【BMW 5シリーズツーリング 試乗】ワゴンとしての機能性をしっかり追求した隙の無いワゴン…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【BMW 5シリーズツーリング 試乗】ワゴンとしての機能性をしっかり追求した隙の無いワゴン…中村孝仁

自動車 試乗記

BMW 540i ツーリング
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「ツーリング」の名は持つものの、ワゴンである。BMWがこのワゴンを作り始め、日本で販売を始めたのは『3シリーズ』が先で1989年から。それを追ってE34の『5シリーズ』からツーリングの名を持つワゴンの販売を始めた。

何故、ツーリングの名を使ったのか。当時はワゴンといえば機能だけを重視して、スタイルや走りは二の次的なイメージが強かったものだが、BMWとしてはそこに風穴を開けたかったのであろう。スタイル重視、運動性能重視のワゴンが出来上がり、おかげでそのワゴンとしての機能性に関しては、お世辞にも優れているとは言い難かったものだ。とりわけ収容能力は低く、そのあたりが当時ワゴンを得意としたボルボとは大きく差が付いていたように思う。

その後、ワゴンに対する価値観が変わり、その収容能力よりもスタイルが優先されて、先行していたボルボなどもまともなラゲッジスペースを持たないワゴンを多く作り出したが、最近になってデザインと収容能力を両立させたモデルがようやく登場するようになってきた。

新しい5シリーズ・ツーリングの場合、その両立は見事である。まずラゲッジスペースの容量が凄い。さすがに今回はその容量を売り物にして、後席を使った状態で570リットル。後席を畳めば1700リットルというすさまじい容量を確保している。

それだけではない。ドイツ製のワゴンはこれまでどうもラゲッジスペースをすっきりと見せたかったのか、いわゆる直方体の形状を作り続けてきた。BMWも例外ではなく、車体両サイドはまるでつい立のような仕切りに覆われて、ホイールハウスなどは見事に消され、綺麗ではあるが、どうしても最大積載容量を小さくする手法が取られていたのである。勿論それはそれで美しいし、悪いとは言わないが、特にテールゲート付近まで僕がつい立と呼ぶ仕切り板を付けないでもよいのではないかと思うのだ。特に車両の全幅を考えれば十分にゴルフバッグを横に積載出来るクルマでさえ、このつい立があるおかげで無理。ところが今回のツーリングはようやく要望を聞き入れてくれたのか、テールゲート手前の部分はそのつい立がなく、これならどうやらゴルフバッグを横に入れることが可能なようである。

それにリアシートは利便性の高い40:20:40の分割可倒式。ボルボは『V90』において、快適性を重視した結果、『V70』時代に40:20:40だった分割可倒を40:60に戻しているが、利便性という点では明らかに不利だ。というわけで、今回のBMW、間違いなくワゴンとしての機能性に力点を置いたクルマ作りをしていると思う。

性能と走り、それに運動性能に関してはさすがにBMW。駆け抜ける歓びをしっかりと体現してくれている。今回試乗したモデルは最高級の「540iツーリング」。唯一の「xDrive」(4WD)仕様にして、同じく唯一の6気筒エンジン搭載車(日本仕様では)である。昔からシルキー6の異名をとるBMWの直列6気筒は、エンジン長が長くなって、安全面では不利という不遇な時代でも頑なにその伝統を守り続けてきたエンジンで、BMWにとってはアンバランスなV6など考えられなかったのであろう。おかげで進化は留まるところを知らず、そのスムーズネスとパワフルさでは完全に頭一つ突き抜けている印象が強い。

メルセデスもついに直6に回帰してきたが、果たしてBMWのような優れた直6とされているのかは興味深いところである。直6への回帰は、恐らく補器類の電動化に伴って、ベルトレスのエンジンに出来ることで、全長が短くなった結果かもしれないが、他メーカーももしかするとそのトレンドに乗る可能性がある。

それにしても340ps、450Nmのパフォーマンスは伊達ではなく、アクセルを全開にするにはアクセルペダルの最後におよそ1.5cmか2cmほど、ぐっと重くなる部分があって、それを意に介さず、思い切りよく踏み込むことで全開に出来るのだが、そこに到達すると、クルマはとてつもない勢いで加速をはじめ、あっという間に100km/hに到達する。高速の合流や、料金所からのダッシュでは最高の加速が得られる。全くスキのないワゴンであった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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