【トヨタ ハイラックス 新型試乗】「プロ仕様」だから売れる、サイズ忘れる乗り心地にも驚き | Push on! Mycar-life

【トヨタ ハイラックス 新型試乗】「プロ仕様」だから売れる、サイズ忘れる乗り心地にも驚き

◆本格SUVの需要はまだまだある ◆ハイラックスの悪路走破性を試す ◆「トラック」であることを忘れる乗り心地

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トヨタ ハイラックス 特別仕様車ブラックラリーエディション
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本格SUVの需要はまだまだある

トヨタのピックアップトラック『ハイラックス』は、世界約180か国・地域で販売され、累計販売台数は1870万台、年間販売台数は50万台にも及ぶグローバルカーだ。世界市場においてトヨタブランドを象徴するモデルの一つと言ってもいいだろう。

その一方で、国内販売は2004年にいったん終了。しかし約9000台の従来モデルオーナーからは復活を望む声が絶えず、トヨタ社内でも何度か復活の機運が盛り上がっていたという。そして2017年9月、13年ぶりに国内で復活したのが現行の8代目だ。ハイラックスは世界の6工場で生産されているが、日本仕様はその中で最大規模のタイ工場製になる。

販売目標は初年度2000台でスタートしたが、ふたを開ければ月販500台ほどで推移し、発売から1年余りで約7000台を販売。農業や林業などのワークユースとしてだけでなく、都市部のユーザーや、20代や30代の若い層にも支持されているという。

ちなみに2014年に1年の期間限定で販売された“ナナマル”こと『ランドクルーザー70』も計画台数2000台のところ、最終的に7000台(うちピックアップタイプは500台)を販売したというから、こうした本格SUVの需要はまだまだ確実にあるということだろう。昨年12月にはハイラックス誕生50周年を記念した特別仕様車「ブラックラリーエディション」も発売されている。

ハイラックスの悪路走破性を試す


そんなハイラックスに愛知県豊田市の「さなげアドベンチャーフィールド」で試乗する機会が与えられた。都市型のSUVが世の主流になりつつある昨今だが、頑強なラダーフレームやパートタイム4WDを備えたクロカンSUVならではの悪路走破性をぜひ体感して欲しいということだろう。

特別仕様車も含めて、基本的なスペックは2017年発売時と変わっていない。日本仕様はリアドアを備えたダブルキャブ仕様のみで、最高出力150ps、最大トルク400Nmを発揮する2.4リットルディーゼルターボエンジン「2GD-FTV」と6速ATを搭載する。

試乗コースは森の中の急斜面を巡る林道がメイン。インパネのダイアルで4L(4WDのローギアモード)を選択し、マニュアルモードのS2(1速もしくは2速を使用)で走り出す。これだけで、歩いて登るのも大変な勾配25度の悪路を涼しい顔で登っていくし、片輪が空転し始める急坂モーグル路でも、ブレーキ制御によるLSD効果を利用した「アクティブトラクションコントロール」で接地しているタイヤにトルクを分配し、車重2090kgのボディを軽々と前進させる。

同じコースをリアデフをロックした状態でも走ってみたが(この場合、ハイラックスではアクティブトラクションコントロールがオフになる)、アクティブトラクションコントロールを使って走った時の方が比較的イージーにクリアすることが可能で、その有効性をあらためて実感できた。

また、この日は海外仕様車も何台か用意されており、そのうち日本には導入されていない6MT車も試乗してみた。運転感覚が6AT車と大きく変わるわけではないが、「自分で操っている感」が濃厚に味わえるのは6MT車の方。国内にも導入すべきとまでは言わないが、運転がより楽しいのは確かだ。

さらに、パリ・ダカールラリーにランクル70や200などで6度参戦したプロドライバーの寺田昌弘氏によるデモ走行も見学。大きな岩が露出した20度の岩石直登路を下回りをまったく打たず、デフロックモードでグイグイ登り切るところにハイラックスの潜在能力を見た気がした。

「トラック」であることを忘れる乗り心地


また、短時間ながら特別仕様車のブラックラリーエディションにも一般道で試乗してみた。上級グレード「Z」をベースに、専用フロントバンパーやグリルのほか、ブラック塗装の18インチホイール(タイヤはホワイトレター入り)やオーバーフェンダーを備えたもので、なかなかカッコいい。さらに販売店オプションでTRDのカスタマイズパーツ、例えば荷台に装着する樹脂製ハードトノカバーやキャノピーなどを装着すれば、いかにもアクティブな外観に仕立てることができる。

フロアや着座位置が高く、アシストグリップを使わないと乗り込めないのがいかにも本格SUVだが、内装質感やドライビングポジションは乗用車的。走りだしてしばらくはディーゼルエンジンの音が意識されたが、それも30分もしないうちに気にならなくなった。リアサスペンションはリーフリジッドだが、乗り心地は申し分ない。最大積載量500kgの「トラック」であることなど、すっかり忘れてしまう。

それでもボディサイズは全長5335mm(特別仕様車は5320mm)、全幅1855mm、ホイールベース3085mmと長大で、最小回転半径は6.4mもある。2回目以降は毎年車検の1ナンバー登録という点も含めて、日本では決して万人向けのモデルではない。しかし実際には見切りの良さも手伝ってか、意外にも運転自体はとてもしやすかった。

「プロ仕様である」ということ

操縦安定性についても、ステアリング操作に対する反応が若干スローなことを除けば、ラダーフレームのパートタイム4WD車としては最上の部類。トルクフルなエンジンを低回転でユルユル回して走る分には、不満らしき不満はない。そのあたりがランクル70などの古典的本格SUVとは、当たり前だが、大きく違う点だ。

また、安全面でもミリ波レーダーと単眼カメラを使った歩行者検知機能付のプリクラッシュセーフティを標準装備するなど、現代的になっている(レーダークルーズコントロールは未装備)。車線逸脱を警告するレーンディパーチャーアラートが少々敏感で、頻繁にピーピー鳴るところは現行モデルならではの愛嬌だ。

念願の国内復活がかない、販売も予想以上に順調だというハイラックス。その要因について、CV製品企画チーフエンジニアの小西良樹氏は「やはりプロ仕様であること、だと思います」と語る。プロ仕様が至上命題である開発陣と、プロ仕様が欲しい国内ユーザーの思惑が美しく一致して生まれたクルマ、それが現行ハイラックス日本仕様だと感じた。

《丹羽圭@DAYS》

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