【アウディ A7スポーツバック 新型試乗】4WSと可変ステアの組み合わせは、国産勢も見直すべき…丸山誠 | Push on! Mycar-life

【アウディ A7スポーツバック 新型試乗】4WSと可変ステアの組み合わせは、国産勢も見直すべき…丸山誠

試乗したのはローンチ限定車となる『A7スポーツバック 55TFSI クワトロ Sライン ファーストエディション』。通常の「55TFSI クワトロ Sライン」は1066万円だが、同ファーストエディションは1161万円と100万円ほど高いプライスだ。

自動車 試乗記
アウディ A7スポーツバック 新型
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試乗したのはローンチ限定車となる『A7スポーツバック 55TFSI クワトロ Sライン ファーストエディション』。通常の「55TFSI クワトロ Sライン」は1066万円だが、同ファーストエディションは1161万円と100万円ほど高いプライスだ。

ノーマルとのエクステリアの違いは、20インチの5ツインスポークデザインのアルミホイールを標準装備している点。インテリアではフルレザーのダッシュボードやバング&オルフセン3Dサウンドシステムを標準化。機能面では通常はオプションのドライビングパッケージ(ダンピングコントロールサスペンション、ダイナミックオールホイールステアリング、ダイナミックステアリング)やドライビングアシスタンス機能などが標準装備になっている。

4ドアクーペは、スタイリングが命


7年ぶりにフルチェンジされたプレミアム4ドアクーペのA7は、美しいスタイリングだ。長いグレード名と出力別に与えられる55というネーミングの数字にまだ慣れないが、クーペらしいすっきりとしたデザインに仕上げられている。特に斜め後方から見ると、その美しさが際立つ。世界的に流行する4ドアクーペの流れをメルセデス・ベンツの『CLS』とともにけん引してきた1台といっていい。

こうした4ドアクーペは、スタイリングが命といってもいいだろう。この2代目A7は、アウディの最新デザイン言語に基づいて作り上げられている。新世代のデザイン言語は2014年に発表されたコンセプトカー『アウディ プロローグ』が示したもので、シャープなエッジと張りのある大きな面で構成されているのが特徴だ。

アウディの特徴でもあるフロントのシングルフレームグリルは、ワイドかつシャープなデザインに仕上げられているため、前側から見ても新世代のモデルであることを実感する。

意外にスポーツ性が高いパワーユニット


搭載するのは3リットルのV6直噴エンジンでアトキンソンサイクル(アウディはBサイクルと呼ぶ)を採用。ツインスクロールターボも装備する。同時に発表された新型A8と同様の最新エンジンで48V電装シスムを採用したマイルドハイブリッド。アクセルを踏み込むとパワーがすぐに立ち上がる感じでレスポンスがいい。アトキンソンサイクルにターボを組み合わせているためレスポンスのが気になっていたが、エコエンジンというより意外にスポーツ性が高いユニットだ。

スポーツモードを選ぶとさらにレスポンスがアップし、高回転まできれいに吹き上がる。7速DCTのSトロニックが瞬時にギヤを切り替えるため、鋭い加速が連続するためスポーティ感も十分。パワーは高回転域まで詰まっているし雑味がない感じもいいが、少し残念なのはビート感というかもう少し味わい深い感じを演出してほしい。BMWやメルセデスベンツは最新の直6エンジンで、それぞれのブランドらしい味わいを演出しているが、この最新ユニットにはアウディの主張というものが感じられないのが残念だ。

「20インチ」をどう受け取るか


前述したように55TFSI クワトロ Sライン ファーストエディションは20インチのアルミホイールを装備し、標準仕様もデザイン違いのアルミを履き、そちらも20インチ。タイヤは255/40R20とそれほど太くはないサイズだが、低速域の乗り心地はスムーズさに欠けている。サスペンションとタイヤのマッチングもあると思うが、50km/hぐらいまではサスが少し突っ張った感じで突き上げ感がややダイレクトに届く。

スピードが乗ってくればフラットな乗り心地になるが、低速域での使用頻度が多い日本ではユーザーから不満が出るかもしれない。クーペはスタイルが命だからデザインのために20インチを選択するのは理解できるが、乗り心地を重視するユーザーのためにインチダウンのオプションを用意するか、低速域のサスペンションセッティングを見直してもいいのではないだろうか。

4WSと可変ステアの組み合わせ


A7のハンドリングはスポーティかつすっきりとしたフィーリングだ。これはダイナミックオールホイールステアリング(4WS)とプログレッシブステアリングを装備している点も関係していそうだ。

4WDは基本的に路面とのコンタクト感が強いハンドリングになるが、A7はフットワークが軽く、ボディサイズを感じさせない。これは一般路の交差点を曲がるだけでも感じられる。ダイナミックオールホイールステアリングは60km/h以下の低速では、逆位相(後輪は前輪と反対の方向)に操舵されるためコンパクトに曲がることができる。

ステアリングを最大に切った場合、ダイナミックオールホイールステアリングは回転半径が50mmも小さくなという。さらにプログレッシブステアリングも速度に応じて9.5対1から16.5対1まで可変制御されるため、ステアリングを持ち替えずに曲がれる場面も多い。国産車の4WS装着車は少なくなってしまったが、横滑り防止装置が義務化された現在は、4WSと可変ステアの組み合わせを国産車ももう一度見直してみる必要がありそうだ。

最先端の先進安全装備も

A7のもう1つの注目点は先進安全装備。最大22個ものセンサーやカメラを装備し、フロントにはライダーを初装備している。今回は一般道とクローズドコースでの試乗だったためACCなどの評価は次回に譲るが、現代のプレミアムモデルに求められる最先端の先進安全装備を備えている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《丸山 誠》

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