【ホンダ クラリティPHEV 試乗】手放しで絶賛はできないが、ホンダの未来を垣間見せてくれたモデル…青山尚暉 | Push on! Mycar-life

【ホンダ クラリティPHEV 試乗】手放しで絶賛はできないが、ホンダの未来を垣間見せてくれたモデル…青山尚暉

ホンダが市販車として初めて国内に送り出したPHEVが、モノグレードで588万0600円というプライスタグをつける『クラリティPHEV』。

自動車 試乗記
ホンダ クラリティPHEV
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ホンダが市販車として初めて国内に送り出したPHEVが、モノグレードで588万0600円というプライスタグをつける『クラリティPHEV』。

三菱『アウトランダーPHEV』やトヨタ『プリウスPHV』より高価だが、それはEV走行可能距離によるものと考えていい。アウトランダーPHEVの60.8km、プリウスPHVの68.2kmを大きく上回る114.6km(いずれもJC08モード)を達成している。EV走行距離の拡大には多額のコストがかかるものなのだ。JC08モードではその約70%が実EV走行距離と見ていいが(諸条件による)、加えてEV走行可能速度160km/hという点にも注目したい(プリウスPHVは135km/h)。

日常使いではほぼEV走行でまかなえ、高速走行も楽々こなす電動車としての実力を持っていると言っていい。「ねばるEV」というキャッチフレーズも、なるほど、である。ピュアEVと違い、電欠になっても1.5Lアトキンソンサイクルエンジンが動力となる2WAYだから、ガス欠にならない限り、立ち往生することはない。



EV走行可能距離は80km



全長4915×全幅1875×全高1480mm、ホイールベース2750mmのボディデザインは、決して新しいものではない。ユニークなのは空気との調和を目指したリヤタイヤカバーとリアエアカーテンダクト、そして給油用、普通充電、急速充電用に2か所もあるリッドである。

運転席に着座すれば、ボタン式のセレクターも今や他車種でも使われていて、便利ではあるものの、新鮮というほどではない。立体感に欠ける液晶メーターのデザイン、底がカチカチしたプラスチック張りのフロントコンソールポケットの仕立てにしても、600万円に迫るクルマとしてはちょっと残念な部分ではある。

しかし、走行性能はさすがPHEV。充電直後の試乗車を受け取ったときのEV走行可能距離は、読み通りの80km(JC08モードの約70%)。これなら多くの人が日常使いで丸1日、EV走行できる距離と言っていい。

出足はもちろんEV走行。静かに、滑らかに、素晴らしくトルキーに走りだす。ECON、SPORT、HVが選べるドライブモードが、もっとも穏やかなECONモードでも、である。そのECONモードではアクセルペダルを踏み込んでいくと「クリック」があり、「エンジンが始動しますよ」という合図をくれるのだが、そこまでペダルを踏み込まなくても、十二分に速い。

EV走行でのモーターパワーは184ps、32.1kg-m。高速走行で流れを楽々リードできる余裕、実力である。しかも、当たり前だが、EV走行だからすこぶる静か。



低重心がもたらす走行時の恩恵



クラリティPHEVの魅力はそれだけにとどまらない。低重心がもたらすフラットな乗り心地はもちろん、高速レーンチェンジ、カーブでみせる、超低重心感覚のクルマの動き、スムーズさこそ、感動に値するポイントだと思えた。とにかくスイっと、姿勢変化ほぼなしでレーンチェンジを完結し、カーブを曲がり終えてくれるのだ。だからドライバーの緊張感は皆無に近く、同乗者はクルマ酔いしにくいとも言える。

もっとも、手放しで絶賛はできない。すでに触れた内外装デザイン、細部の質感、そして動的性能にかかわる部分として、パワーステアリングの不自然な重さ(というか、重すぎる)、そして低速で段差を超えた時にタイヤが発するブワンというタイヤ鳴り(タイヤ気柱共鳴音/それを防ぐはずのノイズリデューションホイールを装着しているにもかかわらず発生)は要改良点。後者に関してはEV走行中の静かすぎる走行性能ゆえ気になる…としても、くり返すが600万円近くの高級車なのである。

とはいえ、2030年までにラインアップの2/3を電動化すると宣言したホンダの未来を、ちょっとだけ垣間見せてくれた市販車の1台であることは間違いない。これからの電動ホンダ車、デザインだけでも選びたくなるカタチでの登場に大いに期待したいところだ。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータの蓄積は膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍も手がけ、また、愛犬とのカーライフに関するテレビ番組、ラジオ番組、イベントに出演。愛犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《青山尚暉》

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