『DIATONE SOUND.NAVI』の“深化”は、何故に止まらないのか…。開発者に訊く。 | Push on! Mycar-life

『DIATONE SOUND.NAVI』の“深化”は、何故に止まらないのか…。開発者に訊く。

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DIATONE SOUND.NAV・NR-MZ300PREMI/MZ200PREMI-2
  • DIATONE SOUND.NAV・NR-MZ300PREMI/MZ200PREMI-2
  • DIATONEシニアテクニカルアドバイザー 鹿山公二さん(左)と、三菱電機株式会社三田製作所 カーマルチメディア製造第二部 設計第三課 村上英哲さん。
  • DIATONEシニアテクニカルアドバイザー 鹿山公二さん。
  • 三菱電機株式会社三田製作所 カーマルチメディア製造第二部 設計第三課 村上英哲さん。
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2012年に初代モデルが誕生してから6世代目となる『DIATONE SOUND.NAVI』の新作、『NR-MZ300PREMI』がいよいよ発売開始と相成った(『NR-MZ200PREMI-2』は12月5日発売予定)。さて、当シリーズは世代が新しくなる度に、常に音を“深化”させてきた。

『NR-MZ300PREMI』についても、発売開始からたちまち、各所で音質性能の“深化”度合いに対する驚きや賞賛の声が上がっている。

ここまでの性能を得るに至ったその背景を探るべく、開発者に話を訊いた。取材に対応していただいたのは、次のお二方だ。DIATONEシニアテクニカルアドバイザー 鹿山公二さんと、三菱電機株式会社三田製作所 カーマルチメディア製造第二部 設計第三課 村上英哲さん。鹿山さんは、初代モデルの『NR-MZ60シリーズ』からこのプロジェクトに参画し、村上さんは、初のフルモデルチェンジが果たされた『NR-MZ100シリーズ』からこの開発に携わっているという。

興味深い話を多々聞くことができた。じっくりとお読みいただきたい(以下、敬称略)。


■見えている課題のすべてを克服し終えてなお、さらなる高音質を目指す…。

ところで、AV一体型ナビを開発しているメーカー各社は、ほぼ毎年新製品をリリースしてくる。しかしながら、ハイエンドカーオーディオユニットで毎年最新モデルが出された例はない。にもかかわらず『DIATONE SOUND.NAVI』はそれを成し遂げ続けてきた。そして都度、明確な性能向上を見せてきた。

初のフルモデルチェンジとなった2015年モデル『NR-MZ100シリーズ』が革新的な音質の進化を遂げたことは納得できる。しかし、それ以後もさらに成長を続けられていることを信じ難く思っている方も、少なくないのではないだろうか。

まずは素朴な疑問からぶつけてみた。『NR-MZ100シリーズ』が完成されたとき、さらなる音質性能向上の伸びシロは、具体的に見えていたのか否か…。

鹿山「2015年モデルでも、やりたかったことをすべてやり切れていました。見えていた課題は全部克服できていたので、『NR-MZ100シリーズ』が完成した直後は、これ以上はやりようがないという状況でした。さて、次はどうしようかと。ただ、もっと良くしたいという思いはありました」

村上「もっと音を良くすることが可能なのか、そこから約3か月間、すべてをゼロリセットして検証を進めました。何かを変えてみては音がどう変わるかを、しらみつぶしにチェックしていきました」

鹿山「当シリーズの開発においては、さまざまなエキスパートが関わっています。そういったエキスパートが作った信頼性の高い部分についても確認を進めました。すると、テストに対して反応する箇所が出てきた。『NR-MZ100シリーズ』となり、精度や解像度が進歩したからこそ、見えていなかったことも見えてきたんです」

村上「そうして発見された新たな課題を、根本的に基板を書き換えられないという制約の中ですべて乗り越え、『NR-MZ200シリーズ』を完成させました」


■そしてまたしても細部の徹底見直しを実行し、進化のヒントを見つけ出す…。

『NR-MZ200シリーズ』の完成を見た後は、『NR-MZ200PREMI-2』および『NR-MZ300PREMI』の開発に向けて、どのようなプロセスが踏まれたのだろうか。

村上「完成された『NR-MZ200シリーズ』をベースに、またも細部の見直しを始めました。まずは、“プレミアムグレード外部出力アンプ”(外部パワーアンプ用の出力回路の見直し)から着手しました。実はこの部分でキーとなるパーツはそれまで、自分達が求める理想に100%合致したものが存在していませんでした。ところがそのタイミングで、新たなデバイスが完成されたという一報が届いて。永遠のテーマを克服する実現手段を遂に手にすることができたんです」

