【BMW 523dツーリング 試乗】内燃機関だけが悪者の現状に疑問…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【BMW 523dツーリング 試乗】内燃機関だけが悪者の現状に疑問…中村孝仁

去る7月23日、BMWは昨今のディーゼル問題に関して声明を発表した。曰く、「排ガスに対して適切な処理がされていないという非難に対し断固否定する」というもので、メーカーがこうした声明を出すのはドイツのメーカーでは初めてだ。

自動車 試乗記
BMW 523dツーリング
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去る7月23日、BMWは昨今のディーゼル問題に関して声明を発表した。曰く、「排ガスに対して適切な処理がされていないという非難に対し断固否定する」というもので、メーカーがこうした声明を出すのはドイツのメーカーでは初めてだ。

黒だったVWグループ、限りなくグレーのメルセデス。オランダで引っかかったFCA。とにかくヨーロッパ勢は皆グレーもしくは黒だ…という報道の論調に対して真っ向からうちはやっていないよという声明を出したのはBMWだけ。勿論そこが生命線の我がマツダも、懇切丁寧に報道陣に対して説明をしている。つまり説明できないところはうーん…やっぱりやっているのかな?という話になってしまうわけだ。

BMWの場合はアドブルー、即ち尿素の噴射のみならず、NOx吸蔵触媒コンバーターを併用しているから、尿素の量が少なすぎるという指摘は当たらず、実走行においても優秀な排ガスレベルを達成している、としている。

まったくVWに端を発したディーゼル疑惑は留まるところを知らず、真面目にやっているかもしれないメーカーも今のところ疑惑が掛けられ、本来は優秀な性能を示すはずの内燃機関を2040年頃までに販売禁止にするという政治的なプロパガンダ(そう思いたい)まで飛び出す始末。マツダが提唱するように、適材適所に動力源を使えばそれで済む話が、内燃機関だけが悪者にされている今の現状には大きな疑問を禁じ得ないわけである。

とまあ、前置きが長くなってしまったが、BMWが言うように適切な排ガス処理がなされているという前提に立って話を進めると、『523d』に搭載されている2リットルは、性能、燃費という面において非常にバランスが取れたものだと感じるわけである。そりゃ性能という点で『540i』と比較すれば劣ることは間違いない。しかし一方で、軽油の値段が他の先進諸国と比較してガソリンより割安な日本は、ディーゼル天国であることも確か。おまけにガソリンモデルより確実に燃費も良くて、年間走行距離が多い人なら躊躇せずにディーゼルを選んだ方がお得だし、十分に運転の愉しさも得られるというわけである。

実はボディは予想以上に大きい。全長は限りなく5mに近く、全幅もあと少しで1900mmに到達するサイズを持つ。しかし、実際に運転していると、そんなデカいクルマを転がしている印象が実はない。サイズ感を感じさせないのは、走りそのものが軽快であるという点もさることながら、いわゆる4WS機能を持たせたインテグレーテッドアクティブステアリングの効果が、走りの軽快感やキビキビ感を演出しているのだと思う。実際最小回転半径は5.5mで、これはひとクラス下の「320dツーリング」とたった0.1mしか変わらないのだ。

さすがに車外音は依然として高い。しかし、ディーゼルが日本に設定された当時と比べると、だいぶ小さくなったように思う。何より室内では、アイドリング時からそれがディーゼルであることを感じさせないほど静かになっていて、隣に乗せた人に対して「これ、ディーゼルですよ」というと、まるで宮川大輔のような「えぇ~!」という反応が返ってくる。この静粛性の高さは現行モデルとなって大きく変わった点だと思う。

セダンとツーリング、昔だと室内騒音やボディ剛性の点で違いが顕著だったのだが、最近はボディの作り方が進化したのか、ほとんど気になる差が出なくなった。というわけで、余程フォーマルに使う人以外は積極的にツーリングを選んでもOK。特にゴルフに行くような人の場合、ラゲッジスペースの間口が広がって天地方向にがセダンのトランクスペースよりもゆとりがあるツーリングのラゲッジは、重宝するはずだ。因みにJC08のモード燃費は19.4km/リットル、さすがにそこまではいかなかったが、長距離を走った場合16km/リットルを記録したから、このサイズのモデルとしては立派と言うほかないと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度 :★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

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