【ダイハツ ハイゼットカーゴ 新型試乗】営業回りや配送関係の方の苦労、少しわかりました…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【ダイハツ ハイゼットカーゴ 新型試乗】営業回りや配送関係の方の苦労、少しわかりました…中村孝仁

「営業車」は変わった 昨年の東京モーターショーで、普段はまず展示されないだろうなぁ(少なくともプレスデイには)と思えた、いわゆる営業車に属するダイハツ『ハイゼットカーゴ』が堂々とダイハツブースに展示されていた。

自動車 試乗記
ダイハツ ハイゼットカーゴ 新型
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「営業車」は変わった


昨年の東京モーターショーで、普段はまず展示されないだろうなぁ(少なくともプレスデイには)と思えた、いわゆる営業車に属するダイハツ『ハイゼットカーゴ』が堂々とダイハツブースに展示されていた。

プレスの間でも少し話題になったのだが、その理由は安全運転支援機構である「スマアシ3」が、ついに営業車にも設定されたからである。

営業車と言えば、最後の血の一滴まで絞りつくしたような、極端に安く作ったクルマが常識。そこには安全性はおろか、乗り心地だの運動性能だのといった、日頃我々が評価するような項目に関しては、およそ縁遠い極端なダイエットが施されたクルマ…少なくともそうした印象が強いわけである。そこにスマアシ3が付いて、一部車種では標準装備されたのだから、時代が変わった。だからダイハツでも堂々と展示したわけである。

因みに、この軽のワンボックス営業車を生産しているライバルのスズキでは、安全運転支援機構自体は存在しているものの、ダイハツのスマアシほどのものではない。またホンダはつい先ごろ、『N-BOX』ベースの『N-VAN』を発売し、それにはホンダセンシングが標準装備とされた(装着の無い仕様も選べる)。というわけで、軽のワンボックス営業車市場にも安全意識が高まる気運を作ったのが、このダイハツ・ハイゼットカーゴというわけで、市場に与えたインパクトも大きかった、というわけである。

3分割のバンパーにも意味がある


そんなある意味革命児的なモデルなので、何と広報車が用意されている。そこで日頃街中を走り回っている、とても地味なカラーリングの営業車に乗って、営業マンの方や配送業者はどんな思いでこのクルマを運転しているのか、その一端を知るために試乗をしてみた。

試乗したのは「デラックス“SA III”」というグレードの4AT、2WD車である。つまりスマアシ付きのデラックスモデルということだ。因みに、やはりダイハツでもスマアシ無しのモデルも販売していて、ベースモデルのスマアシ付きとスマアシ無し車両の価格を比較すると、その差6万4800円。つまり、スマアシ3の値段がこれに当たると考えて良い。ダイハツ広報の話では、さすがにスマアシ装備車がデビューして以来、ほぼ7割程度はスマアシ付きが出ているそうだ。

この革命児は他にもう一つ大きな特徴があった。それは最近とみに大型化しているフロントのバンパーを3分割して、中央部分と左右のコーナー部分をわけたことである。これは、良く不注意でぶつけて擦り傷などを作ってしまうコーナー部分だけを、独立して交換できるようにしたもので、バンパー全体を交換した場合、そのパーツ代は税込3万6396円であるのに対し、コーナー部分はたったの2808円。これなら傷がついたら交換する気になる…と思う。こうした細かいところに配慮したのが、新しいハイゼットカーゴ、というわけである。

皆さんの苦労、少し理解できました


今回はあくまでも営業回り、配送などを想定した市街地での走りのみを体験してみた。高速道路は試乗していない。決して悪口を言うわけではないが、日頃我々は、乗っても車両価格にして200万円近くなる豪華な軽のワンボックスまでだから、見事なほど簡素な軽バンに乗るのはほぼ初めてといって良い。勿論プライベートでホームセンターで借りたことはあるが、粗雑に扱われていて、評価には値しないと思っていた。ほぼ新車の初めて乗った軽バンは、しかしながらやはり例え新車であっても運転環境は正直、かなり劣悪だという印象が否めない。

まずシート。非常に薄いクッションとサポート性の低いバックレストは、これを例えば普通乗用車に置き換えると、ソファに座るのとパイプ椅子に座る差がある。もう少し気を使ってあげても良いのでは?というのが最初の印象であった。

そして4ATのシフトレバーがダッシュから突き出しているのだが、ダッシュセンター部分がかなり下まで伸びているので、左足の膝がここに当たり、かなり干渉されている感が強い。というわけでドラポジ環境も良いとは言えなかった。視界はすこぶる良好で、バンパーコーナーが何故ぶつかるのか不思議に思えるほど四隅の感覚は掴みやすい。

エンジンは3気筒DOHCのKF型と呼ばれるもので、これは『タント』などに搭載されているものと同じ。性能的には若干絞られているが、パワーの差は1psでしかなく、最大トルクは同じである。一方でトランスミッションはタントなどがCVTであるのに対し、こちらは4AT。何故ここで差を付けているかの理由は不明だが、やはりかなりの積載を見込んでいるためか、かなり低速からギアを引っ張る傾向が強く、エンジンは結構なうなりを上げる。

そのエンジン、キャブオーバー型と称するシートのほぼ真下に搭載される一種のフロントミッドシップなのだが、フロントアクスルこそ前方にあるものの、ステアリングがかなりダルに(わざとだろう)セッテシングされている関係で、少々切ったところで反応しないし、逆に横風などを受けるとボディごとグイッと持って行かれる印象があって、直進性にはかなり気を使うことがわかった。

これで1日中都市内を走り回れば、かなりの疲労がたまることは想像に難くない。営業回りや配送関係の方の苦労が少しは理解できた1日だった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★ 
おすすめ度:★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
《中村 孝仁》

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