鹿山「そして、その回路の検討をしている中で今回の進化の目玉となる、“リアルメジャーメント・サーキットテクノロジー”のヒントが見つかりました。回路の“レベルダイヤ”で、実測値と計算値との極々微妙な不整合が見つかったんです。“レベルダイヤ”とはざっくり言って、回路のパートごとの電圧です。通常では問題視しないレベルの差異だったのですが、ここに突破口が隠されているのではないかと…。

そこから、各所の“回路定数(じょうすう)”の見直しを進めていきました。実測値から逆シミュレーションして、本来あるべき“回路定数”を割り出し、各部の微細なズレを是正する作業を積み重ねていきました。特に、ノイズを除去するための回路については、これを徹底的に追い込みました」

村上「『DIATONE SOUND.NAVI』では、そこの部分は特に音への影響が大きいんです。ナビと一体化されていない、周辺ノイズの少ないピュアオーディオ機器ならばそこまでする必要のない箇所なんですが。空気のきれいな部屋では空気清浄機は必要ないけれど、空気に何か問題があれば高性能な空気清浄機が必要ですよね。そんなイメージです」

鹿山「これについても、『NR-MZ200シリーズ』の性能があってこそ、初めて見えてきたことです。進化を重ねることでさらなる課題が見えてきたんですね」


■『DIATONE SOUND.NAVI』はもはや、“引き算”で進化させるしかない。

かくして気の遠くなるような地道な検証が続けられ、他にも課題が導き出され、『DIATONE SOUND.NAVI』の2017年モデルの開発は進められていった。

しかしながら聞けば聞くほど、新たな『DIATONE SOUND.NAVI』を生み出す作業は、困難な道のりのように思えてくる。

村上「正直、毎年しんどくなる一方です(笑)。成熟も進んでいますので、“足し算”だけではどうにもならない。新規の機能を盛り込めるならばカタログ映えもしますし、やりやすいんです。しかし『DIATONE SOUND.NAVI』はもはや、“引き算”で進化させるしかない。“リアルメジャーメント・サーキットテクノロジー”はその象徴みたいなものですよね。音に良くない部分をひたすら削っていくという工程でした」

そういった苦労を乗り越えられた原動力は何なのだろうか。

村上「周りの支えでしょうか。他の部署のメンバーもDIATONE SOUND.NAVIを気に入ってくれて、ここまで音が良くなったのならもっと積極的にプロモーションしていこうとか、すごくバックアップしてくれるんです。そういった空気に、いつも励まされています」

鹿山「チーム内でも協力し合えています。成熟度が上がっているんです。オーディオ部門だけでこれを作れるわけもなく、ナビ、モニター、メカ、機構、ソフトウェア等を開発する各部門、品質や量産性を評価する部門等々、本当に多くの人間がこれに関わっているんですね。

このプロジェクトにおいては、ナビでありながらもハイエンドオーディオとして成立させるために、メンバー全員が音に対しての共通認識を持つ必要があります。しかし最初は、これがなかなかに難しかった。でも今では、例えば、オーディオとは直接関係のない構造部分を担当している技術者が、ここを変えたいのだが音に影響がないか確認してほしいと聞きにきてくれます。チーム全体で、音に対する高い意識が持てています。今得られている成果は、チーム全員による成果なんです」


■「ようやくここまで来れたという感慨が大きい」「映像面の進化にもご注目を」

最後に、今作の手応えについてお訊きした。

鹿山「2017年モデルの2機種が完成した今、これまでの中でもっとも大きな達成感を感じられています。ようやくここまで来れたという感慨が大きいんです。空気感、ステージ感が飛躍的に向上していて、音楽がこんなに伝わってくるんだ、と…。聴いていて、とにかく楽しい。クルマの中で聴いていると心地良くて、クルマから降りられなくなります(笑)。」

村上「再現性が高く、リアルです。例えば、ピアノの音などもとにかく生々しい。コンサート会場にいるかのような聴こえ方をします。

また今回は8インチとなり、映像面でも進化しています。広視野角にもなり、斜めから見ても映像がキレイに見えますから、運転席でも助手席でもナビ画面がくっきりとご覧いただけます。さらにDVD再生時には、迫力の5.1chサラウンドに対応していますので、クルマの楽しみがグッと広がります」


今回の取材で、『DIATONE SOUND.NAVI』の開発に携わっている方々の真摯な情熱に触れ、当シリーズの凄さをまた改めて感じ取ることができた。そして2017年モデルが、かつてない高みに到達していることも、つくづく実感できた。

『NR-MZ200PREMI-2』ならびに『NR-MZ300PREMI』は、かくして作られ、そして着実な“深化”を遂げている。この音を手にしようと考えているのなら、その選択に間違いはなさそうだ。
《太田祥三》

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