?…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【シトロエン C4スペースツアラー 試乗】とりあえず、名前が変わっただけ?…中村孝仁

◆ラインアップはC4スペースツアラーとC3のみ
◆プジョーとシトロエン、基本コンセプトの違い
◆ゆりかごのようなクルマに合ったディーゼル

自動車 試乗記
シトロエン C4スペースツアラー
  • シトロエン C4スペースツアラー
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新しい、シトロエン『グランドC4スペースツアラー』をお借りして試乗した。「名前以外は変わっていません」とのことだったが、とりあえずホームページを覗いてみようと思ったら、そこには衝撃的事実が広がっていた。

ラインアップはC4スペースツアラーとC3のみ

何と現行シトロエン(日本)では、このグランドC4スペースツアラーと、『C3』の2車系しか販売されていないではないか!。ということはグランドの付かない『C4』の2列シート版はなくなったということか。そもそも古いけど、基になったC4は?『カクタス』は?等々、あっと驚いてしまったわけである。

確かに本国でのラインナップでも、新しいのはC4カクタスと、まさしく変わったばかりの『ベルランゴ』ぐらいで、『C5』の後継車はまだ出てきていないし、古くなったC4だって早晩モデルチェンジのはずだから、まさに今は端境期の状況なのだろう。それともついに『ベルランゴ』導入か?

そんな状況下で、従来の『C4ピカソ』が『スペースツアラー』と名を変えた。本国というか、ヨーロッパでの発表は昨年3月のジュネーブショーでのこと。ただし、あちら版は単に名前を変えただけでなく、プジョー『3008』と同じく、トランスミッションがアイシンAW製の6速から8速へと変更されている。で日本のものは?と思って聞いてみたが、「6速のままです」との答え。つまり、とりあえず名前だけ変えましたということなのである。

プジョーとシトロエン、基本コンセプトの違い

試乗はプジョー『3008』からこれに乗り換えて行った。だから、ほぼ同じセグメントの方やSUV、此方ミニバンみたいな違いが鮮明にわかり、同時にプジョーというブランドとシトロエンというブランドの基本コンセプトにも大きな違いがあることも理解できた。

PSAが出来た頃、プジョーはシトロエンをプジョー化しようとしたのではないかと思えるほど、同化させた。多くのモデルはセグメントが同じだと、骨格まで同じになり、両者の差別化はかなり難しく、しかもあろうことかその乗り味まで似せて、下手するといずれ日産とプリンスの関係?のような状況になるのかと、心配してしまった。今思えば日産だってプリンスというブランドを残し、独自性を持たせていたらもっと違った方向性が見いだせたのではないか?なんて「タラれば」で思う。

話が余計な方向に行ってしまったが、名前を変えたグランドC4スペースツアラーは、まあ僕にとっては一種のゆりかごのような存在であった。自動車に乗っているというよりもゆりかごである。止まっていても、ドライバーズシートから上を眺めると、巨大なパノラミックウィンドーが、ちゃんと綺麗な青空を見せてくれるし、その直後から始まる大型のグラスルーフも含めれば、思わずシートを倒して寛ぎたい衝動に駆られる。クルマに乗りながら、そうしてのんびりと空を眺めたいなどと思うクルマは、このスペースツアラー以外には考えられない。

ゆりかごのようなクルマに合ったディーゼル

エンジンは基本的にはDW10と呼ばれるかなり年季の入ったディーゼルエンジンで、3008と比較してパフォーマンスが低いのは、同じDW10でもプジョーがDW10FCと呼ばれるユニットに対し、こちらはDW10FDという、マイルドな仕様のエンジンだから。このため、瞬発性という点ではDW10FCを積むプジョー3008と比べると劣るものの、そもそもゆりかごのように感じるこのクルマにその性能は必要ないと感じる。

運動性能に関しては以前と変わらずで、同化政策の反動からか、最近のシトロエンは皆、かつてのシトロエンらしさを取り戻していて、金属バネを使ってはいるものの、その乗り味はふわっとした柔らかさを感じさせ、至極快適、そしてパッセンジャーに対する優しさを感じさせる。

無いものねだりをしても仕方ないが、現状は1グレード。お値段380万円だが、多少高くなっても電動アジャストシートとシートヒーターは欲しいと思った。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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